■ テレワークがもたらすパンドラの箱

先日、LINEによる厚生労働省の調査があり、その結果が報告された。

テレワーク実行5% 厚労省LINEに2400万人回答
https://www.asahi.com/articles/ASN4472L7N44UBQU001.html

「「仕事はテレワークにしている」は5・6%にとどまり、」と記載があり、多くの報道では少ないことを焦点を当てている。

この数字は、新型コロナウイルスへの対策として実施しているかという文脈なのですでにテレワークを実施している数字は入っていないだろう。

私なども通常はスカイプなどの会議ですませられるものはそうしているので特に「テレワーク」と云うことは意識していないのでチェックは付けていない。

さて、回答者がすべてサラリーマンかというとそうでない人も混ざっているので数字を装丁することは難しいが、少し試算してみよう。

統計的な世界では「大数の法則」というのがあり、ある程度のサンプル数があれば全体にそれを適用しても良いと言う考え方がある。

LINEの利用者が8000万人と言われているのでそれを適用すると、今回のコロナウイルスの為にテレワークをしている人は、400万人と言うことになる。もっとも、主婦や学生なども含まれているはずなので、少々乱暴だが、仮に40%とすると160万人が新たにテレワークをしたことになる。

これはものすごい数になる。

○今まではどうだったのか

平成29年度テレワーク実態調査(平成30年3月)
http://www.mlit.go.jp/crd/daisei/telework/docs/29telework_jinko_jittai_gaiyo.pdf
によるとテレワークの精度がある企業が9%になっており、調査対象が限定的であるとしても一定程度の普及があることが分かる。
その業種は、情報通信が33.8%、技術サービスなどが27.0%であり、テレワークしやすい業種に偏っていることが分かる。

また、職種も管理職、営業職、研究職などが上位を占め、販売、保安、サービスなどは低いことからテレワークの向き不向きがあることが分かる。

メリットとしてあげられるのは、「自由に使える時間が増えた」「通勤時間が減った」「業務の効率が上がった」などがあげられている。

すべての企業や働く人にとってテレワークが向いているわけではないのだろうが、今回の騒ぎでテレワークを取り入れている企業が増え、社会のインフラが整備されると、働き方の選択肢が増える。

上記の新規に始めた人が160万人と云うことになるとこの数字は大きく変わるかも知れない。来年の統計を注視したい。

○変わりゆく未来

テレワークだけでなく、ITC活用が進むと今までは当たり前であったことが変わって行くかも知れない。

コロナで相次ぐ研修中止、今こそ考える「新人教育」の目的と6つのステップ
https://diamond.jp/articles/-/233581

いままでは普通にあった新入社員研修もオンライン研修や動画研修で実施しフォローをWeb会議などで実施できるようにする動きがある。

同じように、教育現場での動画配信、採用活動でのWeb活用と影響範囲は大きい。
同じ場所に集まると云うことは、時間も費用(交通費、宿泊費)も膨大なのでコスト負担が減って行くだろう。

もちろん、インフラの整備やコンテンツの整備、そして情報発信の専門家などの育成などの必要だろう。

それでも、いったんメリットが享受できることが分かった以上元に戻るのは難しいかも知れない。

現在、医療も非接触の診療を模索していると訊く。普及しない理由は、「ITを使いこなせない町医者の問題」「インフラの整っている大病院への集中による町医者の経営難」があるそうだ。相変わらずの本末転倒だが、いずれ変わってくるだろう。

どんなビジネスチャンスが巡ってくるだろう。
時間と場所に制約されない人材マネジメントが必要になる。

○大きくなる格差

「テレワークを導入する」と云っても簡単な話ではない。
単純に必要なリソースは以下のようになる。
・ファイル共有などを行うサーバー環境の構築
・セキュリティの確保
・テレワークさせるための通信環境の確保
・テレワークさせるためのハードウエア、ソフトウエアの提供
・社員のITに関するリテラシーの向上

こうした対応を中小企業がすべて用意するのは難しい。正直に言えばヒトモノカネが潤沢にない以上、中小企業がテレワークを実施するのは難しい。
結果としては、大企業の生産性は向上し、中小企業が取り残されることになる。

