■賃金制度改定のためのモデルシミュレーションについて

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すでに賃金分析としてのツールは公開している。

賃金分析(TypeA)の公開

次のステップとしてのモデルシミュレーションは2段階にわかれ、その前段に関するシミュレーションの仕様めいたものを記載する。

【シミュレーションの目的】

新たな人事制度を検討する際に多くの選択肢がある。
それぞれの選択肢で人事制度を改訂した場合に、どのような影響が出るのかの大まかな理解をする。
そのために、精密さを多少犠牲にするが、繰り返し制度改定の結果の検証を行うことを目的としたシミュレーションシステムとする。
その中核となるのが「モデル」という概念になる。
このシステムはモデルごとの計算シミュレーションとなる。

【仕様】

(1)社員がどんな働き方をしているのかを明らかにする
現在の人事制度でどのような構造で社員がそのキャリアパスを描いているのかを明らかにする。主に年齢別の分析になるが、資格等級や役職の分布、学歴や職種などによる階層別集計などが考えられる。

(2)20年後までの要員のシミュレーションを行う
いくつかの考え方がある。
・高齢者の一定快走の平均値を出してこれを補充するという考え方
・戦略的に新卒採用を計画して補充するという考え方
いずれにしろ将来の要員構成を(少なくとも)人数把握だけはしておくことは重要だろう

(3)キャリアパスのルートモデルを作成する
現状の社員構成に従って、大まかな分類が可能なキャリアモデルを考える。
現行の社員はいずれかのキャリアモデルに該当することになる。
キャリアモデルとしては、学歴(大卒、高卒)、職種で分類して数種類に集約することが望ましい。
昇進の早い・遅い等で分類することが望ましいが、この段階では割り切って数種類で考えた方が良い。
年齢の他に勤続年数、資格等級、ライフステージ(家族構成、扶養家族の有無)なども想定することが良い。
作成したキャリアモデルは、実在者へのマッピングも行う。

(4)新人事制度とルートモデルを対比させる
ルートモデルにあわせて新人事制度の資格等級などの対比をさせる。
働き方や役割が変わることは、それまでのキャリアをリセットすることで有り、本来は現状の処遇をスライドさせることではない。しかし、個人ごとに格付けをし直すことは最終的には行うとしてもこの時点では現実的でない。
また、新人事制度はこの段階では確定していないことが多い。
いくつかの候補としてのモデルをルートモデルで対比させることが必要になる。

(5)総額人件費などの受け取る報酬金額の変化を確認する
新しい人事制度に移行した場合に、会社としての全体の労務コストがどう変わるのかを、現状、1年後、20年後の比較で検証する。

このシミュレーションのゴールは、人事制度のフレームワークの確定になる。
そして次のステップは、実在者にあわせて「現実的な」キャリアモデルを設計することになる。これは又次の段階で記述する。

【システムの提供の仕方】

ルートモデルをどうつくるかについては正解はないだろう。
システムとしてはある程度のテンプレートは用意できるが個別性の強いシステムになる。
したがって、汎用的につくった「賃金分析」とは異なり、未完成のままのシステムの提供となる。

そのため、システムをそのまま販売するという形式ではなく、「インタビュー」+「システム調整」+「試行支援」という形になる。

【状況への理解】

賃金シミュレーションの目的を再確認しよう。

「働き方改革」という言葉は刺激的で、あたかも世の中で皆新しい働き方をするような錯覚を起こさせるが、突然日付が変わるように何もかも変わるわけではない。

制度的な「65歳定年延長」は企業に多くの変革を求めるが、そもそもの根幹は「少子高齢化」であり、このことが企業の事業上の戦略の見直しを要求する。

また、この20年間での通信技術やIT技術の応用分野の拡大は、ロボットやAI等に展開され、人間の行うべき作業の変革や新たなビジネスモデルによる既存事業の陳腐化を突然襲うことになっている。

こうしたことは企業に
①事業の再編をダイナミックにしかも素早く行うことを強要する
②事業の再編は経営資源の再分配を促し、特に人に関する戦略は大きく変わる
③常に新しい事業を推進できるように人材のポートフォリオを最適な状態に保つ
を考えさせるだろう。

また、「65歳定年延長」は会社に所属する人々に
①65歳定年を考えた場合、同じ会社に40年在籍することの意味を考える
②ビジネス環境が変わる中で自身の能力開発は永続的に行う
③社内での流動化だけでなく社外への流動化も視野に入れる
ことを強要するだろう。

今までの「言われたことをする」という姿勢で年齢を重ねて給与をもらう人事制度は破綻することは目に見えており、ソフトランディングであったとしても仕事と報酬を対比させた「職務給」に移行せざるを得ないと思っている。
もちろん、すべての人がこうした積極的な働き方に移行できるわけではないが、少なくとも選択肢として「人が成長する」ことを前提としたキャリアモデルの設計は必要だろう。

一方で、それまで働いていた人々に、突然の環境変化を強要することは適切ではない。
このシステムが、新たな人事制度の移行をスムーズにさせるための一助になるとうれしい。

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