世間に転がる意味不明:朝令暮改は信頼を損なう(大阪万博の責任転嫁を憂う)


■トップのメッセージの一貫性

かつて、目標管理制度の有効性について企業インタビューに参加したときに、比較的旨くまわしている企業には共通点があった。それは、経営者が外部に発進しているメッセージと社内に発信しているメッセージが一致していると云うことだ。これは組織の人々に信頼を醸成する。

これは、トップが内外に発信するメッセージは本人が思っている以上に重要であることを示す。したがって、一般性のあるメッセージが求められる。

■混乱させる大阪万博の建設費の高騰

当初の予算の1.9倍に膨れ上がった建設費用について色々物議を醸し出している。
これに対する、関係者の発言の二転三転している。

○大阪万博建設費、2度目の負担増に「説明不足」…関西の財界幹部「びた一文出せない」
2023/10/21

経済界は会場建設費を工面するため、企業から寄付を募っている。関係者によると、経済界が負担する783億円のうち700億円程度は確保できる見通しだが、追加拠出には否定的な声が根強い。万博協会から前売り入場券計700万枚の購入を依頼されるなど、負担が膨らんでいるからだ。

関西の財界幹部は「これ以上はびた一文出せない。現実的には、基金を使うしかない」と訴える。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20231021-OYT1T50069/

当初、維新の会の松井代表は「税金の投入はしない」と公言していたのに今は知らんぷりである。当然経済界も拒否するだろうと思っていたのだが、一転しているようだ。

○万博建設費「増額やむを得ない」 関西同友会・角元代表幹事
2023/11/1

2025年大阪・関西万博の会場建設費が最大2350億円に上振れする見通しとなっている問題をめぐり、関西経済同友会の角元敬治代表幹事(三井住友銀行副会長)は1日の定例会見で、建設工事に絡むさまざまなコストが上昇しているとし、「諸般の状況から、増額はやむを得ないのではないか」と述べた。

https://www.sankei.com/article/20231101-SW6ZKLMOMVIT3CPRW567C5QQSU/

■モラルハザードと信頼の喪失

建設費が高騰したから仕方ないといって、税金や寄付に頼る姿勢は、結局は自分のお金でないことに由来するのではないだろうか。だから様子見を見るという安易な発言にもつながる。

○当初の1.9倍 “万博建設費”が2350億円に 吉村知事「今の段階で判断はしません」
10/21

協会の説明に、吉村知事は・・・。

「今の段階でこれを認める、認めない、という判断はしませんけど、今の説明では中身を理解できるものではないので、詳細を確認させていただきます」

https://www.asahi.co.jp/webnews/pages/abc_22340.html

元々、前回の増額時には、これ以上負担はしないと明言していたことはずであり、これを反故にする発言でもある。

万博という計画自体を廃棄することを含めて検討すべきであるが、これをせずに「お金が必要になったのでよろしく」という姿勢はいただけない。

モラルのない、たちの悪い人々との付き合い方は難しい。

<2023/11/09>