こうした格差は地域や業種にも出てくるだろう。

コロナ対応のテレワークに「格差」が生じている
https://toyokeizai.net/articles/-/342092

すべてを賛同できるわけではないが、以下の記事に示すように大企業と中小企業の格差は大きくなるに違いない。

「日本は生産性が低い」最大の原因は中小企業だ
https://toyokeizai.net/articles/-/339534

個人的には、中小企業の共同体をもっと効率的に運営できる制度の拡充と専門化の育成が必要になると思っている。

○不要になる管理職

企業間格差も問題ではあるが、企業内での格差も問題になる。

https://diamond.jp/articles/-/232997
隠れ「働かないおじさん」がテレワーク強制で次々あぶり出された理由

単純に「テレワーク」を強制し、Web会議で事を済ませてしまうと云うのは無理がある。
よく言われるのが、「会議は連絡する場所ではない」「聴くだけの人は会議に出席する必要が無い」と云うことなのだが、現実的にはできていない。これがWeb会議では議事録は「音声」にし、将来的には「文字おこしもAIで」と云うことになると、すべてが白日の下にさらされる。「サイレント」な出席者はいなくても良い。

それだけでなく、そもそも業務プロセスをテレワークに併せてチューニングしなければならない。それができないと、本来不要な人材の放置につながる。

「報連相」という言葉がある。かつて(私ではない)上司が「なんで事前に相談がないのだ」というと「貴方に相談しても解決することはない」「なんとかしろと言うだけなら貴方は要らない」と吐き捨てた輩がいる。

課長であるなら、「部下の動きを監視し、アウトパットに影響を与えそうな諸々のことを予見し対策を打つ」ことが必要だろう。アウトプットに何も影響を及ぼさないリーダーは不要だ。

ということが分かってしまう。本当に今の意思決定システム(部長がいて、課長がいて、主任がいると言う階層構造)が必要なのかを見極める必要がある。

○セーフティネットが必要

しかし、誰でも彼でもリモートワークができるわけではない。
今の様々な報道を見る限り、弱者への配慮が不足していると感じる

コロナ危機でも在宅勤務できない働き手を救え、動き出した人道企業
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/world/00194/

人道的なベーシックインカムを考えてほしい。

2020/04/06

■フェイクニュースに備える・自分で考えることの難しさ

https://blog.trendmicro.co.jp/archives/15789
「フェイクニュース」を見破るためには?

2017年の記事だが、その中に『現在のところ、「フェイクニュース」の攻撃手法に対し、一般のインターネット利用者が活用できる技術的対策はほとんどありません。』
とあり、状況が変わっていないのだろうなと感じる。

(関係の無い映像を入れたりや順番を変えるだけで情報操作が可能になる)

私が初めて衝撃を受けたのは湾岸戦争の際に流れた石油まみれの鳥の映像だ。
戦争の悲惨さではない。映像とは無関係にアメリカの戦争の正当さのナレーションが流れていたことだ。

後に、この映像の真偽については議論があったが、よく分からない。
私が言いたいのは、
・時間軸を入れ替えた映像を流すこと
・関係の無い地域や映像の意図的な選択をすること
で推論される結論を入れ替えることが可能なことだ。

そこに、嘘の情報を入れたりするとどうなるだろう。

テレビのニュースなどを見るときには、その映像は「いつ」の「どこか」と云うことには注意している。1ヶ月も前の映像をつかって現地報告などをしている放送局も見かける。

最近、自治体がAIを使ってあたかも実際にしゃべっているかのように多国語を操る市長のビデオを作成していた。「どうです自然に見えるでしょう」と自慢していたが、これは実際にはそうしゃべっていなくともそう見せる技術が浸透してきたことだ。

映像そのものが加工されるのが常識だとしたら、どうすれば良いのだろうか。

(ニュースソースを確認すること)

自分で確かめることを厭わないことが必要だろう。

例えば下記の記事があり、「歌舞伎町の風俗」と特定の地域をあげている。

https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000180624.html
キャバクラやホストなど歌舞伎町の風俗で感染者多数[2020/04/01 12:11]

さて、このニュースソースは何だろう?
少し追いかけてみよう。

https://iwj.co.jp/wj/open/archives/471316
新型コロナウイルス感染者の感染源について「接客を伴う飲食の場で感染を疑う事例が多発」とバーなどの特定業種をあげたが、今の時点で爆発的増加の証拠はない!? ~3.30小池百合子 都知事 記者会見 2020.3.30

↓ 「接客を伴う飲食の場で感染を疑う事例が多発」で検索

https://www.nippon.com/ja/japan-data/h00663/
都市部5都府県で抜本的対策必要―政府専門家会議: 都道府県別の新型コロナウイルス感染者数(随時更新)

