「考える」を習慣化することは難しい

サラリーマン経験を活かしての国際貢献~南アフリカ共和国でのJICA*派遣専門家としての経験を通して~

昨日、IC協会で表記のセミナーが開催された。
南アフリカでの人財育成の話だった。

ご多分に漏れず、教育の格差が失業を招き、結果として貧富の格差と犯罪率の高さを生み出すという構図は相変わらずのようだ。

治安は悪くないが隣の島マダガスカルも似たような構図かもしれない。未だに牛の力を借りた移動手段が自動車を持てない人たちの頼りになっている。

私自身は、JICAの専門家として活動していた友人もおり、また日本アイアイファンドでの関わりでアフリカなどの状況も多少は知っている。そのため、比較的すんなりと話を聞けた。

面白いと思ったのは、テーマとして、Implement、Improvement、Innovationという枠組みで、「考える」ための研修だったことだ、
どうやってつくるかを学ぶ、どうやったらよりうまくつくれるかを考える、その先にある革新性を考えると訳すべきだろうか。

文化的に「言われた通りにやれ」と言われ続けた人々に「自分で考えろ」というのは一朝一夕ではできないだろう。
しかし、これは日本でも同じことが言える。

整理・整頓・清潔について、かつて「なぜ必要なのですか?」と問いかけても、「規則ですから」という回答が来て驚いたことがある。

整理・整頓は「あるべきところに、それがなければ探す羽目になり、無駄な時間が発生する」
清潔は「機械の回りを汚れた状態を放置していると、油漏れが発生しても気がつかない恐れがあり、事故が起きるかもしれない」
という「なぜ」を考えておかないと、「ゴール」が設定できない。

と言う話をしたら驚かれた。

「考える」ことを日常化することは難しい。

日本アイアイファンド 活動報告会

昨日、東大本郷の「東大総合研究博物館7階ミュジアムホール」で日本アイアイファンドの年に一度の総会・活動報告会が開催された。

アイアイファンドは純粋に個人の寄付だけで成り立っており、昨年の寄付者は100人に上る。活動は2002年から行っているので、すでに15年以上になる。
協力者の多さは島先生の人徳によるところも多いのだろう。

現在は、保護区での植林に力を入れており、いわゆる放火による火災防止に努めている。
順調に柵の建設と植林は進んでおり、森の復活が見えてきている。感覚的ではあるものの生き物も戻ってきているようだ。

来年は生物調査をしたいとの思いもあるが、いかんせん資金がないのが悩みだ。
現在の寄付に加え、100万円ほどが必要になる。
とはいえ、活動方針として企業の寄付は考えていないので、協力者を募るしかない。

100万円なので、5千円ずつ200人という計算は成り立つものの、単純にお金を集めれば良いという物でもない。

日本アイアイファンドに賛同をしてくれることが大前提になる。
悩ましいところだ。
皆さんにも「日本アイアイファンド」の活動に関心を持ってもらえるとうれしい。

さて、現在「東大総合研究博物館7階ミュジアムホール」では家畜展を行っている。
犬猫などではなく、いわゆる役務補助・食料としての牛・馬・羊・山羊・鶏などはおよそ1万年前に中近東で発生したのではないかと言われている。

最初は、その場で殺して食べていたのだが、偶然かどうかはともかく「生け捕り」にしていたところ、子供ができるなど管理可能であることがわかったのが最初のきっかけではないかという説明だった。

 

 

 

鶏も、食べるのはもちろんだろうが、飾りとしての羽や鳴き声の鑑賞にも勝ちを見いだしていたようで興味深い。

 

 

 

 

 

 

 

興味を持たれた方は一度行って見てはどうだろう。
大丈夫、東大に入るのに試験はない。

イノベーションの原理

ドラッガー「プロフェッショナルの条件」
第6章 イノベーションの原理と方法

「奇跡は再現できない」で始まるこの章では天才的なひらめきを対象としない。
あくまでもマネジメントの立場からイノベーションを見る試みを行っている。

イノベーションは計画的に生み出せないとしても、生み出すための活動の原理はある。こうした信念がドラッガーにはあるのだろう。

彼は言う。
「イノベーションの方法として提示し、論じるに値するのは、目的意識、体系、分析によるイノベーションだけである。」

さて、この章では何が書いてあるんだろう。
少し整理してみる。

1.なすべきこと

(1)機会を分析することから始めること
下記の7つの機会について体系的に分析することが求められる。
①予期せぬこと
②ギャップ
③ニーズ
④構造の変化
⑤人口の変化
⑥認識の変化
⑦新知識の獲得

