世間に転がる意味不明:全員クビという選択肢(伊藤忠商事とビッグモーター)


■なにげなニュース

○ビッグモーター、伊藤忠グループが買収を検討 本日午後発表の見通し
2023.11.17

伊藤忠商事と、子会社の伊藤忠エネクス、投資ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズの3社が組む。買収しても大丈夫かどうかを判断するための資産査定(デューデリジェンス)を行う独占契約を結ぶ。査定をしたうえで、最終的に買収するかどうか決める。

https://www.netdenjd.com/articles/-/293627

すでにガリバーはガバナンスを理由に支援を見送っているという。ここであえて買収に向かい理由がよく分からない。

「ビッグモーターについては、国土交通省が道路運送車両法に基づいて同社の34店舗について事業停止などの行政処分を10月に出している。また、金融庁は保険業法に基づき、同社の保険代理店登録を11月30日付で取り消す方針を発表している。」(上記記事)とあるように、”中古車車販売”しか活動はできず、修理工場や保険代理店での活動は事実上で気ないであろう。買収されたからと言って、これができる様になったとしたら、単に看板を付け替えれば良いということになりかねない。

簡単ではないことは下記の記事でも指摘されている。

ビッグモーター再建、課題山積 伊藤忠支援、創業家の動向焦点
2023年11月18日
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023111701181&g=eco

■中古車販売事業の苦境

その中古車販売も順風というわけではなさそうだ。

○ちょっと前までウハウハだった中古車業界が「過去10年で最悪」の倒産数へ! 中古車バブルが弾けた2つの理由と唯一の救い
2023年11月11日

コロナ禍における中古車ニーズの高まりを受けて好調だった中古車業界に逆風が吹いている。企業倒産に関するデータ分析では定評ある帝国データバンクが2023年度上半期を総括した発表によると、『中古車の買い取り・販売を手掛ける「中古車店」の倒産は、2023年1月〜9月に合計57件発生した。前年の年間件数(52件)をすでに上まわり、過去10年で最多ペースの90件台に到達する可能性がある』という。

https://www.webcartop.jp/2023/11/1227728/

この記事の中で指摘しているように「あえて中古車を選ぶという選択をしないユーザーが増えつつあるといえる。」が正鵠を射ているのではないだろうか。

■伊藤忠商事の立ち位置

伊藤忠商事は商社である。商社とは

総合商社とは、幅広い商品やサービスを扱い、国内外で輸出入貿易を行う企業です。商材を仕入れてメーカーや卸売業に販売する「トレード」という仕事を行います。
総合商社は、食品や衣料品、金属資源、石油・石炭などのエネルギーなど、取り扱う商材に限定はありません。また、海外との取引を行う商社も多く、世界各地に拠点を持っています。
(Google 生成AIによる)

とあるように、Aから仕入れてBに販売することが基本であり、エントロピーあるいはポテンシャルの差異に基づくビジネスである。わかりやすく云えば、山のものを海辺に、海のものを山間部に持って行くというイメージであろうか。

そうした中で、伊藤忠商事は下記を扱っているとホームページにある。

・繊維
・機械
・金属
・エネルギー/化学品
・食料
・住生活
・情報/金融

これらは
・小売りサービス
・卸売り
・資源開発/原料調達
・製造/下降
を事業領域に設定している。

https://www.itochu.co.jp/ja/business/index.html

こうしてみると、直接的に中古車販売が当てはまる領域がない。
新規事業として参入する気なのだろうか?

■「全員クビ」は妄想か

どうしても伊藤忠がそのまま「中古車販売」の事業に入るとは思えない。
ビッグモーターの資産は、おそらくは全国にある土地と保有する中古車であろう。しかし、その中古車もたたき売りのようにして在庫も減少していると聞く。

残るのは「中古車の調達能力」だろうか。一定のルートと顧客はいるかもしれない。しかし、これがそれほど魅力的とは思えない。資産の多くが旧経営陣が押さえているなら資産価値もないだろう。

それでも、仮にいわゆる途上国や「グローバルサウス」を視野に入れているのであれば、販売先はそうした市場をにらみ、調達だけを「ビッグモーター」というブランドで行なうこともあり得る。

ただし、そうした事業を行なう上でコンプライアンスは重視される。そうした意識に疎い現在の従業員は全て解雇することを想定してしまう。

一方、伊藤忠は「再建の可能性」に言及して「デューデリジェンス(資産の再評価?)」をするといい、(https://www.itochu.co.jp/ja/news/press/2023/231117.html)、周囲もその方向性で動くことを示唆している。

しかし、その中には「人的資産価値」は含まれないだろう。
全員クビは妄想だろうか。
現在の従業員をどうするかが記載されていないがいつか確認してみたい。

(20223/11/18)