↓ 政府専門家会議: 都道府県別の新型コロナウイルス感染者数 で検索

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000617992.pdf

この中でやっと該当する記述を見つけられれる。

下記の記載になる。

〇 このため、市民の皆様には、以下のような取組を徹底していただく必要がある。
・「3つの密」をできる限り避けることは、自身の感染リスクを下げるだけでなく、多くの人々の重症化を食い止め、命を救うことに繋がることについての理解の浸透。
・今一度、「3つの密」をできる限り避ける取組の徹底を図る。
・また、人混みや近距離での会話、特に大きな声を出すことや歌うことを避けていただ
く。
・さらに、「3つの密」がより濃厚な形で重なる夜の街において、
①夜間から早朝にかけて営業しているバー、ナイトクラブなど、接客を伴う飲食店業への出入りを控えること。
②カラオケ・ライブハウスへの出入りを控えること。

この中では特定業種については記述があるが「歌舞伎町」の文字は出てこない。
情報が伝搬する中で出てきたのだろう。少なくとも専門家会議では行っていないと思われる中であたかも彼らが行ったかのような印象操作は好ましくない。

もちろん上記の情報だけで結論づけるのは正しくない。しかし自分で調べてみる習慣が必要だ。そうしないと、朝三暮四を地で行く猿になりかねない。

■ 同一労働同一賃金のもたらすこと

新型コロナウイルスでの業績悪化を理由に雇い止めが問題になっていそうだ。
そうした中で、「同一労働同一賃金」に関する法律が施行される。

単純に正規雇用の社員とへ正規雇用の社員の待遇格差がなくなるかというとそうは簡単には行かないのではないのかと思う。

コロナに「同一労働同一賃金」対応が追い打ち、雇用市場は混乱必至
https://diamond.jp/articles/-/233392

『2019年12月末、大手派遣業者の名古屋営業所に、かねて派遣契約の更改を打診していた市内の工業用機器輸入・設備施工業者の総務部長から電話が入った。緊張しつつ応対した担当者に告げられた内容は、「法の趣旨は理解できるものの、現在の当社には派遣社員の時給を6%引き上げてまで雇用する余裕はないため、年度内中に契約を解除したい」というものだった。』で始まるこの記事は、非正規社員の差別を当然としている企業の姿勢が浮かび上がる。

<私が悪質な経営者なら>
当面の課題が人件費ならば、下記のような発想が起きかねない

手当をすべて廃止し基本給と賞与だけにして、非正規社員を正規社員並みに引き上げる。
ただし、この時二つのパターンがある。
その1
移行原資がないことを理由に正規社員を順次早期退職させ、非正規社員を大半にする。
その2
非正規社員の給与水準を上げ、その分正規社員の給与を下げる。下げ幅はトータル原資を変えないように調整する。

業績悪化の調整弁として非正規社員の解雇を使うことを考えると、正規社員でいさせる理由がなくなるので順次正規社員をクビにして行く。
仕事自体は正規社員でなくてもできるように業務プロセスを変えて行く。

会社が出すお金を増やすことができない以上、一時的にお金が出ていってもそれを取り戻す策を講じるだろう。

もっとも、これはそんなには簡単ではなく訴訟リスクが伴う。

日本郵便(非正規格差)事件
https://www.sankei.com/affairs/news/181213/afr1812130040-n1.html

バイト職員に賞与認める 大阪高裁、原告逆転勝訴
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41361170V10C19A2AC8000/

嘱託社員の雇用継続命じる 博報堂雇い止め訴訟
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56883160X10C20A3000000/

<本来考えるべき事柄>

非正規社員を安い労働力、いつでも切れる都合の良い労働力という発想自体が賛成できない。そんなことを考えるから、「同一労働・同一賃金」を否定的にしか捉えられなくなる。同じ問題は外国人の技能実習生の不当な利用やいざというときに日本に来てくれなくなるという問題、定着率の低さに表れてくる。

まず最初に考えなくてはいけないのは、従来の職能型の給与(何ができるのかの未来への期待)ではなく、現にどんな仕事をしてもらっているのか(現在行っている仕事の質)で給与を支払う人事制度を構築するべきだ。それは単に給与だけでなく育成や再配置なども含む人事戦略になる。これが無いと従来のように、育つままに任せる野放図な経営になる。

