《AIを使えるかどうかが鍵になるかもしれない》

『倉庫業務が物流コスト全体に占める比率は推定約20%であり、倉庫関連コストの65%が商品かを棚から取り出すピッキング作業にまつわるものである。ほとんどの倉庫では今なお、紙のリストを基に取り出すべき商品を把握して、現物を探している。これでは時間がかかり、間違いも起きやすい。』
(テクノロジー経営の教科書 ダイアモンド社 より)

楽天/「送料込み」法令上の問題はない
https://www.ryutsuu.biz/government/m030245.html

で見る一連の騒動は送料を誰に負担させるのかと言うことでの法令上の問題と楽天がライバル視するアマゾンへの対抗という視点が交叉していることが混在していることがあげられる。

しかし、いったん倉庫に集めて配送するアマゾンのビジネスモデルと店舗の軒先を貸しているだけの楽天のビジネスモデルでは決定的な差がある。
たしかにアマゾンの倉庫にはブラックな面があり批判の対象となっているが、今後、AIやAR、ロボティクスが進行すると、物流コストに圧倒的な差が出てくる。

楽天が各店舗でのピッキングを行い配送するというコスト面のハンディキャップを解消できない以上、物流面での効率化や生産性向上は見込めない。いくら配送料を無料にしますと行っても、自腹で負担する気のない楽天のビジネスモデルには未来を感じない。

《テクノロジーの理解が経営者のリーダーシップを左右する》

『とはいえ、ブロックチェーンの業務への導入には課題も多い。その1つとして、決定権を持つ多くの経営層がブロックチェーン技術を理解していないことが挙げられる。最先端技術で活用事例が少ないがゆえに「様子見」になっているのだ。日本の主力産業である製造業の場合、先進的なIT技術に対しては特にこの傾向が強い。』

製造業にも役立つブロックチェーンの3つの特徴
https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1902/26/news008.html
より

2020年2月のコロナウイルスの出来事の内、テレワークの普及は転換点になるかもしれない。とはいえ、こうした技術的な要素を事柄は企業の能力に大きく左右される。テレワークと云っても、そう叫べば皆がテレワークに移行できるわけではなく、通信環境の整備だけでなく、業務プロセスの再構築、人事制度の転換、もしくはテクノロジーを使ったリモート管理の普及が求められる。

ブロックチェーンの活用でロジスティックが効率化され生産性向上につながる可能性や、各種のセンサー、ARやAIを使った遠隔地での業務管理などの可能性がある。

しかし、経営トップの技術への理解がない場合には、ありきたりのテレワークになり、単に現在の業務プロセスの写像にしかならない。未来に向けてビジョンを持てない経営者の元では卓越した経営は求めるべくもない。

経験の中では、工場の生産性向上のために、画像認識とAI、協働ロボットを使ってのプロセスの複合化に取り組んでいる企業の例を知っている。経営者は、周囲の技術者の声に耳を傾け、現在の技術で何ができ、何ができないのかの振り分けや必要人材の調達をしている。

経営資源として人の重要性に気づき、また人材とテクノロジーを紐付ける経営者だけが生き残る気がする。

《テレワークを支える技術》

リモートデスクトップを初めて試験をしたのは、今から30年以上前だった気がする。当時の通信環境は、ISDNが普及し始めであり、64Kぐらいの通信速度だった。自宅の電話回線で事務所のサーバーにログインし、画像を転送して作業をするのだが、とても使えるレベルではなく諦めたと言う記憶がある。

今では通信速度も上がりセキュリティもしっかりしているのでリモートデスクトップもリアリティのある話になっているだろう。VPNなども一般的になりつつあり、テレワークなども移行しやすいのではないかと思う。

https://jp.reuters.com/article/honda-coronavirus-work-idJPKCN20L3D5
ホンダ、東京地区の全従業員約2000人が在宅勤務 新型ウイルス対策
2020年2月28日

こうしたテレワーク以降の記事には枚挙にいとまがなく、延べ人数でいえば数万人規模での普及なのだと思う。

一方で、ITインフラ整備の体力格差・技術力格差が企業の競争力を左右する懸念もある。
クラウド環境が一般的になってきており、例えば「Office365」などを使えば、仕事の場所を選ばない働き方も可能だろうが、ソフトウエア資産への投資や通信環境の整備に積極的な投資ができる企業に限られるだろう。

自宅で仕事をすると云っても、すべての家庭で自力でひかり回線を引き、パソコン環境を自前で要求するというのは無理がある。かといって、企業がすべてを負担するというのはテレワークが「公私混同」を招きやすい環境では無理があり、補助もしくは手当という形にせざるを得ないだろう。法整備が追いついていない気がする。

