戦略の組み替え

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競争優位の戦略は結局、安い製品で市場で生き残るのか、高くても良いと思わせて顧客を獲得するのかの2者択一だろう。
その際に、広くあまねく受け入れられる戦略なのか、特定のセグメントに集中して行くのかの違いになる。

新しい事業コンセプトをつくるためには、今まで成功している事業の常識を疑いながら戦略の組み替えをすることだ。

 創造力を妨げる今ひとつの傾向は、我々の“順応したい”と言う熱望である。これが因習主義の弊害を生むが、「因習は独創性の大敵なのだ」。もっと独創的になるためには、自分自身の襟首をつかんで「人まね」をしないように注意しなければならない。
- A・オスボーン 創造力を生かす -

■ 「大きいことはいいことだ」は通用しなくなってきている

ファミレスが退潮、飲食店の「狭小化」がさらに進む事情
https://blogos.com/article/344156/

外食産業を説明するのに妥当かと思うので、記事を引用する。

 すかいらーくは客数減、サイゼリヤは為替レートの変動や天候不順による食材原価の高騰等、理由はさまざまあるが、慢性的な理由として飲食業界全体を取り巻く、「人手不足」という課題の根本的な解決策が見つかっていない。ドリンクベンダーの機械化や深夜営業の短縮といった手は打っているが、新規就労者に対するトレーニングコスト等、人手不足に伴う人件費の増大は避けられない。

現在、好調の回転寿司チェーンは調理の機械化によって、人件費の圧縮に成功しているが、回転寿司は機械化にもっとも適した業態であって、他の飲食業態にすぐに展開できるわけではない。「外食元年」と言われる1970年からまだ50年足らず。経費の構造から見ても、日本の外食産業の単価はいびつであり、だからこそ「ブラック」などと言われる働き方が露見してしまう。

極論を言えば飲食店の客単価が上がらない限り(正確に言うと、客単価上昇を客が受け入れない限り)、日本の飲食産業の未来は見えてこない。もっとも、各ファミリーレストランとも、客単価の引き上げなどには、一定の成果が見られる。ここに一筋の光明が見いだせるか。

一方、個人店はというと、繁盛店についてはかつてないほどの活況を呈していると言っていい。昨年一気に可視化された「飲食店の狭小化」は今年も絶賛継続中。5~10坪程度の広さで、スナックなど長く営業した店の居抜きに個人店が入るケースは相変わらず多い。

 

まずは背景に、「人手不足」があることと、戦略が「コストリーダーシップ」であり、これが働く現場に無理をさせていることがある。相互に負のスパイラルになっているだろう。

機械化を進めることで効率化を行うことはできるが、以下のデメリットもある。
・大型店舗であれば設備投資はそれなりの規模になり、コスト回収に時間がかかるが、長期にわたって同じビジネスモデル(設備)が使えるとは限らない
・人によるサービスの省力化は、接客サービスの低下につながり客離れを引き起こす

実際、画一的・機械的に食事を提供するところは軒並み負け組になっているだろう。
その中で特徴を出しているブロンコビリーなどは一定の水準を確保している。

先般、NECとセブンイレブンで無人店舗の実証実験を始めているが、これをスーパーに持ち込むことは可能だろう。私なら、店員をコンシェルジェ的な役割に変えて行く。品出しやレジはロボットがやれば良い。

飲食店の小型化は以下のようなシナリオにすればメリットがある。
・メニューを限定的にする
・特徴のあるメニューにする
・目の前で調理しそのまま出す
こうすれば、調理器具なども限定し、設備投資も抑えられ、スタッフの多能工化で人件費も抑えられる。

戦略として考えると
「広い顧客層向けのコストリーダーシップ」

「集中戦略(差別化戦略)」
への切り替えになる。

■ 24時間ジムという今までに無い発想

東洋経済の記事に以下を見つけた。

地方でも大量出店始めた「エニタイム」の自信
24時間ジム旋風で変わるフィットネス業界①
https://toyokeizai.net/articles/-/254386

注目される点としての記載は下記の通り

スタジオやプールも完備した従来の総合フィットネスクラブと違って、新たな24時間営業の小型ジムは筋トレや有酸素運動のマシンに特化。シャワーなど水回りも至って簡素だ。店舗面積は60~80坪程度とコンビニより多少広い程度で、夜間から早朝はスタッフ不在の無人営業になる。

これは、前項の「大きいことはいいことだ」が通用しなくなったことと関連する。

1点目は、どこもやっていなかった事業形態であること。
おそらく、フィットネスクラブと言えば、マシン、スタジオ。インストラクター、ジャグジーといったものが構成要素で必須と考えていただろう。
こうした常識にとらわれていると新しい業態が生み出せないという例になるかと思う。

2点目は、設備投資の少なさ。
ここ谷塚にも同様の施設がある。
従来のフロアの居抜きをそのまま使えると言うことに驚いた。
おそらく新しい土地を確保して、設備を整えてと言うよりは圧倒的に投資金額が少ないだろう。
店舗あたりの投資額が少なければ、多数店舗の展開も容易になる。

常識にとらわれていると、「そんなやり方ではうまくゆかない」という結論に飛びつきやすくなる。

みんなから『失敗する』と言われるような業態だったから成功したんですよ【(株)Fast Fitness Japan】
http://j-net21.smrj.go.jp/establish/columninterview/interview/predecessor2018/180523.html

記事にこうした一節がある。

―― エニタイムが日本でこれだけ支持された成功要因は何だと思いますか?

大手チェーンがみんな「エニタイムの業態はうまくいかない」と反対したからではないですかね(笑)。エニタイムをスタートした当時は、多くの業界人から「24時間営業なんて流行らないし客も集まらない。店にスタッフがいないなんてダメだ。スタジオも無いのに集客できるわけがない」とよく言われたものです。

 

後付けでは成功した要因はいくらでも出てくる。
例えば、
・コアターゲットを20代~40代の男性と絞ったこと
・シンプルに「ワークアウトをしたい方々が歩いてすぐ店に行ける」という業態であること

競争優位の戦略としては「集中戦略」に分類されるだろう。
こうした発想は、従来のフィットネスクラブの常識である、ジムやスタジオがあり、広い空間とジャグジー、サウナと行った総合型スポーツ施設でなければならないという常識からは出てこないだろう。

「常識的には無理です」というところにこそビジネスチャンスはあるのだろう。

(閑話休題)

さて「常識のとらわれない」と「ルールを無視する」の境界線というのもなかなか難しい。

ふるさと納税のウラ側④ 売上1億円超!人影まばらなガソリンスタンドで何が?
「地場産品ない」町が東海地方2位のワケ
https://www.fnn.jp/posts/00403520HDK

地場のものとは何の関係もないものを送ってしまえという発想はなかなか面白い。

こんな取り組みをしている自治体もあるのかと少し驚いた。

まぁ「アウト」かな。

 

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