■気になった記事
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/60239
パナソニック社長の「今のままでは10年も持たない」発言、その真意 27万社員に大激震が走った
と言うこの記事の背景となる「100年」という言葉や「くらしアップデート業」などは、昨年の10月に行われたパナソニックの創業100周年のイベントの基調講演の中で語られている言葉なので唐突感はない。
参考:https://kaden.watch.impress.co.jp/docs/news/1150826.html
「くらしアップデート業」とは何か?
このコンセプトで100年持つと考えた理由は何か?
など突っ込みたいところはあるが、まぁいいだろう。
問題なのは「今のままでは10年も持たない」発言が外部媒体から持たされることだろう。
すでに企業を取り巻く環境の変化の速度が速いことや価値観の変化により売れ筋が大きく変わってゆくこと、少子高齢化は需要と供給の曲線をゆがめることなどで、ちょっと先の予見すら難しくしている。
ビジネスモデルは一夜にして変わることは当たり前になっている中で、のんびり構えていたら10年どころか5年でも危ないかもしれない。
そんなことは言われなくても肌感覚で持っていると思う。
もしそうした危機感が組織内で醸成されていないなら、外圧ではなく日常のコミュニケーションを使うべきだろう。
社外のメディアで危機感をあおられた後で「おまえらどうするつもりだ」と言われても不信感しか持てないかもしれない。
■かつての経営幹部へのインタビューで思うこと
コンサルティングファームと契約していた頃、優れた人材マネジメントをしている企業へのインタビューに同席させてもらったことがある。
インタビューの相手は、経営幹部であり、また現場のマネジメントの責任者でもある。
詳細はともかく、印象的だったのが「ぶれないこと」
後で調べて確認したが、経営トップが対外的に言っていることと経営幹部が現場に伝えていることが一致していた。
こうした一貫性を担保しておくと現場の社員は自身の行動の評価軸が安定するために、全社でのコミュニケーションロスがなくなる。
コミュニケーションの安定性は、業績向上の十分条件ではないかもしれないが必要条件の一つだと考えている。
そうした意味で、会社の方向性に関する情報を、社外の第三者の情報源から得ると言うことは、突然の舵の切り替えを余儀なくさせられ、好ましいこととは思えない。
■突然の倒産の余波
直接にはこの記事とは関係ないが、会社の状況をメディアで知ったときの混乱という視点では「山一事件」を思い出す。
もともとIT系と言うことも有り、山一証券の破綻の時期は、山一証券システムと言ったか、子会社と接触をしていた。
戦法の会社の部長さんは大学の先輩でも有り、他社からヘッドハンティングされ部長に登用されたばかりであった。
そのお祝いをした金曜日の翌週には会社がなくなることになった。
青天の霹靂のようで、何も準備をしていない中で大混乱し、それまで進めていたプロジェクトの整理、関係者へのお詫び、部下の再就職先の斡旋と大変だったことを当時の電話などの会話を思い出す。
社内に秘匿しておかなければいけない事情もわかるが社員はたまった物ではない。
「社員は悪くありません」と涙を出されても何の同情もできない。
■社員に情報を知らせると言うこと
いろいろな機会があって経営者の話や企業活動の背景などを見ることがある。
その中で、うまくいっているなと感じる企業に共通することは、「経営者は常に社員に話しかけている」という点だろう。
公式の場で話をする暇があったら現場に赴きコミュニケーションをとると言う方が良い気がする。
少し前の経験だが、その会社は必ずしも事業環境が良いわけではないが、活力があり業績も伸ばしている。経営トップは「もう一歩足りない」が口癖で現場では「一歩おじさん」と呼ばれているそうだ。常に危機感を現場に伝えることで組織全体のベクトルをあわせていると感じた。
それでも、コミュニケーションが十分と言うことではなく、設備投資をしても「その前に社員に還元してくれ」という声が消えるわけでもない。
社員はいろいろな判断で行動する。その根拠はやはり情報だろう。その情報が予期せぬ第三者からもたらせられることは、情報の質が担保されない中での消化になる。
よろしいとはとても思えない。
最初の記事が気になった理由だ。
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