職種の問題も大きいだろう。身近な例で云えば、「ソフトウエアの開発」と云うものがある。WEBシステムの開発などはクラウド環境での開発も可能だが、組み込みソフトや機器制御のシステムなどはオンプレミスでの開発しかできない場合が多い。

ハードウエアに依存するシステム開発はソフトウエアシミュレータでの開発が可能になる必要があるし、開発環境自体がクラウド型になる必要がある。

残念ながら、実際の開発環境からは遠ざかっているので実態は分からない。
新型コロナウイルスは良いきっかけではないが、働き方でのテレワークが普通になってほしい。

《AIに関する誤解 答えを示してくれる》

リコメンドという言葉がある。
わかりやすく云えばおすすめだ。

それを選ぶかどうかは本人次第なのだ。
実は、AIの本質を言い当てているのではないかと思う。

AIは正解を出すものではなく選択肢を提示するものだという程度でとどめておかないと危険な感じがする。
以前、「火の鳥:未来編」で、コンピュータが相互にけんかをして核ミサイルをぶっ放すという話を書いたが、その中で,人間が「やめろ!」と云っても止まらなかったシーンをなんとなく思い出す。

では、何でも人間の判断が必要かというと、それも程度問題で有り、自動倉庫や異物混入検査などはある程度任せないと仕方ない。

要は「正確性」ではなく「確からしさ」でAIはアウトプットを出すと云うことを忘れてはいけない。さっもないと、「AIに任せているから大丈夫」もしくは「AIでなくてはわからない」などという妙な話が横行する。

と言うことをなんとなく思ったのは「DSS」という用語を久しぶりに見かけたからだ。

DSSは”【 Decision Support System 】 意思決定支援システム”といい、今から30年以上前にはやったことがある。

経営上の意思決定をサポートするために、財務データや販売データなどを統合して統計処理をし、有益な情報を出すという代物だ。まだ、BI(ビジネスインテリジェンス)等という言葉が出る前だった。

このDSSの開発に少しだけ係わったことがある。統計処理に詳しいと云うこともあった性だろう。しかし、システムとしてはまともに完成することはなく、いろいろとトラブルも有り、いやな思い出しかない。

コンピュータでやれば、何でも「正解」が出ると信じていた時代なのかもしれない。
確かに計算はしてくれるが、意思決定にからむ話や、探索などの複数の計算結果が出るものに関しては100%正しいことはなく、あくまでも統計上のことになる。

当時はそんなことはあまり配慮されず、AIなども「正解」を出すために腐心していた。
コペルニクス的転回ではないが、「AIは可能性を示す」という程度に考えておいた方が良い。

現在、HRテックなども話題になるが、人の問題は機械に任せてはいけない。最終的には人が責任を持たないといけないと感じた。

《AIを活用するために POCの罠と言う言葉》

先日「POCの罠」という言葉を聞いた。
POCと言う言葉になじみがなかったので何だろうと思ったので調べたら、多分、文脈的に一番近い説明をしているのが下記の記事だった。

https://newspicks.com/news/4494535/body/
AI導入の失敗あるある、「PoC死」の罠とは。

少し、先入観が強いがまぁ妥当な記事だろう。

ある記事を見ていたら、デジタル技術の活用での失敗の原因として以下をあげていた。

①「デジタル化のためのデジタル化」
②変革した内容ではなく変革した企業に目が行ってしまう
③変革の担い手を間違える
④戦略と計画に時間を掛け、目的と素早さを軽視
⑤サイロ内での変革に終始する
⑥組織文化の変革が不十分
⑦デジタルスキル向上に投資しない

手段と目的の混戦を失敗の原因にしていると思う。
こうしたことを避けるためにPOCと言う言葉があるはずなのだ、思ったように進まないと云うことが起きる。

結局の所、リーダーシップがすべてという身も蓋もない結論に達しそうだ。
云っていることは「あるある」と納得できるのだが処方箋にはなっていない。

さて・・・

《AIを活用するために シングルプラットフォーム》

AIを活用するためのキモは「データ」になる。
どんなAIであろうと、十分なデータがなければ移管しがたいものがある。

さて、そのデータだが、単にそこにあるだけではダメで、何かしらの評価情報が必要だ。
善く例に出されるのが、画像データについて、「これは猫です」「これは犬です」「これは猫ではありません」などと云った評価を画像に付け加えることで、判断ができるというものがある。

様々な経験と知識が未来を予測すると云うことは「現象学」でも指摘されており、脳科学でも分野が重なる。ものの一部で全体を予測する(例えば黒くてワゴンっぽいジャパンタクシーの一部を観てもそれとわかる)などは知られている、

