戦略人事:理不尽な時代の人材戦略【2/5】(人材の流動化と調達可能性)


戦略人事:理不尽な時代の人材戦略【2/5】(人材の流動化と調達可能性)

~のどかな人材戦略の時代は終わった~

■ 振り返り

先の投稿で
・トランプ関税の影響とまでは言わないが倒産企業の増加
・AIやロボティクスによるヒトの代替の進行
と言ったコトに注意を向けた。
また、技能職に特化した人材は職種を越えた転職はしにくいことは、逆に他の職種からの転換が容易でな良いことを意味する。

これは潜在的な人材の総量規制につながる。
結果としては「人手不足の慢性化」になり、企業の存続を脅かす。

○2025年7月の「人手不足」倒産 過去最多の41件 「従業員退職」が1.8倍増、採用も退職も有効打なし
2025/08/07

 2025年7月の「人手不足」が一因の倒産は、7月では過去最多の41件(前年同月比24.2%増)だった。1-7月累計は213件(前年同期比18.9%増)に達し、年間で初めて300件を超す可能性も出ている。
特に、「従業員退職」が前年同月の1.8倍と大幅増が目立つ。賃上げ、従業員の労働環境や福利厚生の改善が立ち遅れた企業は、人手不足が深刻さを増している。物価高や借入金利の上昇のなか、最低賃金の引き上げも求められており、収益改善が遅れた企業の生き残りはますます難しくなっている。

https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1201650_1527.html

■ 改善するはずもない人手不足

機会があり、中小企業の現場の人たちを話すことがある。総じて、「求人をしても来ない」、「内定を出しても断られる」と言うことが常態化しており、特に建築土木などでは「現場監督」を行なう人は必須なので、これが担保できないと受注できないことになる。

また、IT人材も深刻な状況にあり、これはどの業種でも共通だ。
背景には「働き方改革」もある。自分自身はかつてはIT系に居たから分かるのだが、かつて(40年以上前)は、生産性は今ほど高くなく、終わりの見えない仕事に従事していた。残業時間などは120から160時間は常だった。終わるまで帰らない(帰れないではない)が風潮だったが、いまは「定時で帰れ」が基本だ。

こうした働き方改革は法整備もおこなわれ、ますます人手不足を助長する。

○国土交通白書も「供給制約」に警鐘、人手不足の常態化が建設業をむしばむ
2025.07.31

国交省が25年6月24日に公表した最新の白書をめくると目に飛び込んでくるのが「供給制約」の4文字だ。就業者の減少や高齢化、24年に適用された残業規制などを背景に、サービス供給の維持・存続に黄信号がともっているという、一歩踏み込んだ表現となっている。

供給制約は、短期的には建設会社などの業績にプラスの影響をもたらす面がある。売り手市場となるため、採算性の良い工事を選別して受注しやすくなるからだ。価格転嫁に関する発注者との交渉も、有利に運べる。従って、大手建設会社の足元の業績は悪くないし、設備人材の不足が顕著なサブコンも、業績面では絶好調だ。

大手建設会社の人たちと話していても、「人手不足は深刻だ」と言いつつ目先の経営環境は明るいとの意見が目立つ。全国的には建築着工床面積(建築需要)が減少しているものの、スーパーゼネコンが受注するような大型再開発案件や生産施設などの工事は、しばらくふんだんにあるからだ。

もっとも、中長期的には供給制約のデメリットは大きい。供給制約が続き、度を超えた建設費高騰が続けば、建設需要自体がしぼみかねないからだ。実際、24年あたりから大型再開発プロジェクトの計画延期や中止などが相次ぎ発生している。このまま供給制約を放っておくわけにはいかない。

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/03215/072300002/

■戦略人事の潮流

かつて、大卒が一定程度確保できていた時代は「人数の帳尻合わせ」の採用戦術で良かったのだろうが、これからは総量規制の中で「質・量」の側面を配慮することが求められる。単にオペレーションとしての採用計画を考えている人事部に未来はない。