ISO9001と経営:法令遵守は当然のこととして・その2(法律を守る仕組みの欠落)
記憶だが、ISO9001:2008では、「法令遵守は当然のこととして」という一文があった気がしている。いつの間にか忘れていないだろうか。
4回のうちの第2回
■フリーランス新法
民法では、契約行為は平等であり、取引上優位にあるからと言って相手の不利益になるような契約を強要して鼻穴井という趣旨が記載されている。それでも、発注者と受注者のpワーバランスのゆがみは問題になり、それを是正するというドライブがかかり、具体的にはフリーランス新法と呼ばれる法律ができた。
しかし、実態がそう変るわけもなく。そうした事への懸念が表面化している。
○フリーランス法1年、指導・勧告445件 取引条件を示さず違反続く
2025年11月1日
フリーランスと発注業者の取引の適正化をはかる「フリーランス法」が施行され、11月1日で1年となる。トラブル回避のための取引条件の明示義務化が柱だが、9月末までの11カ月間で、公正取引委員会が同法に基づき発注業者に出した勧告や指導は445件に上り、様々な業界で徹底されていない現状が分かった。
公取委は同法の違反行為を認め、被害者数が多いなど悪質と判断した場合は事業者名を公表し、改善措置や原状回復などを求めて「勧告」を出す。軽微な場合は、事業者名を公表せずに是正を求める「指導」にとどめる。
https://www.asahi.com/articles/ASTBZ13X3TBZUTIL00PM.html
実態は変らないだろうなと言うのは、私自身の実感でもある。比較的長期の業務や、コンプライアンスに厳しい目が注がれている企業ならいざ知らず、単発の仕事や、緊急の仕事、予算が確定していない仕事などは、どうしても曖昧になることが多い。実際私も、
・緊急なので、とりあえずやって欲しいと言うことで報酬の交渉が後回しになる。
・できばえで払うからと言って、報酬が確定しないまま仕事をする
などと言うことは結構ある。
しっかりしていそうな会社でも、担当者がいい加減だとトラブルになりやすい。
下記の記事はその一端を示しているのではないか。
○発注者から「法を守る」と言って欲しい 施行1年、フリーランスの今
2025年11月1日
施行から1日で1年となった「フリーランス法」ではトラブルを回避し、フリーランスを保護するため、発注者は事前に契約条件を示すことなどが義務化された。しかし、取引の現場では今も、不安を抱えながら仕事を受けている人たちが少なくない。
「仕事を受ける時、項目を明示してほしいと伝える根拠ができたのはありがたい」
女性によると、業界ではこれまで、業務の時期や報酬額、責任の範囲などが大まかにしか示されないケースが多かった。行政などの助成事業に採択されるかによって、事業の途中で予算が変わることがあるといった事情もあるという。こうした風潮は、今も「全体的には変わっていない」という。
年度単位で契約したある事業では、今年度の契約について話し合われたのが5月。しかもその場で仕事の削減を打診され、報酬の支払いも遅く、女性が申し出てようやく4月分が7月に振り込まれた。
https://www.asahi.com/articles/ASTBZ2652TBZUTIL00RM.html
■ 仕組み化されない制度
フリーランス新法については、もちろん「意図的に」やらないと言うこともあるだろうが、「できない」という要素もあり、人事制度やその他の諸制度が対応できていないと言う実情があるようだ。
考えあれれることとして
・契約部門がフリーランス対応の仕組みを整えていない。
・プロジェクト単位で仕事が流動的すぎて、契約締結前に着手してしまう。
・発注責任の所在が曖昧(社員個人の口約束)である。
と言うことがある。
これは「やる気がない」のではなく、制度・プロセスが追いついていない事例になり、朝日新聞の記事が指摘する「取引条件を示さず違反続く」というのは、まさに「制度として“できていない”」状態の典型例になる。
■ ISO9001としてのアプローチ
(1)「できないということであれば、仕組みがおかしい」
ISOでは、違反や不適合が起きたとき、「誰が悪いか」ではなく、“システムが再発を防げるように設計されていたか”を問うべきである。
つまり、
・契約管理の仕組み
・教育・権限委譲の仕組み
・倫理的判断を支える文化的仕組み
が機能していなければ、それは「個人の怠慢」ではなく「マネジメントシステムの欠陥」になる。こうした視点が必要になる。
(2)「現場の無責任は経営者の怠慢」
一方で、
・「どうせ問題にならないだろう」
・「後で調整すればいい」
という考えの背景には“利得優先の思考”がそれを放置している面もある。
7.3 認識
組織は,組織の管理下で働く人々が,次の事項に関して認識をもつことを確実にしなければならない。
a) 品質方針
b) 関連する品質目標
c) パフォーマンスの向上によって得られる便益を含む,品質マネジメントシステムの有効性に対する自らの貢献
d) 品質マネジメントシステム要求事項に適合しないことの意味
という規格要求事項の徹底は経営者に責任があることを忘れてはならない。