未来への手がかり:情報ルートの多様性(出版社の倒産を考える)


■雑誌の衰退

週刊朝日が廃刊になったのは今年(2023年)の5月だったろうか。その他にもいくつかの週刊誌が廃刊になっている。出版不況はすでに10年以上前から言われている。新聞購読者数も減っている。
そして雑誌の配管だけでなく、出版社自体の倒産も引き起こされている。

○従業員と経営側の対立が決定打…5期連続赤字に陥った出版社、倒産の顛末
2023年10月07日

健康雑誌のパイオニア『壮快』、女性向けに美容や健康に関する情報誌『ゆほびか』、健康情報全般を掲載する『安心』、家電や文房具などの最新情報を紹介する実用情報誌『特選街』の発行を手がけていたマキノ出版(1977年10月設立)。書籍やムック本なども年間90点ほど出版していたが、23年3月に東京地裁より再生手続き開始決定を受けた。その後、一部事業は別会社に譲渡できたが、残る事業に対するスポンサー企業は現れず、6月に破産へ移行した。

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かつてコンビニの雑誌コーナーは集客のツールであり、窓際に一定のスペースを確保していた。コンビニに入れば、そこで立ち読みするヒトがいたのは当然の風景だった。今のコンビニの状況を見れば驚くだろう。

若い人はテレビを保有しないし新聞も購読しないという。情報源は紙媒体だけでなくインタネットから多様な手段で手に入る。コミックなどはスマホで見て済ます人々も多いのだろう。

もちろん、小説や経済本などのいくつかの分野では量が多く、ネットで読むことも難しいので紙としての書籍の需要はあるだろうが、情報誌は生き残ることは難しいだろう。週刊文春に代表されるような醜聞には興味が無い身としては、雑誌の価値は見いだしにくい。

■本屋の行く末

当然、本を置く本屋も苦戦している。本屋自体も廃業に追い込まれている所は多く、特に地方は話題の本や最新の情報に触れるためのプラットフォームがなくなってきている。
しかし、これは避けようがない。

電車のなかで、漫画やビデオを見ている若者が目につく。昔の電車内で文庫本を広げている景色などは皆無である。本屋に行く動機付けはない。

本屋が日販から配本される書籍を置くだけのビジネスモデルであればいずれ無くなるだろう。本屋という存在の社会適宜を考え、その存在の再定義をしなくてはならない。

・居心地の良い空間を提供する。
・買い物空間の一部として最新情報を提供する。
・特定の分野(絵本など)を全て取りそろえる
などは一例である。

カフェとの併設や、商業施設との融合、夜間のイベント開催など多くの工夫をしている本屋を見ることができる。本の紹介としての本屋大賞なども、その取り組みの一環であろう。

「本を置く場所」以上の価値を出さなければ生き残ることはできない。
それは地方においてはなおさら深刻である。

(2023/11/15)