未来への手がかり:夢を語ることの重要性(ボールパークと札幌ドーム)


理念を基に計画を立て事業を行なえば必ずしも成功するわけではない。
しかし、理念無き活動は他者への配慮を欠き、他者への配慮がない活動は遅かれ早かれ破綻する。
なぜなら、理念無き活動は、いくら成功しても永続的な支持を得られないからである。
そして、理念は「夢」から派生しなければならない。

■夢を描く成功例と失敗例

かつて「エスコンフィールド」のドキュメントを見たときに、担当者が「街作り」を熱く語っていたシーンを思い出す。こうした街作りに共鳴した日本ハムファイターズは、これに乗っかるように活動を展開し、成果を上げている。

○「自前の球場で収益構造、改善」 日本ハム幹部が総括した初年度
2023年12月23日

 「世界がまだ見ぬボールパーク」とうたった、新球場。来季は7月23日にオールスターの開催が決まっており、その先にはどんなサービスが繰り広げられるのか、夢を明かした。「近い将来、大リーグの試合をここでやりたい。球場が完成する前から、関係団体にはラブコールを送り続けています。北海道の皆さんにいろんなエンターテインメントを提供するのが使命ですから」

https://www.asahi.com/articles/ASRDQ73FGRDQIIPE01B.html

そして、街作りの取り組みは少なくとも良い歯車でまわっているようだ。

○来場者300万人超!海外客も訪れる“夢のボールパーク” スキー場や大学も移転 2023年12月29日

「球場以外のエリアでいうと35%の出来高なので、まだあと65%くらいはやらなきゃいけないこととかやるべきことがまだあるので、全然完成形ではない。このエリア全体を行楽地化させようと思っているんですけど、そこからマチ化していく。(未完成の)のこりの65%の中には働く場所とか学ぶ場所とか、そういうのがあっても面白いかなと思う」

https://news.ntv.co.jp/n/stv/category/society/stee0b57ede13740c98889775b8ea8562b

一方で、日本ハムファイターズに去られた札幌市は苦戦してるようだ。

○赤字3億円見込みの札幌ドーム 1~2万人規模にできる「新モード」予約はゼロ… イベント数も目標下回る
2023年12月26日

今年3月北広島市にオープンした北海道日本ハムファイターズのボールパーク。試合のない日も楽しめる工夫が満載で、来場者は300万人を超えました。
一方、札幌ドームは年間60日以上あったプロ野球の試合がなくなったため、新たな戦略を打ち出しました。

今年3月に導入した「新モード」。通常4万人のドームを幕で仕切ることで、1万人から2万人規模のコンサートなどを開催できるようにするもので、幕などの設備におよそ10億円を投じました。

https://www.htb.co.jp/news/archives_24095.html

■グランドデザインの見直し

札幌市でも都市の発展の為のグランドデザインはあるだろう。
しかし、それが目先の利益の為に動いていないかを検証する必要がある。

オリンピックの招致も街の活性化のための方策であろう。
しかし、目的が「札幌市の活性化」であれば、手段は色々あるだろう。無理だと分かった段階でリソースをオリンピック意外に向けるべきである。

札幌ドーム単体での機能にこだわるべきではない。「通常4万人のドームを幕で仕切る」は何のために行なうのか?それは集客のためだというのなら,現時点で失敗と評価される。

市民に開放された場所作りというなら、札幌ドームの周辺、あるいは他所との連携など色々ある。活性化とは何かを議論して、グランドデザインを描かなければ、単に札幌ドームの赤字だけがクローズアップされる。

そして、グランドデザインを市民と共有する取り組みをしなければ理解を得られない。

(2023/12/31)