2番目は多様な働き方を支援するべきだ。同一労働・同一賃金であれば会社に入ってくるのも出て行くのも、またどの程度の貢献度を設定するのも「働く人」に裁量権を与えても労務コストはコントロール可能だ。辞めやすい会社、再び入りやすい会社にすべきだろう。

ただし、抗したことを実現するためには、働く側も「正規社員」にこだわらず自分のキャリアを形成する努力が求められる。

記事:新人を幹部候補に 民間版「キャリア組」育成制度 を読んで

新人を幹部候補に 民間版「キャリア組」育成制度
https://www.nikkei.com/article/DGXNZO65088780Z00C14A1XX1000/

日本たばこ産業(JT)は少数選抜の若手幹部登用制度を作り、ソフトバンクも新人抜てき制度を設けた。グローバル競争が激化する中、早期に有能な幹部候補を養成する。君は民間版の「キャリア組」になれるか。

で始まるこの記事は、2014年のものなので少し古いが、書かれていることは現在の問題にも当てはまる。

■企業経営者としての悩み
以前、経営者インタビューの分析をしたときに、共通の悩み事にグローバル人材と後継者問題が多かったと記憶している。企業がグローバル化する中で幹部育成が中々進まないことへの危機感が背景にあった。それはおそらく今も同じなのだろうと推測される。
2014年に遡っても、こうした問題意識はあり、昨今の経営者インタビューの記事でもあまり変わらない。ということは、この問題は、相変わらず解決されていないのだろう。

さて、当時のことを思い出すとグローバルレベルでの人材の買い負けがあったはずだ。要するに、当たり前の一括採用をしていると優秀な人材であっても高い給与設定ができない。これを解決するためには「幹部」という枠組みで高額にするという手段になるのだが、さて、これについてはあまり聴かない。あいかわらず金太郎飴のような初任給制度にしがみついているのだろうか。

■内定者にとっては
「貴方のやりたいことは何ですか?」などと間抜けな質問を今でも人事担当者しているんだろうか。二十歳そこそこの若造にそんなことが分かるはずはない。とりあえず「思いついたこと」をやらせれば良い。「貴方は幹部候補生になりたいですか?」と聴かれれば、「NO」とは云わないかも知れない。しかし適正までは分からないだろう。

将棋の奨励会の規定には「年齢制限 満21歳(2002年度以前の奨励会試験合格者においては満23歳)の誕生日までに初段、満26歳の誕生日を迎える三段リーグ終了までに四段に昇段できなかった者は退会となる。 」とある。

以前にとある番組で、この退会になった人の対談があったが、一様に「抜け殻」になると云うことを話していた。特定の目的を達成するために他を犠牲にしてきたツケだ。

自分を奮い立たせることが能力というならそうだが、経営者の向き不向きは別要素で決まる。対象は全員にして、順次チャンスを与えて行けばよい。と考える。

■人事にとっては
幹部候補生に対しそれなりの教育プログラムやキャリア支援をすることになるだろう。しかし、自分たちは幹部候補生でもなく、それを育てたことがない人に支援などができるのだろうか。ここでも試行錯誤が必要になる。経営者がここを理解していないと悲惨だ。

等と云うことをつらつらと。

《AIを使えるかどうかが鍵になるかもしれない》

『倉庫業務が物流コスト全体に占める比率は推定約20%であり、倉庫関連コストの65%が商品かを棚から取り出すピッキング作業にまつわるものである。ほとんどの倉庫では今なお、紙のリストを基に取り出すべき商品を把握して、現物を探している。これでは時間がかかり、間違いも起きやすい。』
(テクノロジー経営の教科書 ダイアモンド社 より)

楽天/「送料込み」法令上の問題はない
https://www.ryutsuu.biz/government/m030245.html

で見る一連の騒動は送料を誰に負担させるのかと言うことでの法令上の問題と楽天がライバル視するアマゾンへの対抗という視点が交叉していることが混在していることがあげられる。

しかし、いったん倉庫に集めて配送するアマゾンのビジネスモデルと店舗の軒先を貸しているだけの楽天のビジネスモデルでは決定的な差がある。
たしかにアマゾンの倉庫にはブラックな面があり批判の対象となっているが、今後、AIやAR、ロボティクスが進行すると、物流コストに圧倒的な差が出てくる。

楽天が各店舗でのピッキングを行い配送するというコスト面のハンディキャップを解消できない以上、物流面での効率化や生産性向上は見込めない。いくら配送料を無料にしますと行っても、自腹で負担する気のない楽天のビジネスモデルには未来を感じない。

《BCPはどうなっているのだろう》

東日本大震災の時にサプライチェーンが寸断されたことは経験していたのではないのだろうか?

