電動モビリティ/パーソナルモビリティの未来

電動モビリティ/パーソナルモビリティの未来

作成者:中野康範

作成日:2025/12/09

情報源

Personal mobility パーソナルモビリティ

パーソナルモビリテイは“電動”車いすではなく、低速で移動する一人用の乗り物です。

今後、混雑が予想される会期後半に向けて、より幅広い皆様方にパーソナルモビリティを体験いただけるよう、会場内の自由走行から、専用エリアにおいて試乗いただく事業へと転換いたします。

タグ情報

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  • 歩行困難者
  • パーソナルモビリティ

PSET的視点

政治、社会、経済、技術の側面で見てみよう。

社会面

 統計上の概数から見ると、障害者手帳の所持者数が400万人、そのうち車椅子を移動手段としている人数は200万人と言われている。これに老齢の人も含めて、みると、350万人程度は活用しているのではないかと思われる。

一方で、ほとんどの車椅子は手動であったり、介助者が必要なものであり、自走するタイプの車椅子は少ないと考えられる。それは、下記の統計データでもうかがえる。

電動車いす安全普及協会 出荷台数の推移

年度 ジョイスティック形 ハンドル形

    標準形 簡易形 小計  三輪形 四輪形 小計  介助用 合計

’19(R1) 701 4,638 5,339 404 16,741 17,145 7 22,491

’20(R2) 656 3,430 4,086 279 15,028 15,307 3 19,396

’21(R3) 615 3,616 4,231 328 14,568 14,896 7 19,134

’22(R4) 629 3,741 4,370 294 13,770 14,064 4 18,438

’23(R5) 508 4,376 4,884 201 15,342 15,543 446 20,873

’24(R6) 458 3,685 4,143 761 13,872 14,633 856 19,632

現実面で見ると、現在の道路整備などの側面ではバリアフリーとはとても言えず、また車道を電動型車椅子で走行することは危険を伴う。したがって、こうした側面は普及を遅らせている面も配慮が必要であろう。一方で、こうした統計は、現実の一面だけに焦点を当てており、実態と一致しているかは判断が難しい。電動型車椅子の需要がないと見るべきか、まだ伸びしろがあるとみるかは他のデータとの照合が必要である。正の側面、負の側面、両面での施策的判断が必要であろう。

政治面

政策面にも目を向けておこう。

国土交通省のサイトに次世代の生活支援(超小型モビリティの導入)という項目があり、「超小型モビリティは、交通の省エネルギー化に資するともに、高齢者を含むあらゆる世代に新たな地域の手軽な足を提供し生活・移動の 質の向上をもたらす、少子高齢化時代の「新たなカテゴリー」の乗り物。」として制作の方向性を打ち出している。

 少子高齢化時代の“あらゆる世代に適した、新たな地域の足”として超小型モビリティを位置づけ、公道交通(自動車/バス/電車)や徒歩だけではカバーしきれない“ラストワンマイル”の移動手段として、「免許不要・歩道走行可能な小回りのきく乗り物」を公的に認めようという方向性があると捉えることができる。

「歩きづらさ」「高齢化」「交通インフラの維持難」という日本社会の課題を前提に、“次世代型モビリティ”を政策手段の一つとして検討・導入する意思があることが分かる。

技術面、社会面

WHILLという近距離モビリティが話題になったことがある。従来の電動型車椅子とは異なり、スタイリッシュで操作性のわかりやすさが他と一線を画していた。今も事業を継続させており、単に販売というよりはレンタルなどでの活用支援を行っている。

現時点で探ると、それは2つの方向性を示唆している。

1つ目は、地方の観光地での移動手段の提示であろう。

山新観光は、多くの人が抱える「歩行の不安」を解消するため、次世代型電動車いす「WHILL」の販売・レンタルを行っています。

山新観光はお客様の課題にお応えするため、近距離モビリティ「WHILL」を導入しました。「WHILL」はどなたでも気軽に安心して使える、スマートで快適な移動手段です。風が吹き、樹木や草花が揺れ、鳥がさえずる屋外の世界へいざない、ご利用者様の活動範囲を拡げ、五感を刺激する日常をつくります。

十分に整備された遊歩道であれば、こうした電動型車椅子は、高齢者や幼児などを抱えた環境客への負担を軽減できる。

2つ目は、公道ではない限定された施設内での移動手段としての活用の可能性である。最初の大阪万博での記事も参考になるが、テーマパーク内の移動、ショッピングモール内での移動、道の駅などの広いエリアでの移動などは適用しやすいだろう。実際、空港などで検査場を通過したあとでの移動は荷物を持ったままでは負担がある。こうした面でも利用可能になる。

個人的所感

私が住む地(東京近郊の地方都市)でも「WHILL」を何台か見る機会があり、やはり、そのスタイリッシュな乗り物に関心が向く。上記のようなことを調べるうちに、AIやロボティクスについて、これと連動する未来の「パーソナルモビリティ」に思いを馳せる。

観光地での「WHILL」にセンサー(GPSを含む)などを装備し、今見ている景色の説明をする。近くの休憩所はトイレの位置を教えてくれる。具合が悪くなっていそうなら救護センターに連絡してくれる。色々な質問に答えてくれるなどの付加価値をつければ、強力な観光ガイドになる。

ショッピングモールのようなところでは、子供を乗せるとともに買い物カートも自動で随伴させる。その人の買い物履歴で、おすすめ商品を探し助言し、お買い得商品なども案内する。買い物にはすべてICタグなどもついており、そうでない野菜のバラ売りなどもカメラで自動精算してくれる。レジなどは必要なく、配送も宅配サービスが利用できる。

現在、町中の道路事情はお世辞にも良くはない。しかし、例えばトヨタの「ウーブン・シティ」のような試みが全国に広がり、パーソナルモビリティの制約が減れば、AI+パーソナルモビリティが当たり前になれば、今は想像もできない新たなサービスが展開されるのではないだろうか。

あなたの業界では、このパーソナルモビリティをどう応用できるだろうか?