~試行錯誤の人事戦略~
■待ったなしのリストラの嵐
のんびり必要な人材を確保する前に、企業は手を打たなければならない。
企業のゴーイングコンサーンを確実にしようとすれば
・コスト抑制策としての「低価格国への創造拠点の移転」
・AIとロボティクス、自動化による「単純労働者」の削減
・新規事業領域について来れない人員のリストラ
と言った施策が考えられる。
こうした中で、まずは「リストラ」に着手している企業は激増しているという印象が強い。
○武田薬品、日本で希望退職募集 勤続3年以上
2024年10月21日
武田薬品工業は21日、2025年2月28日時点で勤続年数が3年以上の国内従業員を対象に、希望退職を募ると発表した。募集人数は定めず、25年2月末を退職日とする。全社的に進める構造改革プログラムの一環で、従業員の社外への転職を支援するという。
武田薬品は利益率が低迷する中、全社的に構造改革を進めている。今年5月には改革に1400億円を投じる方針を示していた。米国ではカリフォルニア州にある研究所の閉鎖など1000人規模の人員を削減することがわかっている。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC215WY0R21C24A0000000/
こうした文字通りのリストラ(事業の再構築)は多いことは、関連した記事を検索するだけで枚挙にいとまが無いことが分かる。
こうしたリストラは主に40歳代以降に集中されている。大きな理由としては
①年功賃金のために中高年以降は高い給与を支払っている。
②ジョブ型雇用の以降に有能な人には報酬をあげたいので優秀でない人は退場を願いたい
③新しい事業分野に必要なヒトは「リスキル」ではなく「調達」で賄いたい
と言った思いが強いと考えられる。
これは、従来の単なるリストラが「進化」する事が予兆される。
■ 単なるリストラからの変調
(1)対象者選抜は年齢ではない
○ 「人材不足」と言われながら…早期・希望退職者が30代にまで広がり始めたイビツな事態
2024年10月11日 6:00
10月7日に東京商工リサーチが公表した調査結果では、今年1~9月に早期・希望退職を募集した上場企業は46社で、昨年同期の1.5倍、人数では約4倍にも及ぶという。中には30歳からの募集もあり、「低年齢化も進んでいる」という。
https://asagei.biz/excerpt/81674
わかりやすく云えば、余剰人員は拡大しており、中高年だけでは人の量の調整は賄えなくなったと言うことだ。ますます年功から能力に移行すると思う。
(2)人事制度の見直しなども含まれる
○新卒中心・年功序列のイメージ強い3メガ銀で中途採用急増…即戦力重視、「企業文化変える必要」指摘も
2025/09/16
3行は中途採用者をさらに増やしたい考えで、三菱UFJ銀は25年度に前年度比29%増の700人の採用を計画している。他行や異業種を含めたデジタル人材の争奪戦は激しく、同行は24年度の中途採用者数が目標の600人を下回った。
銀行業界には特有の人事制度が残る。多くの行員が50歳代で取引先や関連会社に出向する慣行が続き、中途採用者が将来のキャリア設計を描きにくい課題が指摘される。みずほFGは、年齢や在籍年数ではなく業務や役割に応じた給与制度を導入し、年功序列の見直しを進める。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20250914-OYT1T50151/
これまでのリストラは単なる人件費コストの調整であったことは否めない。しかし、新卒採用が難しくなり、仮に新卒を採用しても時代の変化に間に合うように育てる時間が無いのであれば、中途採用を前提としたリストラ策の展開が考えられる。
(3)全体最適への動き
むやみな中高年のリストラは残る社員(後数年で中高年になる層など)は不安になり、モチベーションも下がり、無用な離職を生み出すかもしれない。会社都合で不要な社員を切り離す会社に未来はない。しかし、事業戦略と人材ポートフォリオの明確化は戦略人事としては必須である。そのためには、どのような働き方に対し、どのような報酬を支払うのかの納得性は高めなければならない。
そうした意味では、下記の様な記事で言う給与のみ得るかは取り組みとしては評価できる。
○パナソニック系やメルカリ 中堅・幹部の「給与格差」を見える化
2025.9.25
若手だけでなく、中堅・幹部層でも、社員間の「差」が明確に見える仕組みを導入して、組織を活性化しようとする企業も目立ってきた。
そんな動きの一つは、職務の定義と必要なスキルを明確にして適合する人を充てるジョブ型人事制度などの広がりだ。ジョブ型では、職務に必要な専門性や経験などが定義され、それに見合う人でなければ職位に就けないか、外れることになる。企業が成長し、職務の役割が大きくなれば、専門性や遂行力などさらに能力の高い人が必要になり、逆に業績悪化や事業の見直しなどがあれば、職務自体がなくなるか、役割が小さくなることもある。となれば、昇格の一方で降格も珍しくなくなる。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00787/091800007/
こうした結果として、人事制度の概念に「昇格/降格」という考え方は排除し、役割やジョブに対しての「任用/解任」という概念を入れるべきである。