新型コロナで日本を襲うサプライチェーン危機、中国リスクとは?
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00133/00030/

BCPが話題になったのは、いわゆる2000年問題のあたりからで、本格的には2005年頃だろうか。そんな誰でも想定できるされるリスクでは不十分だったことは東日本大震災で明らかになった。
だからサプライチェーンを海外にも広げたのだろう。もちろんコストの問題もあるだろうが、それに対してリスクは想定していないかったのだろうか?

上記の記事の冒頭に下記の記載がある。

『問題は4つある。まず、地方政府が工場再開の許可を出すのが遅れていること。続いて、春節で故郷に帰っている人など従業員全員が復帰するまでに時間がかかっていること。工場を動かそうにも生産に使う部品や材料の調達が十分にできていないことも問題だ。そして、上海港から物を持ち出せないなど物流が止まっている問題もある。中国の報道によると、地域差はあるものの、稼働率は約40%という。』

いやいやそうではなくて、「慌ててしまう程度のBCPしか作ってこなかった」企業の方が問題なのではないのか。また、政府も、こうした企業に大きな影響が出てきたときの対応が法制度も含めてしてこなかったのが問題なのではないのかと感じてしまう。

そのため、政府の対策の実効性に疑問を感じてしまうこともある。

新型コロナで休業 雇用調整助成金、支給対象を拡大
日経新聞 2020/2/28
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56166690Y0A220C2MM0000/

助成金は返却が必要なく、補助金などとも似ています。新たに何かをしたいと云うときには補助金、意図せぬ出来事への対応は助成金と行った所でしょう。注意なければならないのは、いずれも「使った後でしかもらえない」場合が多いことと審査の時間がかかることでしょう。

仮に上記のように給与の一部を負担してもらうとしても、それまでは給与を支払う体力が企業に求められる。その間のつなぎは結局のところ融資しかなくなる。金融機関への融資枠の拡大などをセットにしないと実効性はない。

潰れてしまったらそもそも申請できないだろうと突っ込みを入れたくなる。

《テレワークを支える技術》

リモートデスクトップを初めて試験をしたのは、今から30年以上前だった気がする。当時の通信環境は、ISDNが普及し始めであり、64Kぐらいの通信速度だった。自宅の電話回線で事務所のサーバーにログインし、画像を転送して作業をするのだが、とても使えるレベルではなく諦めたと言う記憶がある。

今では通信速度も上がりセキュリティもしっかりしているのでリモートデスクトップもリアリティのある話になっているだろう。VPNなども一般的になりつつあり、テレワークなども移行しやすいのではないかと思う。

https://jp.reuters.com/article/honda-coronavirus-work-idJPKCN20L3D5
ホンダ、東京地区の全従業員約2000人が在宅勤務 新型ウイルス対策
2020年2月28日

こうしたテレワーク以降の記事には枚挙にいとまがなく、延べ人数でいえば数万人規模での普及なのだと思う。

一方で、ITインフラ整備の体力格差・技術力格差が企業の競争力を左右する懸念もある。
クラウド環境が一般的になってきており、例えば「Office365」などを使えば、仕事の場所を選ばない働き方も可能だろうが、ソフトウエア資産への投資や通信環境の整備に積極的な投資ができる企業に限られるだろう。

自宅で仕事をすると云っても、すべての家庭で自力でひかり回線を引き、パソコン環境を自前で要求するというのは無理がある。かといって、企業がすべてを負担するというのはテレワークが「公私混同」を招きやすい環境では無理があり、補助もしくは手当という形にせざるを得ないだろう。法整備が追いついていない気がする。

職種の問題も大きいだろう。身近な例で云えば、「ソフトウエアの開発」と云うものがある。WEBシステムの開発などはクラウド環境での開発も可能だが、組み込みソフトや機器制御のシステムなどはオンプレミスでの開発しかできない場合が多い。

ハードウエアに依存するシステム開発はソフトウエアシミュレータでの開発が可能になる必要があるし、開発環境自体がクラウド型になる必要がある。

残念ながら、実際の開発環境からは遠ざかっているので実態は分からない。
新型コロナウイルスは良いきっかけではないが、働き方でのテレワークが普通になってほしい。

《景気の悪化でとれる戦略 フローからストックへ》

昨年からこっち、景気が改善しないと感じる記事が多い。
例えば下記の記事などは、景気の悪化は昨年来から始まっており、それは労働者の賃金への反映されていない実情と一致する。

