人それぞれの憧憬

私自身は、小さいころ転々と引っ越しをしたせいか山と緑に囲まれた故郷というものは持っていない。大都会かどうかはともかく、住宅やビルのイメージが心の中を占めている。

ここ数年、用事がない限り都心に出ることがないために、たまに昔頻繁に訪れていた町並みは憧憬を誘う。

ここ最近、久しぶりに新橋に来ることが多くなった。カフェで昼食をとりながら街並みを見ていると新旧の面影をそれぞれ持っているので面白い。

明治時代のガス灯を模した街灯は当時の面影を出そうとしているのだろう。その風景の向こうには巨大なビルが立ち並び、とても明治の雰囲気ではなく、まさしく現在の喧騒を表している。

今から20年近く前に元居た会社があり、何回か出入りしていた。当時のビルはもうすでになく、またカフェの目の前の土地は更地になっており大きく変貌してゆくことになるのだろう。

昼食時だったせいもあるのかもしれないが、サラリーマンが多いものの、いろいろな服装のイデタチの人もあり、日ごろは人並みのあまりない谷塚でぶらぶらしている身には、この人込みは少し疲れてしまう。昼はゆっくりコーヒーを飲むことを好んでいるのでスタバに入ろうとしたのだが、これはまた混んでいる。

いつもビル工事をしており、喧騒の中で人が行き交うというのは疲れるというのが本音だが、一方でほっとする自分もいる。
それでも、夕焼けを眺めると、小学校に上がる前にいた田舎のことも思い出す。
どちらが自分の心象風景なのだろうか。

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