戦略人事:AI・ロボティクスとリストラ(3.退場を余儀なくされるマンパワー)


戦略人事:AI・ロボティクスとリストラ(3.退場を余儀なくされるマンパワー)

※少し断片的な記事になるので思いついたまま記載。同じテーマで少し長い連作になる。

■ AIが仕事を奪うのではない

戦略や意思決定に関わる業務に生成AIを活用するためには、それを利用する側に知識とと経験、それに裏打ちされた知力が必要であることをすでに示した。それを支える人事制度は、年齢ではなく能力、職能ではなく職務(何をするのか)で人的資源の最適化を図ることが求められる。

ひるがえって、企業が製品・サービスを提供するためには、手を動かすと言うことも重要である。しかし、こうした「手を動かす」事の多くは、3K(きつい、きたない、危険)である事も多く、2T(退屈、単調)である事も多い。

当然、こうした事の多くは、それが基幹業務であろうと支援業務であろうとAI・ロボティクスに代替されてゆく。しかし、それはヒトにそれを行なわせることの合理性がないからである。

○鴻池組、四足歩行ロボットが危険なトンネル掘削面観察 実証実験に成功
2025.07.18

 鴻池組はロボット向けのアプリ開発などを手掛けるポケット・クエリーズ(東京・新宿)と共同で、四足歩行ロボットを用いて山岳トンネル工事の発破直後の危険な切り羽(掘削面)観察を遠隔化する実証実験を実施した。作業員が坑内に立ち入って観察する従来手法と同等の精度で切り羽状況を把握することに成功した。鴻池組が2025年7月7日に発表した。

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00107/00253/

こうした技術の転換は、「検査をする」仕事はなくなり、「検査を正しく指示する」という仕事に変るだけである。モニタリングしながらマニピュレートとする仕事という質に変るだけである。その仕事に適応することは必須ではあるが、それは本人次第である。AIが仕事を奪うという単純な発想は辞めた方が良い。

■ 人手不足という要因

しかし、本来ヒトがすべきことではないことにAIとロボティクスを活用するという事だけではなく、人手不足がAIとロボティクスを加速させている。

○JR東海/駅の物流作業自動化を目標に自動搬送ロボットを名大等と共同開発
2025年07月17日

「自動搬送ロボット(試作機)」は、Doog製の自動搬送ロボット「サウザー」をベースに、混雑する駅環境で使用した場合のリスクアセスメント結果を踏まえ、更なる安全性向上のため、接触検知センサの追加設置など、機能改良を行った。

モニターに顔を表示するなど、駅利用客が気付きやすく、親しみやすくするための各種ヒューマンマシンインターフェース(HMI)を新たに開発・実装した。

https://www.lnews.jp/2025/07/r0717301.html

こうした事は「労働者ではなくロボットが必要である」という現場の近視眼的な問題意識を醸成させかねない。もちろんこれが悪いことではない。しかし、今の人手不足の本質を「都合の良いやすい労働力が無い」と言うことでの文脈で捉えている限り、組織の競争力の向上はないだろう。

一方では、「知力」を中心の視点とした「人材」、他方では「パワー」という視点での「人材」という両面での戦略が必要になる。

すなわちどのように人的資源を捉えるのかの再定義が必要である。

2025/07/23