未来への手がかり:ヒトがいなくなる世界とロボット(格差解消のための覚悟とIT投資)
■出生率減の報道
昨年以来、出生率の減少の記事を見る。
先日も同様の記事を見た。
○先進国の出生率が再び低下 お手本の北欧やフランスも、価値観変化か
2025年9月10日
日本の少子化対策のお手本とされた北欧やフランスといった先進国が出生率の「二番底」に直面している。仕事と家庭の両立への懸念が目立った過去の低下局面と異なり、勉学の長期化や結婚・出産に対する価値観の変化、不安定な国際情勢などが絡み、若年層の出生減が加速している。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA197G60Z10C25A8000000/
出生率の低下が先進国だけでなく途上国でも顕在化し始めていると聞く。途上国などを含め生活環境の厳しい世界では、出生率は担保されていても若年道の生存率が低くなり、結果として人口減になると思われる。
国連の予測でも、今世紀後半に世界人口はピークアウト(100億人未満で頭打ち)とされている。先進国の低出生率と、途上国の「出生率低下+生存率改善の遅れ」が重なると、ピークが早まる可能性がある。
これは、マクロ的には世界経済の衰退を招くだろう。すなわち
・労働力不足 → 生産性低下 → 社会基盤の維持困難
インフラ整備、農業、医療・介護といった必須分野で人手が不足し、生活の質が落ちる。
・税収減 → 社会保障制度の破綻
高齢者が増え、若者が減ると年金・医療・介護などの社会システムが不均衡になる。
・防衛・治安維持能力の低下
国防・警察なども人員確保が難しくなり、外部リスクに脆弱化。
・文明の縮退
「ローマ帝国の西欧部分」や「マヤ文明」のように、人口減や人材不足が都市機能を崩壊させた歴史例がある。
の可能性がある。
■AI+ロボティクスの世界
しかし、ここ数年の「AI+ロボティクス」の発展は、こうした人口減による生産性への影響を軽減するだろう。特に下記の分野での労働の代替が進むと考えられている。
・製造業:自動化工場(既に中国・韓国・ドイツで加速中)
・農業:自動収穫ロボット、ドローン管理
・医療・介護:介護ロボット、遠隔診断AI
・物流:自動運転、ドローン配送
・行政サービス:AIによる審査・事務手続きの自動化
最近のニュースでも、物流の自動化への取り組みが進んでいることが感じられる。
○コーナン商事とT2、ホームセンター「コーナン」で取扱う商品を自動運転トラックで幹線輸送する実証を開始
2025年8月29日
コーナン商事では、ホームセンター「コーナン」で取扱う商品を関西から関東まで長距離輸送するケースが多く、今後、「2024年問題」などを背景にトラックドライバーが不足する可能性を踏まえて、いかにその不足を補っていくかを検討してまいりました。本年8月に大阪市内で稼働した新規流通センターへの自動化機器導入(*2)に加えて、輸送の効率化も一層強化するため、2027年からレベル4(*3)自動運転トラックによる幹線輸送の開始を目指すT2とともに、今回の実証を行います。
https://www.nikkei.com/article/DGXZRSP696058_Z20C25A8000000/
いわゆる物流のラストワンマイルも代替されるかもしれない。
○自動配送ロボットによる配送サービスの実用化への取り組み
―国内初となる公道における10台同時運用の実証実験を実施―
2025年3月17日
自動配送ロボットは、走行路上の交通状況ならびにロボット自身の状態をオペレータが常に監視し、必要に応じて遠隔操作を実施します。そのため、同時に運用する台数を増やすためにはオペレータの負荷低減が重要となります。
本助成事業による研究開発を通じて、遠隔監視業務の効率化やロボットの自律走行性能の向上を実現し、オペレータの負荷を低減させることで、同時走行可能な運用台数の増加を目指してきました。そして、これまでの国内における1人のオペレータによる同時運用台数の実績値である4台を超え、道路使用許可にもとづく10台運用の実証実験を実施できるようになりました。
https://www.nedo.go.jp/news/other/ZZCD_100074.html
■格差が及ぼす課題
シナリオとして、人間の活動の不備をAI+ロボティクスが補うと言うことが現実的な解として、そこに投資できる国とできない国の格差が生じ、それは国後の貧富の拡大につながる恐れがある。そしてそれは紛争の火種になる。
こうした事に対しての危機意識はあり、人口減によりAI・ロボの導入投資が加速する国(日本、欧米、中国など)と、インフラや資本が追いつかない途上国との間で格差が広がる懸念を表明している記事もある。
▶IMF warns of ‘profound concerns’ over rising inequality from AI
https://www.ft.com/content/b238e630-93df-4a0c-80d0-fbfd2f13658f
▶Three Reasons Why AI May Widen Global Inequality
https://www.cgdev.org/blog/three-reasons-why-ai-may-widen-global-inequality
すなわちIMFも、新技術が労働市場や富の集中に与える影響に「深刻な懸念」を示しており、政策対応を促しているメッセージとして読むことができる。
これは国家間だけの話ではない。
こうした格差は、国内の大企業と中小企業との対比でもあり得る。
主に下記が指摘される。
1. 投資余力の差
大企業:AI・ロボティクスに先行投資できる資本、人材、研究開発部門がある。失敗しても吸収可能。
中小企業:そもそも投資原資が限られており、AI導入を検討しても「業務の一部自動化」に留まるケースが多い。
結果として、生産性格差が拡大する傾向になる。
2. 人材獲得の差
大企業はAIエンジニアやデータサイエンティストを高待遇で採用可能。
中小企業は人材確保が難しく、導入しても「外部サービス依存」になりがち。
→ これが技術的自立性を削ぐ。
3. サプライチェーン上の力関係
大企業はAIで効率化した「調達・生産・物流」を武器に取引条件を優位に進められる。
中小企業は「アナログな部分を残したまま」大企業に従属せざるを得ない。
こうした事は、現行を放置すれば避けられない。
無理を承知でも、IT投資をしなければ生き残れない。
2025/09/10