■逃げるは恥だが
中国に関わるニュースが不穏である。
○米ギャラップ、中国市場から撤退へ…「中国に好意的な米国民は15%」の世論調査を公表で当局から圧力か
2023/11/06
ギャラップは今年3月、中国に好意的な米国民が15%にとどまり、1979年以降で最低だったとする世論調査を発表した。この結果に対し、中国共産党機関紙の人民日報系の環球時報が「世論調査を中国封じ込めの道具としている」などと批判しており、FTも「当局の怒りの的になった」と報じた。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20231106-OYT1T50167/
中国は海外からの投資を求めている一方で、国家の安全を過敏に対応することをしており、進出する企業にとって不安材料になる。自国の不利になるからと云ってデータを無視する姿勢は危険だ。
おそらく、現在事業を営むほとんどの企業は直接・間接はともかく中国と無縁とは行かないであろう。いざというときのために「逃げる準備」をしておくべきである。
■中国の経済の後退
中国企業は、フットワークの良さもあり、急激に巨大化し突然崩壊するというのもあり得るので、世界経済には何ら影響を及ぼさないという話もある。簡単に言えば短期的な活動が前提なので長期的に続ける文化が無いのだという。それは突然の景気後退のリスクがあると言うことだ。
あまり大々的にテレビニュースで取り上げるとことは少ないが、中国の経済の鈍化が鮮明になっており、世界経済に与える影響が心配されている。その一番は、不動産関連企業のデフォルト問題であろう。
○中国碧桂園、債務支払い義務「全ては履行できず」
2023年10月18日
資金繰り難に陥っている中国の不動産最大手、碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)は18日、海外債務の返済義務を全ては履行できない見込みだと表明した。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM103NB0Q3A011C2000000/
○碧桂園ドル建て債が初のデフォルト、受託機関通告-大型債務再編か
2023年10月25日
世界2位の中国経済を動揺させた不動産セクターの債務危機が広がりを見せる中で、ドル建て債のデフォルトは、碧桂園が資金繰りに行き詰まりディストレス状態に転落したことを浮き彫りにする。同社は中国で過去最大規模の債務再編に向かう可能性が高い。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-25/S32L5DDWX2PS01
すでに中国恒大集団は再建中であるが前途多難であるようだ。
○中国地銀で取り付け騒ぎ 札束積み沈静化図る
2023年10月14日
経営再建中の中国不動産大手、中国恒大集団を巡り、河北省滄州市を地盤とする滄州銀行で14日までに取り付け騒ぎが発生した。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM141V30U3A011C2000000/
景気後退は、それまで牽引役であったEVにも悪影響が出ている恐れもある。
○中国新興EVの威馬汽車が破産申請
2023年10月11日
中国電気自動車(EV)の新興企業、威馬汽車技術(WMモーター・テクノロジー)が上海の裁判所に破産を申請したことが9日付の書類で明らかになった。
同社はここ数年、新型コロナウイルスのパンデミックの影響、資本市場の低迷、原材料価格の大幅な変動、運営と開発に必要な資金が調達できなかったことなどによる苦境で、事業環境面でジレンマに陥っていたと説明した。
https://jp.reuters.com/article/china-autos-idJPKBN31B06I
■なりふり構わない政策変更
そしてさらに懸念されるのは、脈絡のない施策の実施だろう。
すでに「福島原発」の放射性物質を含む処理水については、自国で取ってきた日本近海の魚はOKで、遠洋漁業であろうと日本からの輸入は禁止という支離滅裂な政策をとっている。
○中国 黒鉛の関連品目を輸出規制へ アメリカなどをけん制か
2023年10月20日
中国政府は、リチウムイオン電池の材料に使われる黒鉛の関連品目について、ことし12月から輸出規制を実施すると発表しました。中国向けの半導体の輸出規制を強めるアメリカなどをけん制するねらいもあるとみられます。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231020/k10014231651000.html
こうした政治的な理由や国内の急激な経済変化への対応で、突然の政策変更は予測が難しい。相手がなりふり構わない行動が出ることは事業リスクとして考える必要がある。
直近では黒鉛(EV車の電池の素材)に係わる規制がある。
○商務部、12月1日から一部の黒鉛品目に対する輸出管理を実施と発表 (中国)
2023年10月26日
中国の商務部と税関総署は10月20日、「輸出管理法」「対外貿易法」「税関法」の規定に基づき、国家の安全と利益を守るため、商務部・国防科学技術工業委員会・税関総署公告2006年第50号「黒鉛類関連製品に対して臨時輸出管理措置を実施する決定」に記載の品目を調整し、一部の黒鉛品目に対して輸出管理を実施すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。12月1日から実施される。
https://www.jetro.go.jp/biznews/2023/10/b5e49f3956a21a5e.html
海外取引の不安定さはサプライチェーンが信用できなることを意味する。したがって、中国と取引をするだけでなく海外取引にはそもそもサプライチェーンは突然おかしくなるコトを想定して計画を立てる必要がある。
■沈没船から逃げ出す算段
自分のビジネスモデルは何を前提としているのだろう。
安いトマトが前提のトマト専門店は気候の変動で立ちゆかなくなるかもしれない。
金属部品(例えば銅)に依存している製造業であれば、その供給が止れば事業の継続ができなくなる。
そうした依存性が強いときには考えた方が良い。
常に自分の乗っている船は沈没の恐れがある。ヤバいと思ったら逃げると云うことも「プランB」で考えていて欲しい。
○三菱自動車 中国市場からの撤退決定へ 日系メーカー各社が苦戦
2023年10月19日
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231019/k10014229921000.html
参考までに。
<2023/11/09>