(2)イノベーションは知覚的な認識である。
外に出て見て聞くことをしなければならない。知覚を持って彼らの期待、価値、ニーズを知ることだ。

参考:ジョブ理論や顧客インサイトと一致する

(3)焦点を絞り単純な物にすること
新しい物は必ず問題を生じる。複雑だと、直すことも調整することもできない。

参考:大きく考え、小さくつくり、学習するという従来の知見と一致する

(4)小さくスタートしなければならない
イノベーションが、最初の段階からほぼ正しいという程度以上のものであることはまれである。変更がきくのは規模が小さく、人材や資金が少ないときだけである。

(5)最初からトップの座をねらわなければならない
大事業にしろといっているわけではない。そもそもイノベーションが事業になるかどうかなどわからない。
しかし起業家としての戦略は、何らかの意味において、トップの座を狙う物でなければならない。

参考:思いつきでイノベーションが生まれるわけではない。最初から未来を約束した物はない。注意深く、まずはやってみて試行錯誤を繰り返すことのみで実現できる。

2.なすべきでないこと

(1)凝りすぎてはならない
普通の人が利用できる物でなければならない。
組み立て方や使い方のいずれについても凝りすぎたイノベーションは、ほとんど確実に失敗する。

参考:すべきことの(3)に対応

(2)多角化してはならない
散漫になってはいけない。一度に多くのことを行おうとしてはならない。

(3)未来のためのイノベーションを行おうとしてはならない
イノベーションには長いリードタイムが伴うときがある。しかし、今日の医学上のニーズが存在しない医薬品の開発研究に着手する製薬会社はない。

参考:未来のに起きそうな問題ではなく今の問題に着目すること。すべきことの(2)に対応

3.成功するイノベーションの条件

(1)イノベーションは集中でなければならない
※自分の専門分野に集中することの意

(2)イノベーションは強みを基礎としなければならない
「自分や自分の会社に最も適した機会はどれか。自分が最も得意とし実績によって証明済みの能力を生かせる機会は何か」を考えること。

(3)イノベーションは経済や社会の変革を目指さなければならない

参考:結局イノベーションを既存の事業と分ける唯一の特徴はここにある。

(4)イノベーターはリスクを冒さない
イノベーションは、どこまでそのリスクを明らかにし、小さくできるかによって、成功の度合いが決まる。

さて、現在、「イノベーション」を中核としていろいろな人と意見交換をしている。
議論のプラットフォームあるいは知見といった方が良いのだろうか、様々な本に目を通すようにしている。新しい本もあれば、大分前に読んだはずだと思っている本もある。

今回は久しぶりに読んだドラッガーの本から引用した。

PDCAサイクルの誤謬

【きっかけの記事】

PDCAを考え直すきっかけになりそうな記事が2019年2月に東洋経済オンラインに掲載された。(巻末資料参照)
「PDCAがAI時代では「オワコン」な根本理由 いま米国の優良企業が重視する「OODA」とは」と題された記事では、以下のようにPDCAの欠点をあげてOODAループに着目すべきと言う論調が展開されている。
https://toyokeizai.net/articles/-/266207の記事から抜粋する。

PDCAサイクルがうまく回らない理由
インドのことわざに「貧者に魚を与えるな。魚の釣り方を教えよ」というものがあります。
<中略>
PDCAサイクルが機能するためには、出発点である計画がしっかりしたものでないといけません。優れた計画を立案するためには、計画立案者が必要な情報を持ち、目標だけではなくそれを達成するための手段を明示することが重要になります。そのような場合、計画実行には、たとえ多くの努力や労力が現場に要求されたとしても、創造性やイニシアティブはあまり要求されません。
つまり、これは計画に従う立場の者に対して、魚を与えて釣り方を教えていないということにほかなりません。

OODAループとは
観察(Observe)、情勢判断(Orient)、意思決定(Decide)、行動(Act)という一連の活動から構成されます。<中略>
OODAループがPDCAサイクルと異なるのは、計画を出発点としていないという点です。もちろん、大枠でのミッションは与えられています。しかし、そのミッションには、それを達成するための手段は明示されていません。上司からその方法論について指示を受けることもありません。
ミッションを遂行する者は、自発性、創造性を駆使して、ミッション達成のための手段を発見し、即座にそれを実行しなければなりません。ここがPDCAサイクルとの決定的な相違点になります。

そして結論として、下記のような記述となっている。

AI、IoT、ビッグデータ、ソーシャルメディアの発展という流れのなかで、リアルタイムにデータを収集し、即座に判断して行動に移すこと、これが競争優位を築くためのカギになります。どのような環境変化にも即時対応できる、次世代の最強組織を築くためには、OODAループに着目し、組織として取り組むことが大切です。

