世間に転がる意味不明:埋め立て地で発生するリスク(メタンガスを予測していないなんてことは無いよなぁ)


■リスク

リスクとは何かと言われたときには「未来を左右する出来事や活動」と説明している。例えば。国債取引は通貨の交換でおこなわれ、そのレートは「為替相場」で決定される。すなわち、貿易を行なう際のリスクとは①海外と取引をする、②為替相場は変動するがリスクになる。円高・円安はそれにより発生する事象であり”リスク”ではない。

リスクの認識がなぜ大切なのかと言えば、未来に切る可能性を考えることにより不慮の事故を防ぐ可能性が高くなるからだ。しかし、行政を担う人種はこれを無視する傾向が強い。

■メタンガスの事故

呆れる情報という点では、やはり「大阪万博」であろう。私自身の好みでは開催されようが開催されなかろうが興味は無い。しかし、そこで起きる出来事は退屈しのぎになる。

会場となる夢州については

1977年、大阪市は埋立免許を取得し、廃棄物処分地の整備に着手。当時大阪市では大阪湾の浚渫土や公共工事で生じる建設残土、一般ゴミなどの処分場の不足が課題となっており、夢洲を整備し廃棄物の最終処分場として埋め立てを始めた。1991年には土地造成事業を開始。

そんな土地についておそらくは唐突に聞かされる事故の記事があった。

○3月に爆発事故発生の万博会場、東側の4か所でもメタンガス検出…低濃度のため工事継続
2024/05/30

万博会場がある人工島・ 夢洲ゆめしま (大阪市此花区)は埋め立て地。一般廃棄物などが埋められている会場西側工区では、3月28日に溶接作業中に出た火花がメタンガスに引火して爆発した。

そのため協会は、会場内260地点で業者が測定してきた可燃性ガスのデータを検証。土砂などで埋め立てられた会場東側工区では1~3月、一部エリアの4か所から1回ずつメタンガスが検出されていたことが判明した。

https://www.yomiuri.co.jp/expo2025/20240530-OYT1T50153/

東京都の夢の島、大阪府の夢州はともに埋め立て地である。埋め立てと言っても土砂ではない。夢の島はかつては生活ゴミであったし、夢州でも産業廃棄物と言っても有機物が混ざっており、発酵の危険性はあるだろう。

夢の島は今では安定した土地だと思われがちではあるが、まだ埋め立て途中であるとの記事も見る。その辺の事情については下記が参考になる。

○ごみを「直接埋立て」も90年代の東京の衝撃光景
残余年数50年超も東京港にはもう埋立て場所なし
2023/06/06
https://toyokeizai.net/articles/-/675223

したがって、ここでのリスクは「産業廃棄物」で埋め立てられていると言うことであろう。産業廃棄物には燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類などが含まれる以上、何らかの化学反応をそこで発生すると言うことは想定しうる。にもかかわらず「初めて聞いた」というような反応は解せない。

○万博会場メタンガス「パビリオンエリア」でも検出 当初は「ガス存在の可能性低い」と発表
2024年05月31日

<万博トイレの建設現場でガス爆発事故>

今年3月、メタンガスによる爆発事故が起きた、万博会場の工事現場で、新たに4か所でメタンガスが検出されていたことが分かりました。
ことし3月、万博会場となる夢洲の「グリーンワールド工区」のトイレで、溶接作業中に出た火花が地中から出ていたとみられるメタンガスに引火する事故が発生しました。

<パビリオンのエリアでもメタンガス検出 基準の4分の1以下>

これを受けて、博覧会協会が会場の260の地点で測定していたメタンガスの濃度を確認したところ、当初、メタンガスが存在する可能性が低いとしていた、パビリオンが立ち並ぶエリアの4か所でも検出されていたことが新たに分かりました。

メタンガスの濃度は、法令が定める基準の4分の1以下で、体調不良を起こした人は出ていないということです。
博覧会協会は、来月中に安全対策を取りまとめたいとしています。

https://www.ktv.jp/news/articles/?id=12686

■リスクの軽視が生み出すもの

博覧会協会が会場の260の地点で測定していたメタンガスの濃度を確認したところ、当初、メタンガスが存在する可能性が低いとしていた、パビリオンが立ち並ぶエリアの4カ所でも検出されていたことが、新たに分かりました。
https://www.ktv.jp/news/articles/?id=12692

と言う記事を見るとその準備不足には驚かされる。
全く想定していなかったとすればマネジメント能力が無い無能さをさらけ出すだろうし、想定していながら楽観視しているならば、その脳天気さには驚かされる。

今後対策を取るとしても、それはただではできない。
今は下火になっているが、大阪万博のコスト問題はどうなるのだろう。
きっとうやむやにされるだろう。

なぜなら、こうしたメタンガスなどのリスクも予定外であるだろうし、予定外のことは責任などを取らない風土が関西の政治体制にあるからだ。リスクが生み出すものは明らかである。事故への対応+予防措置である。誰が迷惑を被るかを真剣に考えた方が良い。

(2024/06/02)