統計学への理解は必要

私の専門領域の一つは、数理科学・統計学になる。とはいえ、残念ながら専門といえるほど深くは知っているわけではない。一応一通りの話ができる程度には知っているぐらいだ。
数理科学では、様々な事象を「y=f(x)」という線形モデルで表現することが多い。物理学が支配する世界では比較的、xもyも明らかなことが多いので特に苦労することはない。あらかじめ程度はともかく相互の関係性について明らかなことが多い。

大学時代の教科書は今でも役に立つ。基礎的なことはここからスタートすることになるだろう。

これが、社会科学の分野になるとそうはいかない。
最初に気が付いたことは、いわゆるES調査、社員意識調査という分野でデータの結果を解釈していた時のことだ。
一点目は、どちらがx(原因)でどちらがy(結果)かわからないということだ。
例えば、仕事への意欲と上司のコミュニケーションの程度というものを考えた場合。
仕事への意欲が高まらないので上司tのコミュニケーションが十分できないのか、上司とのコミュニケーションが十分ではないので仕事への意欲が高まらないのか、そもそもそれぞれの事象は独立していることなのかがわからない。
二点目は、xからyに至る過程で、そのほかの要素が絡んでくるので、単純に一意関数にはならないだろうということだ。

結局、社員意識調査の結果を理解するためには、心理学や経営学、組織論など様々な領域を合わせて視野に入れなければいけないということに気が付いた。

それ以降、こうした会社のありようにかかわるいろいろな調査や事業計画などの評価などを進める上で、単純に位置分野の知識だけではいかんともしがたいことに気が付いた。

さて、このクロスレポートプロジェクトの目的は、ある一つの命題を解くときに複数の側面から見たときにどのように見えるのかの試みになる。先の長い話だし、あまりに範囲が広いのでうまくゆくかはわからないが取り組みを始める。

2017年4月29日

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