さて、Aiの活用分野としてHRテックを配慮すると、もう一つ重要な要素として、データの相互利用がある。

これはどう云うことかと云えば、下記の例で考えてみよう。
「定年延長に向けて、社員の生産性の向上のための報酬と配置の最適化を考える」という課題があったとする。
ほしい情報としては、
・生産性向上に係わる個々人の働き方
・ライフステージの変遷
・能力開発の記録
・自己申告の記録
・賃金の取得履歴
・キャリアパスの記録
など様々な情報が必要になる。

ところが、結婚や出産などの属人的データは総務、賃金や異動は人事部、生産性などの記録は各部門、等など。管理している部門やシステムが異なることが多い。

これでは、データの活用をしようにも手間がかかり情報が欠落する。

実際、賃金制度の見直しをしようとしても、属人的な情報と賃金の情報が別システムで統合されていないばかりか、履歴がわからないので予測にも使えない。

まずは、同じプラットフォーム(シングルプラットホーム)に乗せることから始めないとにっちもさっちも行かない気がする。

ただし、実際の企業の状況を見ると、システム部門と管理部門、現業部門でのセクショナリズムがあり、統合は簡単ではなさそうだ。システム部門としてはレガシーな資産が有り、そう簡単には新しい仕組みにトライできない。

おすすめなのは、新しいプラットフォームに新規の情報だけを載せること。今までの資産を活かそうなどと考えない方が良い。

あと、システム部門を廃止すること。ただし、システム部門の人は、総務や人事、企画部門、工場での生産管理などへ再配置し、ITC活用の専門家として活躍できるようにすることをおすすめする。

ちょっと乱暴かな?

《AIに関する誤解 20100201 AIとは何かを定義しないで議論をしないこと》

AIというと、まるで人間のように会話をしてくれるような存在をイメージするかもしれない。「火の鳥・未来編」に出てくるコンピュータのようなものかもしれない。

しかし、これは「AI」が何をできるのかに着目してしまって、何を解決させて行くのかの議論が抜け落ちてしまっている。

曖昧な定義でAIを語るから、まともな議論ができないことになる。

適当なものはないかと探していたのだが、さすがにNTTだと感心するサイトがあった。

https://www.nttdata.com/jp/ja/services/ai/001/

大きく以下に分けられている。

(1)ルールベースのAI
これは、おそらく今から40年前に主流だったもので「エキスパートシステム」と呼ばれるものだろう。「もし~なら・・・」を構造化したもので、例えば医者の問診などに使うイメージになるだろう。
(2)統計をベースにしたAI
機械学習と呼ばれる分野で有り、統計的な手法としてはベイズ統計が有名だ。現在の画像認識、音声認識、あるいは自然言語処理などが有名で、翻訳などに使われている。
(3)脳の動きを模したAI
いわゆるニューラルネットなどの研究を応用したもので、ディープラーニングなどがキーワードとなる。

さて、テレビなどは、この「脳の動きを模したAI」を取り上げた方がセンセーショナルなので取り上げているが、現実的に利用しやすいのは、(2)の機械学習の分野だ。

機械学習の特徴を、誤解を承知で云えば
(1)解の探索の仕方が複雑で、試行錯誤が伴うようなものですぐに正解が見つからない問題への対応
(2)同じ動作を繰り返すが、そのたびごとに状況が異なるので判断が必要な反復作業をさせるための技術
と言ったことをがあげられる。

従って、一定の誤差があっても人間がやるよりも確からしさが高い作業をAIにやらせることで業務の効率化が図れる担保が求められる。

さらに、上記のサイトにある記載の下記にも留意する必要がある。

「サンプルとなるデータ・特徴量を人間が与え、ルールや知識を自ら学習し、新たなインプットについて自動的に判断してアウトプットする」

こうしたAIに関する定義をしておかずに、単にAIを語ると、現実世界と関係のない議論になる。

AIに関する誤解 20100130 AIに任せておけば善いという誤解

Googleは2018年6月11日付けで下記の宣言をしています。

https://japan.googleblog.com/2018/06/ai-principles.html
Google と AI : 私たちの基本理念

この中で、「AI利用における基本方針」として下記をあげています。

1.社会にとって有益である
2. 不公平なバイアスの発生、助長を防ぐ
3. 安全性確保を念頭においた開発と試験
4. 人々への説明責任
5. プライバシー・デザイン原則の適用
6. 科学的卓越性の探求
7. これらの基本理念に沿った利用への技術提供

この中で「2. 不公平なバイアスの発生、助長を防ぐ」では以下の記載になっています。

AI のアルゴリズムやデータセットは、不公平なバイアスを反映したり、強化したり、反対にそれらを緩和することもできます。あるバイアスが公平か、不公平かを判断することは必ずしも容易ではなく、文化や社会的背景によってその判断が分かれます。しかしながら、特に人種、民族、性別、国籍、所得、性的指向、能力、政治的または宗教的信念などといった繊細なトピックにおいて AI が不当な影響を与えることがないよう努めます。

