《マネジメントシステム:法令遵守の選択の理由》

《マネジメントシステム:法令遵守の選択の理由》

20200208

利益を出す最も簡単な方法は法律を守らないことだ。
なぜなら、法律を守ると云うことは決められた手順を守ることで、当然コストが発生する。しかし、それは正しいことではないと感じていてもその誘惑から逃れられない場合がある。昨今の偽装事件などはその最たるものだろう。

企業が後悔するのは、それが明るみに出て業績を左右する自体になって初めてからかもしれない。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51899270X01C19A1DTD000/
レオパレス、214億円赤字 4~9月 賃貸低迷で赤字拡大
2019/11/7 20:30

と言う記事を見ると、懸念されていたように顧客から見放されている状況がうかがえる。

記事には

20年3月期の最終損益は273億円の赤字(前期は686億円の赤字)になりそうだと発表した。

とあり、財務的にも影響が大きいことがわかる。

株式会社レオパレス21
2020年3月期 第3四半期決算概要
2020年2月
https://www.leopalace21.co.jp/ir/library/pdf/2020/3Q/daisan_ppt.pdf

と言う資料を見ると、レオパレスの置かれている厳しい状況がうかがい知れる。

特にキャッシュフローで現金及び現金同等物の期末残高は、2019年第3四半期で882億円あったものが、2020年第3四半期では768億円と、一年で120億円減少することになる。小手は固定資産などの売却でしのいでいるが、実質的にはさらに500億円減っていることになる。

現金だけで観ると、果たして数年持つのだろうかと危惧される。

そのせいだろうか

「抜本的な事業戦略再構築の検討開始のお知らせ  2020年2月7日」
https://www.leopalace21.co.jp/ir/news/2020/pdf/0207.pdf

では、新たな事業戦略の構築を宣言している。どのような内容になるかはともかく

「見直しによる選択肢としては、a.)強化、b.)維持・継続、c.)縮小、d.)撤退・譲渡等 が考えられる。更なる生産性の向上やコスト削減、アライアンス等についても検討を行う。」とあり、かなり逼迫した状況であることは間違いない。

このように影響が大きいにもかかわらず、戦略的な枠組みに法令遵守を真面目に取り上げている企業はどのくらいあるのだろうか。

私自身は、QMS(ISO9001)の審査員で有り、日本経営品質賞の審査員にも何度か担っている。

ISO9001での法令遵守については下記に少し記載した。
http://nss.watson.jp/2020/02/08/%e3%83%9e%e3%83%8d%e3%82%b8%e3%83%a1%e3%83%b3%e3%83%88%e3%82%b7%e3%82%b9%e3%83%86%e3%83%a0%e3%82%92%e8%80%83%e3%81%88%e3%82%8b%ef%bc%9aqms%e3%81%a7%e3%81%ae%e6%b3%95%e4%bb%a4%e9%81%b5%e5%ae%88/

日本経営品質賞でも、そのカテゴリーの社会的責任が有り、賞に応募しようとする企業はそれなりに考えているが、すること自体が目的になっており、戦略的な位置づけが明確で無い例が多い。

「なぜコンプライアンスが重要だと考え、そのためのその活動をなぜ選択したのか」という文脈がおろそかにされている。形式的に「コンプライアンスが重要」という叫びだけでは何もかわらない。

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