大企業製造業景況感、4期連続悪化 日銀短観のDIゼロ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53303360T11C19A2MM0000/
2019/12/13 日本経済新聞

昨年の平均月給、6年ぶり減少 厚労省の毎月勤労統計
https://www.asahi.com/articles/ASN27350YN26ULFA03W.html
2020年2月7日 朝日新聞

ここに来て、新型コロナウイルスの影響で、中国の生産活動が停止し、人の往来や、イベントなどの中止などが発生している。こうした悪循環は企業活動にプラス面よりはマイナス面での影響は当面続く。

先日、お話を聞く機会があった中小企業の製造業の社長さんは新型コロナウイルスについて「影響は出るが,予測できないし、できることはない」とあきらめ顔でおっしゃっていた。たしかに、景気などは自分の力だけで左右できることではないので、予測できたとしてもできることは対策しかない。

ではどのような対策が可能なのだろうか。

基本的な考え方はオーソドックスだ。
① 状況を理解する
② 制御可能なリスクと制御不可能なリスクに分解する
③ 制御可能なリスクについてそれを放置しておいた場合の問題を明確にする
④ 問題の回避するための課題の選択ととこれに対する施策を立案する

①については、「景気悪化に伴い顧客の経済活動が低迷する」という状況になる、そのため、②制御不可能なことは「既存顧客からの受注量の減少」になる一方で、「新規顧客の開拓」は取り組みとしては制御可能かもしれないが、あまり現実味はない。なぜなら、今回の景気悪化はすべての顧客にふりかかってくることだろうからだ。

ほとんどの人が目を向けようとしないことに「従業員が生産活動をしていない時間が増加する」というリスクがある。これはどんな意味があるのだろう。確かに、これ自体は制御可能に見えないかもしれないが、「従業員の空いた時間を有効に活用する」という施策に転換することは可能だ。

つまり、「空いた時間」は制御可能であり、放置すれば「無為な時間になる」ことになるが、「組織能力の向上」のために活用する施策は展開可能になるというシナリオを描くことができる。

経営活動を、経営資源を投入して生産活動をし、利益を創出して再投資するという循環で見れば物事をフローで見て行くことになる。しかし、経営資源の潜在量を増やすと云うことに対しては傍流として取り扱われる傾向がある。

先に示した
http://nss.watson.jp/2020/02/24/%e3%80%8a%e4%bc%9a%e7%a4%be%e3%81%af%e4%ba%ba%e3%81%a7%e6%88%90%e3%82%8a%e7%ab%8b%e3%81%a3%e3%81%a6%e3%81%84%e3%82%8b%e3%81%a8%e3%81%84%e3%81%86%e3%81%ae%e3%81%a7%e3%81%82%e3%82%8c%e3%81%b0%e3%83%aa/
等もその一例だろう。

経営資源のフローの視点を経営資源のストック量の増加と捉えることができれば別の戦略が見いだせる。すなわち、人の能力開発に対する積極的な関わりだ。不況の時に、その空いた時間で社員能力開発をどのようにできるかは経営者の腕の見せ所だろう。

しかし、こうしたことを放棄する記事も散見される。
昨年からの、早期退職者の募集などを見ると残念でならない。
新型コロナウイルスの影響もあるようだ。

希望退職者募集、2月すでに4社|新型肺炎の直撃も
https://maonline.jp/articles/voluntary_retirement202002b
2020-02-25

「わたしは経営者として無能です」と公言しているとしか思えない。

2020/02/25

《会社は人で成り立っているというのであればリストラより前にすることがある》

『ペンローズが論じたように、企業成長に必要な人的資源、チェンジ・マネジメントは、企業特殊的である。当然の結果、こうした資源はどの時点においても、企業内での利用可能性によって制約されてしまう。換言すれば、経営能力は無限かつ無意識的に拡張することができない。拡大するには、高位の人的資源の新規採用・開発が追加的に求められる。』
(DYNAMIC CAPABILITIES & STRATEGIC MANAGEMENT とり引用)

企業の成長、イノベーションの創出、事業構造の変革などを目指す企業は、従来の経営資源では対応が難しく常に動的な変化を生み出すことが求められている。最近の経営学の教科書を見ると、そのように指摘されている。

