2020年春闘 企業側の関心、僕らの関心

NHKの報道で、今年の春闘についてその傾向を解説していた。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200128/k10012261161000.html
春闘 事実上スタート 日本型雇用システムも労使交渉の焦点に

労働者側が賃金にこだわった方針を打ち出しているのに対し、経団連側は雇用制度の見直しを焦点にしているようです。
終身雇用が担保されないと人財育成が損なわれるという論点を出しているようですが、おそらくはこれは的外れでしょう。

長期雇用の中で培われるのはその会社でしか通じない技術習得につながりかねないことが有り、その人にとっての自由な働き方の選択肢を狭めかねません。個人的には、人財育成を企業に頼る部分は減らして行き、個人が自己のマネジメントの中で知識や経験、技術を身につけることをできる環境を提供するにとどめておくべきだと思っています。

経団連は、2020年1月21日に「人財育成に関するアンケート調査結果」を公開しています。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2020/008.pdf

その中の要約を抜粋すると以下のようになります。

(1)人材育成施策の環境変化への対応状況
• 自社の人材育成施策が環境変化に「対応できていない部分がある」との回答は9割弱(88.8%)にのぼる
• 対応が必要となっている要因(複数回答)としては、「就労意識の多様化(ダイバーシティ経営の推進)」と「デジタル技術の進展」が多い

これは静的な人材では環境変化について行けないので動的な人財育成が必要だという認識にいることがうかがえる。

(2)人材育成施策の見直し
・具体的に取り組んでいる事項(検討中を含む、複数回答)としては、「方針や戦略の見直し」「予算の見直し」「経営トップ等からのメッセージの発信」「対象の重点化」「Off-JTの見直し」がそれぞれ6割を超えている
• 予算の見直しは、「拡充」と「重点化(対象の変更)」がそれぞれ5割前後を占め、「縮小」は2.4%となっている

施策などについてはこの後にも続くが、具体的な施策がありふれたもので有効とは思えない。レポートの最後に、以下の記述がある。

• 高度専門分野における能力や幅広い知識・教養の取得・開発を進めるため、「外部との連携に取り組む(検討中を含む)」との回答が8割弱(78.2%)に達している
• 他方、「基本的に社内で取り組む(検討中を含む)」との回答は15.1%となっている
• 連携先としては、「人材育成サービス企業」「他企業(業種を問わず)」「大学や高専等教育機関」との回答がそれぞれ5割超となっている

現在の人材をそのまま活用して成長が担保されないなら、外部から調達するか専門教育をするしかない。雇用される側が、従来のように一律の賃金や処遇を求めていても、そのような働き方を担保する職場がなくなっているかもしれない。

関心事がずれている春闘と言う印象だ。

さて、いろいろな意味で雇う側が今は有利な立場にいる。しかし、いずれ雇用される側が企業を選ぶ時代が来る。企業が働く人たちにとって目先の賃金以上の魅力を作らない限り、見捨てられるのは企業だと云うことを認識しているのだろうか。

40年前、転職先として真っ先に選んだのは外資系だった。結局は、転職先にしなかったが、やはり魅力的なところが真っ先に頭に浮かぶ。
さて、労使共々、こうした点は焦点にならないのかな?

Be the first to comment

Leave a Reply