スキルデータベースについて(2)

要員の能力管理については、ISO9001にも関連項番がある。
少し長いが、引用する。

7.2 力量
組織は次の事項を行わなければならない
a)品質マネジメントシステムのパフォーマンスおよび有効性に影響を与える業務をその管 理下で行う人(または人々)に必要な力量を明確にする
b)適切な教育、訓練又は経験に基づいて、それらの人々が力量を備えていることを確実に する
c)該当する場合には、必ず力量を身につけるための処置をとり、とった処置の有効性を評 価する
d)力量の証拠として、適切な文書化した情報を保持する

注記:適用される処置には、例えば、現在雇用している人々に対する、教育訓練の提供、指導の実施、配置転換の実施などがあり、また、力量を備えた人々の雇用、そうした人々との契約締結などもあり得る。

(ここまで)

これは、スキルズ‐インベントリーになり得ないのだろうか?
なりうる。
実際に役立つようにつくっていればだが。
上記は、いくつかのポイントがある。
・実際の製品作りを担保させる能力を正確に定義すること
・だれがその能力を保有しているのかを把握すること
・能力の保有していない社員に担当させないこと
したがって、能力を保有していない人に教育をするかどうかは組織が決めれば良い話であって、要は、能力を担保された人が業務に就いていれば良いことになる。
すなわち、「現業の業務が対象であること」、「現在の能力の保有状況がわかれば良いこと」になる。人柄だとか、使いもしない関連知識の保有などは関係ない。

ただし、いわゆる資格に関してはわかりやすいのだが、多くの企業では、マネジメントスキルであるとか、コミュニケーション能力だといった、ヒューマン系を項目にあげているところが多い。実際に仕事ができるかどうかではない。

さて、スキルズ‐インベントリーを何のためにつくるのだろう。
教育を目的にするのであれば、個人別のキャリア計画と連動させる必要がある。
新事業あるいは海外進出などを図るためのメンバー探しであれば、業務経験を探索できる必要がある。

ISO9001ではそれはできない。
目的が違うのだから。

スキルデータベースについて(1)

今から30数年前。コンピュータが企業に使われ始めたころ、スキルズ‐インベントリーという言葉が人事部門から出されたことがある。

おそらく、いつの時代も、どんな会社も「誰が何をできるのか」を知りたいと思ってデータベース化を目指すのだろうが、うまくシステム化されている例を私は知らない。

理由はいくつかある。

一つ目は、入力の動機付けを設定しにくいことにある。
人事異動を含めた人事情報や給与計算など、企業として管理しなくてはいけない事項はデータベース化しやすい。
一方で、入力を社員が行わなければわからない情報を管理するのは難しい。
制度化されている目標管理なども入力自体をシステム化していないと、なかなかデータベースにすることはできていない。
目標管理は、多くの場合には評価につながるので入力の動機付けになるが、自分の能力と云うことになると入力しても本人利益につながらないので動機付けにならない。
そもそもデータベースとして情報の整備がしにくい。
当然のことながら、データが欠損していてはデータベースの意味が無い。

二つ目は、維持管理が難しいことにある。
社員のスキルや能力は一定期間ごとに変化してゆく。レベルアップもあるだろうし、新たな能力開発もあるだろう。資格取得であれば、資格喪失などもある。
こうした、頻繁に質的変化がある項目について、データベースを維持することは最初に設計をしっかり行っていないとシステムとして成立しない。

では、どんな点に気をつけてデータベースを構築すべきだろうか。
下記に、留意点を示す。

(1)スキル項目自体をデータベースの管理項目とすること
スキルは、時代に応じて変わってくる。
製造業であっても、新しい技術が出現したり、新しい製造機械が出てきたりすると求められる能力が変わる。
今までは手作業で行っていたことが、例えばマシニングセンターでプログラムを入れることができる人材が必要になって来ていることも一例だろう。
また、新しい職種が出てくれば必要なスキルも変わる。
変化してゆく能力スキルを定義して管理するシステムも配慮すること。

(2)使う目的に従ってデータベースを設計すること
管理しやすいことを目的にしないこと。
使う目的を配慮した時に、どのようなデータベース構造にしておくと使いやすいかを考える必要がある。
この人はどんな経験をしてきたのだろうかと云うことを見たいのであれば、個人を中心としたデータベースになるだろうし、この技術の経験者を探したいということであれば、スキルを中心としたデータベースにすべきだろう。

(3)人は同じ状態でいないことを前提にすること
経験を積むことによって人は能力を高めてゆく。
逆に、現場を離れることによって失われる能力もある。
公的な資格などは、維持を求められることもあり、資格喪失もあり得る。
データベースでは、こうした時間経過を配慮した設計にする必要がある。

エミリー・クレイン=シャドボーンの肖像

先日(9月14日)、上野の藤田嗣治展に行ってきた。
金曜日の午後であればすくだろうという思惑で、4時ぐらいからの展覧としゃれ込んだ。

 

すでに秋田県立美術館でいくつかの作品を見ていたことと、藤田に関する書籍を読んでいたので、余計な説明文を見ずに作品自体を楽しめた。

さて、写真やインターネットの画像である程度作品の予備知識はあったものの、いろいろ驚いた。

・キャンバスが大きいモノが多い。裸婦像にしろ肖像画にしろ、その大きさによる圧倒的な存在感はすごい
・そのくせ、細かいところまで書き込まれており、背景となる布地の絵柄まで細かく書き込まれている。
・線の一本一本まで丁寧な書き込みがされており、そのすごさは写真や画像などではわからない。質感が表現されている。
・また、作品数の多さにも驚かされる。物の本によると、非常に短い期間で書き上げていたとのこと。

写真は、「エミリー・クレイン=シャドボーンの肖像」

写真だとわからないが、質感がすごい。

ソファーなどは立体的に見え、柔らかさが感じられる。

猫の毛も一本一本描かれており、その精緻さには圧倒される。

藤田の絵は,もちろんいろいろな人の影響を受けていたことはあるだろうが、藤田しか掛けない絵を描いていると思う。当時の日本画壇が理解できなかったことはわかる。

彼は額縁も制作している。
へーと思うような作品に出会えると思う。

混み合っていない時間帯を探していって見てはどうだろう。