新しい技術開発には単に働く環境などの入れ物だけでなく人財育成も欠かせないのだが、企業の人財育成に関する投資はどうなっているのだろう。

厚生労働省のデータからその一端を見てみよう。

https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/00002075_000010.html

平成30年度「能力開発基本調査」の結果の報告で、概要として以下の三つをあげている。

1 教育訓練費用(OFF-JT費用や自己啓発支援費用)を支出した企業は 56.1%。
2 企業のOFF-JT費用の労働者一人当たり平均額は 1.4 万円(前回 1.7 万円)、自己啓発支援費用の労働者一人当たり平均額は 0.3 万円(前回 0.4 万円)。
3 事業内能力開発計画の作成、職業能力開発推進者の選任を行っている企業は概ね 4 社に1社。

人財育成の投資がほとんど行われていないことが分かる。その内容を確認してみると、最も多いもので「新規採用者など初任層を対象とする研修(77%)とあるが、その次は50%にも満たない。その内容は、
・マネジメント(管理・監督能力を高める内容など)
・新たに中堅社員となった者を対象とする研修
・ビジネスマナー等のビジネスの基礎知識
・新たに管理職となった者を対象とする研修
・コミュニケーション能力
・法務・コンプライアンス
・技能の習得
・キャリア形成に関する研修
・品質管理
・財務会計
・プレゼンテーション・ディベート
・OA・事務機器操作(オフィスソフトウェア操作)
・工作機械・輸送用機器等の操作
・IT(システム開発、システム運用、プログラミング等)
・語学・国際化対応能力
(図26 実施したOFF-JTの内容)

とあるがとてもこれからのキャリアを実のあるものにする内容とは思えない。
企業の変革を促すという視点では下記のような考え方がある。

(1)経営の置かれている状況を感知する能力
例えば、情報収集力であったり,観察力、変化を読み取り「なぜ」を発する能力などがある労。
(2)可能性を見つける能力
テクノリジーに対する造詣が不可欠だろう。AIやDX,クラウド技術を含みIT技術の評価能力がなければ始まらない。同じように社会からのニーズの変化としてSDGs等に目を向けることが求められる。
(3)組織の運営力
前提としての経営や戦略、次世代リーダーシップなども求められる。
理念・ビジョンなども人を鼓舞するものが求められる。
「IhaveaDream」や「Moonshot」も構築することが求められる。

イノベーションを生み出すための人財の投資は、一つは純粋に優秀な人間を探し出してくることだが、一人ですべてを生み出すことはできない。脇役とも云うべき人財も必要になる。彼らは、特定分野での専門能力に優れ、学習意欲が高く、積極性も高いだろう。そうした人材を支援するための人材施策が必要になる。

そうした人材に必要な知識として最近ではリベラルアーツなどにも着目されている。従来型のOffJTとは一線を画すべきだろう。

こうした人材は市場に転がっているわけではない、育成という視点で投資をする必要がある。間違っても、コストと見なし「目先の金儲け」のために社外に流失して良い物ではない。

2020/02/24

《テクノロジーの可能性を考えられるかが経営を左右する例として:3Dプリンター》

気になった記事があったのでコメントします。

昨年のはやり言葉に「OneTeam」がある。
もともとラグビーには、「OneForAll AllForOne」という言葉がある。私が初めて聞いたのは神戸製鋼の平尾さんの講演だった。

ラグビーは、基本のポジションでの役割があるものの、ゴールを奪うためにはダイナミックに行動しなければならない。特に今回の多国籍のチームであれば、常に一体化した活動が求められる。「OneTeam」は必然になる。

しかし、「OneTeam」と叫べば経営がうまくいくほど単純なものではない。
精神論が先行する不気味さを感じる。

経営は、もっとテクノリジーの造詣を深くしてその可能性を見いだし、新たな市場を作るべきだと思っている。

https://www.businessinsider.jp/post-207843
世界的なチョコレート会社が、3Dプリンターによる量産を開始
Feb. 22, 2020

がどこまで成功するかは分からない。
しかし、手作りではできないチョコレートが可能になると云うことはもしかしたら、CADで設計したチョコレートを店先で作ってもらい、プレゼントに使える日が来るかもしれない。

なるほどと思う反面、こうした事業を経営者がどこまで先導できるかも機動性を左右することだろうと感じた記事だった。