世間に転がる意味不明:教育の無償化の制限撤廃は正しい(投資対効果を考える範囲)


■異次元の少子化対策

岸田首相の云う「異次元の少子化対策」としては、今のところ「予算の拡充」でしか無く、政策としては、その中では若い世代の所得を増やす、児童手当の増加、保育所や保育士の増員など 多くの施策が鳴り物入りで取り入れられているが、根本的な課題解決とは思えず、ましてやどこが異次元なんぉかが分からない。
いずれも現行法の中での活動でしかない。

一方で、東京都の小池知事の授業料の無償化は気にして良いニュースである。

○東京都 高校と都立大学の授業料 実質無償化の方針を正式決定
2024年1月7日

東京都の小池知事は、来年度から高校と都立大学の授業料について、支援の所得制限を撤廃して実質無償化する方針を正式に決めたことを明らかにしました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240107/k10014312331000.html

もしこれが、少子化対策への布石だというならば評価しても良い。

■戦略性

視点を固定しておこう。まずは、夫婦がこどもを持った場合、彼・彼女を成人(普通は大学まで)サポートすることを責務と考えるだろう。その時に、教育費用がネックになり、複数のこどもを持てないという現実論がある。

本来は「学歴差別」すなわち有名大学でなければ就職に不利になるということを解消しなければならない。これを解消しなければ、学校以外の補助(すなわち予備校や家庭教師への投資)が貧富の格差で拡大する。

しかし、それを置いておいたとしても授業料がボトルネックになることは間違いない。
教育コストが減るとなれば、その分、こどもを持てる余裕ができるかもしれない。次にすべきことは
①学校間で発生する教育の質の差の改善
②教育について行けない子供たちのフォロー
③学教行事にかかる費用の無償化(給食を含む)
であろう。
特に「学校での教育の質の向上」は富裕層を地域に引き寄せ、結果として納税も増えるだろう。また、多子の家族が増えれば人口問題への解決の糸口になる。

貧困層が悩むのは、さらに云えば医療である。教育と医療の問題が解決されれば少子化の問題の大部分は解決すると信じている。

こうした戦略性を東京都が持っているとすれば感心する。

■投資対効果

政治家や役人は「公平」という言葉を多用する。そのために「所得制限」などを儲けるがこれは間違っている。こうした制約条件を設けると管理コストが発生する。それは余計な業務を増やすだけである。どこかで不正が発生するリスクがあるのならば点検(監査)は必要であろう。しかし、日常的な管理はコストがかかるのであれば再考が必要である。

一般に行政は、入り口のお金の管理には労力を割く。しかし、事業というものの性質を見ると
①製造コスト(調達コストも含む)
②維持管理コスト(修繕コストも含む)
③廃棄コスト
があるが、①以外は当初の予算化をしない傾向が強い。それすらも状況が変わったと云って平気で増額する。一般企業では考えられない。
撤退戦略もないのが問題である。
したがって、1度決めたら辞めない、管理コストは無視する、などの政策が多く、戦略もなく、効果測定も行なわない。

岸田首相にいう「異次元の少子化対策」は①だけしか見えてこない。
さてどうなるか?

(2024/01/08)