未来は誰にも分からない。
■目についた記事
○「80人のうち79人が非正規」熊本市電運転士の正職員化をめぐり市議会委員会で議論
2025年6月11日
11日に開かれた熊本市議会の特別委員会。議題となったのは熊本市電の運転士の処遇です。熊本市電の運転士は今年4月の時点で80人います。このうち、定年後の再任用職員1人を除く79人が非正規の会計年度任用職員です。
2023度の平均年収は398万円でしたが、今年度は493万円に増える見込みです。一方で、昨年度の時間外勤務は平均423時間となっていて、去年、交通局職員を対象に行ったアンケートでは、「仕事内容や責任の重さに賃金が対応しておらず、生活が不安」などの声が寄せられています。
https://news.ntv.co.jp/n/kkt/category/society/kk68fc0075b8a04da49f8a30a3578db7f1
2024年問題の中での公共バスに関する人手不足問題に関心があり、関連する情報をネットサーフィンで探索していたときに見つけた記事である。しかし、驚いたのは、人手不足や運転手の処遇のはないではない。「80人のうち79人が非正規」という内容だ。
直感的に考えても、行政を預かる組織としてはダメだろうと思う。もちろん民間でも店長が一人で後はすべてバイトという飲食店がある事は承知している。しかし、それとは一緒にできるとは思えない。運転手などは安易に換えが聞く職業ではないのだから。
少し調べる、以下のような解説を見つけた。(引用まま)
●会計年度任用職員制度:
2020年度に導入されたこの制度は、地方公務員の臨時・非常勤職員の処遇改善を目的としたものでしたが、実際には多くの自治体で非正規雇用の「固定化」や「大量採用」を促し、結果として正規職員との間に大きな格差や雇用の不安定さを残しているという批判があります。●公共交通機関の特殊性:
市電のような公共交通機関の運転士は、安全運行という極めて重要な責任を伴う専門職であり、技術や経験の蓄積が不可欠です。そのような職種で非正規職員が圧倒的多数を占めることは、サービスの質や安全性の維持、人材育成の観点からも問題視されています。●人手不足と採用難:
運転士の人手不足が全国的に深刻化する中で、非正規雇用という不安定な雇用形態が、新たな人材の確保をより困難にしているという側面もあります。ご質問の記事は、まさに現在の地方自治体における非正規公務員問題の根深さと、それが公共サービスの現場に与える影響を浮き彫りにする具体的な事例として、広く認識されている内容です。
(ここまで)
注目すべきは、2020年度に導入された会計年度任用職員制度は、地方公務員の臨時・非常勤職員の処遇改善を目的としたものだったが、実際には多くの自治体で非正規雇用の「固定化」や「大量採用」を促し、結果として正規職員との間に大きな格差や雇用の不安定さを残していることだろう。
■ 下手な考え休むに似たり
政策が意図した結果を生み出さない例として下記も該当するかもしれない。
○【NHKスペシャル】医療限界社会とは?病院の現場から届いた“命の警告”|2025年6月1日放送
2025.05.31
医師確保が難しくなった背景には、2004年に導入された新臨床研修制度があります。これにより、研修医は大学病院に縛られず、都市部の民間病院も自由に選べるようになりました。その結果、勤務が過酷とされる地方病院は避けられる傾向が強まりました。
2008年以降、国は医師数の増加を図り、5万人以上が新たに誕生しましたが、問題の本質は解消されていません。増えた医師の多くが大都市やその周辺地域に集中し、地方は今も人手不足に苦しんでいます。済生会江津総合病院では、特に救急医療が危機的な状況にあり、2次救急の機能を維持することが極めて困難になっていました。
https://nhk.shigeyuki.net/?p=6308
当時の厚生労働大臣の舛添氏が進めた政策である。
同様に思い出すのは、建設国債の発行だ。
歴史的には以下のような経緯を持つ。(注:個人の感想を含む)
・1965年(昭和40年)、当時の大蔵大臣だった田中角栄が、「公共投資の財源として特例的に国債を発行する」とし、戦後初の赤字国債(=建設国債)を発行した。
・当初の目的は、高度経済成長を下支えするインフラ整備(道路・港湾・ダムなど)。
・田中角栄はこれを「未来への投資」と位置づけ、「財政の健全性より国土の充実」を優先した。
・建設国債は、「将来の資産形成になるからよい」とされていたが、1975年以降、ついに「赤字国債」(いわゆる特例国債)が発行され始め、財政赤字が恒常化することになった。
・結果的に、「国債という道を一度開いたこと」が後戻りできない構造を作った。
すなわち「建設国債は、当初“未来への投資”という大義名分のもと始まったが、その一滴が後の国の借金の大河を形作る伏線だった。政策とは、実行された瞬間から“社会の構造”となり、取り返しのつかない影響をもたらしうる。」という文脈で理解される。
こうした政策は“意図”で評価されがちだが、“影響”で評価されるべきである。また一度始めた仕組みを止めるのは、新たに始めるより難しいことも認識すべきである。
「その一滴がやがて何を濁すのか」を想像できる倫理と洞察が必要
■おまけ
現在(2025/07/05)、参議院選挙の真っ最中だ。各党とも政策を表明している。しかし、それは何をもたらすのかの長期ビジョンが見えない。朝三暮四のような言動は信頼を失うと言うことに気がつくべきであろう。