この記事の批判はするつもりはないが、前提条件をおかしくしていることに気がつく。
・OODAループに対応する事柄は古くからあり、先に大戦などの事例を示した書籍もある
必ずしも突然出てきている物ではない。
・PDCAとOODAループを使い局面は異なるので比較すること自体がおかしい
・PDCAを金科玉条にする必要は無く、PDCAにかわりPDSAを提唱することもあり多様な考え方がある。

こうしたおかしな記事を目にすると、そもそもPDCAをどう考えるべきなのかについて整理しておいた方が良いかと思いこの資料を作成する。

【PDCAへの懸念とPDSA】

同様な記事は他でも散見される。
例えばPDCAの欠点として、即時性よ不測の事態への対応などをあげているケースが多い。結果として以下のような記述になる。

PDCAは、計画 Plan して実行 Do してチェック Check した後にやっと行動 Actする。PDCAを速く回すといっても、計画して実行してチェックした後に行動です。構造として無理があります。
<中略>
このように致命的な問題を抱えたPDCAではなく、OODAループを普及させることが求められます。

(巻末資料:?PDCAサイクル:問題点と致命的欠点)

しかし、こうした論点はそれぞれの考え方の出自を無視している議論のなっている。
もともとPDCAはデミング博士の話を受けて日科技連が提唱されたと言われている。
私自身の解釈から言えば、生産現場の能率向上や不良品発生を防止するためには、きちんと設計と生産計画を立て(Plan)、これに基づいて製造し(Do)、不良品が発生していないか、計画とのずれはないかを監視し(Check)、もし問題があれば計画の見直しを行う(Action)がPDCAの意図だと思っている。
その意味では、時間軸は固定されており、素早く状況判断をするなどと言う要素はそもそも入っていない。
不確定要素はあらかじめ想定するのがPDCAであり、状況次第でどうなるかわからない物にPDCAを適用すべきではない。
例として、スポーツなどを取り上げているが、機械的な製造ラインと比較すること自体が間違っている。

では、製造現場を含めた組織全体の枠組みを管理するためのフレームワークはないのかというとそんなことはない。
デミング博士は、PDCAの限界を感じPDSAを提唱していたという。

「情報システム用語事典:PDSAサイクル(ぴーでぃーえすえーさいくる)」のは以下の記載がある。

マネジメントサイクルの1つで、計画(plan)、実行(do)、評価(study)、改善(act)のプロセスを順に実施し、最後のactを次のplanに結び付け、らせん状に品質の維持・向上や継続的な業務改善活動などを推進するマネジメント手法。

1980年代の半ばごろから、品質管理の父といわれるW.エドワーズ・デミング(Dr. William Edwards Deming)博士がPDCAサイクルに代えて使い出した言葉。checkがstudyになったのは、より詳しく評価するというニュアンスがあるという。

PDCAへの懸念からデミングの14ポイントを指摘されているという。

1. 競争力を保つため、製品やサービスの向上を常に心がける環境を作る。最高経営者がその責任者を決める。
2. 新しい哲学を採用する。我々は新たな経済時代にいる。遅延、間違い、材料の欠陥、作業の欠陥などの一般常識となっている水準には満足できない。
3. 全品検査への依存を止める。品質は統計的手法で向上させる(完成後に欠陥を見つけるのではなく、欠陥を防止せよ)。
4. 価格だけに基づいて業者を選定することを止める。価格と品質によって選定する。統計的手法に基づく品質保証のできない業者は排除していく。
5. 問題を見逃さない。全体(設計、受け入れ材料、製造、保守、改良、トレーニング、監視、再教育)を継続的に向上させるのがマネジメントの役割である。
6. OJTの手法を導入する。
7. 職場のリーダーは単に数値ではなく品質で評価せよ。それによって自動的に生産性も向上する。マネジメントは、職場のリーダーから様々な障害(固有の欠陥、保守不足の機械、貧弱なツール、あいまいな作業定義など)について報告を受けたら、迅速に対応できるよう準備しておかなければならない。
8. 社員全員が会社のために効果的に作業できるよう、不安を取り除く。
9. 部門間の障壁を取り除く。研究、設計、販売、製造の各部門の人々は様々な問題に一丸となって対応しなければならない。
10. 数値目標を排除する。新たな手法も提供せずに生産性の向上だけをノルマとしない。
11. 数値割り当てを規定する作業標準を排除する。
12. 時間給作業員から技量のプライドを奪わない。
13. 強健な教育プログラムを実施する。
14. 最高経営陣の中で、上記13ポイントを徹底させる構造を構築する

実際のマネジメントについては上記の記述は極めて腑に落ちるところがある。

この続きは、ワード文書に整理されている。

→ こちらからダウンロードしてください。 PDCAサイクルの誤謬・公開用

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