こうした記述は、AIにすべてを任せるのではなく、人間をサポートする仕組みとしての役割だと認識し、機会と人をつなぐ「なにか」という枠組みを理解しているからでしょう。

昨年、内定辞退率のサービスをしたことが問題になりましたが、個人情報保護という立場ではなく、倫理観でいえば、「本人が承知していないにもかかわらず、勝手に自分への評価バイアスがかかる情報が提供され、それに対し異議を唱えることも修整させる手段も与えられない」という倫理的な問題の方が重要かもしれません。

結局のところ、AIは様々な事柄を高速処理することで、未来の可能性を示しだけであろうと云うことをしっかり認識しないと、AIがやってくれることを無条件に受け入れてしまうことになりかねない。

前回のAIは何でもやってくれるという誤解もこのへんに起因するかもしれない。

AIに関する誤解 20100129 AIは何でもやってくれる

少し前の話なのだが、マシニングセンター内に温度センサーを取り付け異常値を示したら警告を出すための簡易的なAIシステムを作成した。
機構は単純で、温度変化の微分値を観察して、許容以上であれば警告を出すというものだ。
許容範囲は、最初は適当に入れておいてパターン化は後でやろうという計画だった。

前提としては、温度の計測データを評価するところなのだが、これはお客さんにしかできない。何が異常なのかは私にはわかりようがないのだから。

ところが、観測データの評価をお客さんはできないという。「温度データは今まで観たことがない」というのがその理由だった。

「AIは自動的にやってくれないのか?」

と衝撃的な言葉だった。

「いやいやAIは様々な技術の総称であって、万能の特定のツールを指す言葉ではないですよ」

と話をしている内に、AIと言う言葉だけが先行していることに気がついた。

実装レベルの話をするとAIという言葉は正しくはなく、「機械学習」という言葉が一番しくり来る。
機械学習も、「正しい答えを求める教師有り学習」と「事象のパターンを探す教師なし学習」に分けられる。

実務的に活用されているのは「教師有り学習」なのだが、こうしたシステムは、「膨大な善い悪いを判定したラベル付きのデータ」と「それを解釈する学習エンジン」が必要になる。

この「ラベル付きデータ」を作成するのはとても大変で、そのあたりを誤解すると「AI万能論」が出てくる。

現在、AIをHRMは個人ごとにどう活用するかを考えているのだが、いろいろ記事を見ていると誤解を招きやすい記事があるので。

さて、参考のために

【教師なし学習】
教師なし学習とは、機械学習の手法の一つである。「出力すべきもの」があらかじめ決まっていないという点で教師あり学習とは大きく異なる。データの背後に存在する本質的な構造を抽出するために用いられる。

教師あり学習は、その「出力すべきもの」も入力として与える手法であり、データの背後に存在する本質的な構造を抽出するよりむしろ、思い通りの出力を再現する機械の構成に用いられる。

具体的な例として以下のようなものがある。
クラスター分析
主成分分析
ベクトル量子化
自己組織化マップ

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%99%E5%B8%AB%E3%81%AA%E3%81%97%E5%AD%A6%E7%BF%92

【教師あり学習】
教師あり学習とは、機械学習の手法の一つである。事前に与えられたデータをいわば「例題(=先生からの助言)」とみなして、それをガイドに学習(=データへの何らかのフィッティング)を行うところからこの名がある。

典型的なものとして分類問題と回帰問題がある。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%99%E5%B8%AB%E3%81%82%E3%82%8A%E5%AD%A6%E7%BF%92

生体認証が当たり前の世界

「国内初」顔認証改札機は可能か 大阪メトロが実験開始
https://www.asahi.com/articles/ASMD93RLGMD9PLFA001.html

昨日、旧知と久しぶりに会い一献傾けた。元気そうで何よりだった。
話題は、彼の抱えている課題などがメインだが、私の分野であるITの動向などにも話が渡った。

ふと、今自分が使っているパソコンが指紋認証であることを伝えたら、彼のパソコンも顔認証であることを語った。今年の、ITにかかわる記事を俯瞰すると、こうした先進的だと言われた技術が当たり前のように使われ始めたというのが2019年だった気がする。

生体認証が当たり前のように使われ、それ自体がクレジットなどと連動すれば財布を持たない買い物が自由にできる世界が実現できるかもしれない。
上記のような出入り口の管理ができるなら、物理的な「鍵」が必要なくなるかもしれない。車のキーもいらなくなるかもしれない。

IT技術に関する感度を上げてゆかないと、企業は生き残れないかもしれないと感じる。
「度胸」は必要だが「勘」と「経験」はAIに任せる時代になるのではないか。

さて、2020年はどんな世界になるのだろう。