曖昧になる境界線(SUICAの機能拡張)(20251213)
作成者:中野康範
作成日:2025/12/13
様々な記事を、自分の興味の流れに沿って整理してゆくと、世の中の流れはきっとこうなるのではないかと想像させる。それがあっているかどうかはともかく、一つの可能性として考えることは無意味ではないだろう。その一例になるので思考実験としてお付き合いいただけると幸いです。
乗車券の過去・現在・未来
好奇心に任せて、色々な記事をスクラップしている。見返しているうちに目を引く記事があった。
東京メトロ全線でクレカタッチ乗車、26年春から 2025年07月25日
> 東京地下鉄は2026年春から、東京メトロ全線でタッチ決済による後払い乗車サービスを開始すると発表した。これにより、クレジットカードやデビットカード、プリペイドカード、あるいはそれらのカードが設定されたスマートフォンなどを自動改札機にかざすだけで、事前に乗車券を購入せずに東京メトロ全線を利用できるようになる。
私が住む東京近郊に在住する人には関心が向くだろうが少しローカル色のあるニュースだ。もっとも、乗車券の歴史を振り返ると違和感はない。
50年ほど前には自動改札機・自動券売機などはなく窓口で硬券を買い、改札で乗車券にパンチしていた時代だった。それが、磁気の乗車券になり、改札から人がいなくなり、プリペイドカードのような磁気カードが普及すると一気に券売機の数が減ってきた。という記憶がある。
磁気カードは吸込口からベルトで回収しながら読み取るという機構上、機器のメンテナンスにコストがかかるという。そのために今はICカードで読み取る専用機が増えつつある。最近のニュースの中で、券売機からはQRコードを印刷したものが排出され、それを読み取る方式に変えてゆくという記事も見た。
いずれ「乗車券」という物理的なものが必要だという概念はなくなるのだろう。
シームレス化する世界
私自身は、こうした交通系ICカードとしてPASMO、ICOCAを保有し、あわせてJRのえきネットなどを利用している。出張に当たってはホテルの予約はネット予約を使うので、ほぼほぼキャッシュレスで全てが済む。ただし、それぞれの決済では手続きが個別に行わなければならないところもあるし、現金でしか決済できないところもある。鉄道やバス、タクシーでもまだ一部現金だけというところもある。
それでも、段々と「自分のキャッシュレス環境」を意識しないでも、移動・宿泊・買い物が自動で決済されるシームレスな時代が来る気がしている。
上記の、クレカタッチにしても、会社間の互換性があることは承知している。
東京メトロ「クレカ乗車」全面導入へ――他社管理駅で使えない“乗り入れの限界”とは 2025.8.20
交通機関の利用にSuicaなど交通系ICカードではなく、クレジットカード(以下、クレカ)のタッチ決済が増えています。自動改札機も、交通系ICの読み取り部とは別に、クレカ決済専用のタッチ画面が設置されたものをよく見かけるようになりました。(中略)いっぽう、デメリットはまだまだ大きいです。タッチ決済乗車では今のところ、複数の鉄道会社をまたいでの利用はできませんし、定期券の販売もありません。導入済みの駅でもすべての改札機にタッチ端末があるわけではないので、改札機を選ぶ必要もあります。今後改善が進むと思いますが、交通系ICのほうが便利だという方が多いかもしれません。今後も交通系ICに取って代わるのではなく、選択肢の一つだと思います」
歴史的に見れば、こうした問題はすぐに解決される。システム開発の立場から言えば、「
ブリッジ」を作り「ラッピング」すれば良い。昔からの技法だ。
水が高いところから低いところに流れるという例えではないが、いずれ、シームレス化した世界が常識になるだろう。懐古趣味的な世界でない限り、この流れを止めることはできないだろう。その流れを感じさせる記事も散見される。
JR九州、タッチ決済を導入へ 来年4月、グループ初 2025年12月12日
JR九州は12日、クレジットカードなどを改札機にかざして運賃を支払う「タッチ決済」を、来年4月から一部駅で本格導入すると発表した。JRグループで鉄道路線に本格導入するのは初めて。利用者の利便性を高め、交通系ICカードを持たないインバウンド(訪日客)などを取り込む狙いがある。
可視化した情報がもたらすビジネスチャンス
DX、AI、ロボティクス、こうした先進的な技術の組み合わせで重要な概念は「可視化」であろう。ほとんどのビジネスはこの可視化をどの様に扱うのかで構成されている。それは、現行のビジネスモデルにしがみついていることを許さない。その延長線上にビジネスドメインの拡大もある。
上記の交通系ICカードとクレジットカードの境界線を無くするということは、JRにとっては直接の脅威になる。すなわち、今は交通系ICカードというカテゴリーだが、これが区別されなくなればわざわざSUICAなどを作る必要もなくなる。大量のICカードを発行しているJRにとっては、無視できない事になる。
したがって、単にICカードを発行すること以上のビジネスチャンスに目を向けることは当然である。
JR東日本、Suicaの位置情報で改札フリー 個人間送金も 2024年12月9日
JR東日本は交通系ICサービス「モバイルSuica(スイカ)」の位置情報データを活用し、自動改札機で精算しなくても鉄道に乗れるようにする。スイカの個人間送金を可能にし決済機能も高める。膨大な移動や決済のビッグデータを集約してクラウドで一元管理し、沿線地域の効果的な商業開発や街づくりにもつながるサービスの開発に生かす。
こうした情報に関してもシームレスになってゆく。それは、情報の新たな活用シーンの創出でもある。残念ながら、どのようなビジネスシーンが展開されるかは想像もできない。むしろできないことはなくなってゆく中でビジネス感性をどう磨くかが重要になるだろう。
下記の記事を見ても、残念ながら「そうなのか」ということ以上に想像力が働かないことが残念だ。
見えない人流をデータで可視化。バス路線の再構築から浮かぶ商機とは? 2024/12/27
深刻な運転者不足や収益の減少に直面するバス業界。そんな中、兵庫県姫路市に本社を構える神姫バス株式会社(以下、神姫バス)は、位置情報AIベンチャーのLocationMindと協業し、GPSデータを活用したダイヤ編成支援サービス「xPop for Bus Operation Management(以下、xPop for Bus)」の提供を開始した。実証実験では利用者数が最大1.5倍に増加するなど、既存路線の最適化と潜在需要の発掘に可能性を見出したという。
AIによる自動運転バスとくみあわせると、オンデマンドで利用できる「バスとタクシー」のハイブリッドサービス、そしてどこにどんな時間帯で利用者が集中するかによる最適回遊ルートの設定などしか思い浮かばない。
あなたはどんな未来を想像するかな?
閑話休題