■ 同一労働同一賃金のもたらすこと

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新型コロナウイルスでの業績悪化を理由に雇い止めが問題になっていそうだ。
そうした中で、「同一労働同一賃金」に関する法律が施行される。

単純に正規雇用の社員とへ正規雇用の社員の待遇格差がなくなるかというとそうは簡単には行かないのではないのかと思う。

コロナに「同一労働同一賃金」対応が追い打ち、雇用市場は混乱必至
https://diamond.jp/articles/-/233392

『2019年12月末、大手派遣業者の名古屋営業所に、かねて派遣契約の更改を打診していた市内の工業用機器輸入・設備施工業者の総務部長から電話が入った。緊張しつつ応対した担当者に告げられた内容は、「法の趣旨は理解できるものの、現在の当社には派遣社員の時給を6%引き上げてまで雇用する余裕はないため、年度内中に契約を解除したい」というものだった。』で始まるこの記事は、非正規社員の差別を当然としている企業の姿勢が浮かび上がる。

<私が悪質な経営者なら>
当面の課題が人件費ならば、下記のような発想が起きかねない

手当をすべて廃止し基本給と賞与だけにして、非正規社員を正規社員並みに引き上げる。
ただし、この時二つのパターンがある。
その1
移行原資がないことを理由に正規社員を順次早期退職させ、非正規社員を大半にする。
その2
非正規社員の給与水準を上げ、その分正規社員の給与を下げる。下げ幅はトータル原資を変えないように調整する。

業績悪化の調整弁として非正規社員の解雇を使うことを考えると、正規社員でいさせる理由がなくなるので順次正規社員をクビにして行く。
仕事自体は正規社員でなくてもできるように業務プロセスを変えて行く。

会社が出すお金を増やすことができない以上、一時的にお金が出ていってもそれを取り戻す策を講じるだろう。

もっとも、これはそんなには簡単ではなく訴訟リスクが伴う。

日本郵便(非正規格差)事件
https://www.sankei.com/affairs/news/181213/afr1812130040-n1.html

バイト職員に賞与認める 大阪高裁、原告逆転勝訴
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41361170V10C19A2AC8000/

嘱託社員の雇用継続命じる 博報堂雇い止め訴訟
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56883160X10C20A3000000/

<本来考えるべき事柄>

非正規社員を安い労働力、いつでも切れる都合の良い労働力という発想自体が賛成できない。そんなことを考えるから、「同一労働・同一賃金」を否定的にしか捉えられなくなる。同じ問題は外国人の技能実習生の不当な利用やいざというときに日本に来てくれなくなるという問題、定着率の低さに表れてくる。

まず最初に考えなくてはいけないのは、従来の職能型の給与(何ができるのかの未来への期待)ではなく、現にどんな仕事をしてもらっているのか(現在行っている仕事の質)で給与を支払う人事制度を構築するべきだ。それは単に給与だけでなく育成や再配置なども含む人事戦略になる。これが無いと従来のように、育つままに任せる野放図な経営になる。

2番目は多様な働き方を支援するべきだ。同一労働・同一賃金であれば会社に入ってくるのも出て行くのも、またどの程度の貢献度を設定するのも「働く人」に裁量権を与えても労務コストはコントロール可能だ。辞めやすい会社、再び入りやすい会社にすべきだろう。

ただし、抗したことを実現するためには、働く側も「正規社員」にこだわらず自分のキャリアを形成する努力が求められる。

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