世間に転がる意味不明:「備えあれば憂い無し」の難しさ(起きて欲しくないことに目をつむるビッグモーター事件とダイハツ事件)


■2024年の最初の事件

2024年1月1日には能登半島で大規模な地震と津波が発生し甚大な被害をもたらしている。
〃1月2日はJAL機と海保の期待が衝突して、事故が起きている。
JALの乗員乗客380人あまりは皆無事であると言うが奇跡に近い。
90秒以内に退避させる訓練をしていたと言うことで、あらためて訓練の大切さを知った。

能登半島の地震でも津波警報が出た途端にNHKのアナウンサーが絶叫するシーンがあり、これも訓練の成果なのだと思う。行政の対応も、十分とは言えないかもしれないが事前にある程度の準備をしていたと思われる。大きな混乱が生じていないのは一定の評価をしても良いだろう。

起きて欲しくないことはたくさんある。しかし、だからといって何も準備していないと後手後手になり混乱が大きくなる。

■ダイハツ事件

ダイハツ工業の不正事件は30年以上にわたって行なわれており、関連するステークホルダーはそれこそ山のようにあり、しばらくは混乱が続くであろう。しかし、こうした企業が突然、災禍に巻き込まれると云うことを想定しないで良い理由はない。

その一つは行政の準備であろう。

○ダイハツ工場停止、府内にも影響 府が緊急対策チーム
2024年1月1日

ダイハツ工業の京都工場(京都府大山崎町)の稼働停止を受け、京都府は26日に「緊急対策チーム」を設置した。同社と取引がある府内企業への影響を調べ、対応を検討する。

28日にあった初会議では、経済団体などの幹部らが「売り上げが3~4割減ったという相談もある」など、現状を報告した。

https://www.asahi.com/articles/ASRD072W9RDXPLZB00L.html

ダイハツ工業の不正事件は12月に発覚したわけではなく、その動きを見ていればもっと前に大きな事件になり得ることは想定できた。仮に想定できないとしても、最悪のシナリオを考えることはできる。にもかかわらず、ことが起きてから対応する、その遅さには呆れる。北海道医療大学の移転への対応と通じることがある。

■ビッグモーター事件

怪しいと思っていてもそれに目をつむっていては備えなどはできない。
ビッグモーターが事業継続に赤信号がともっていたとしても、自分たちの不正に目をつむっている以上対策などはないだろう。

○損保、ビッグモーターと解約 全7社、代理店委託ゼロに
2023年10月23日

中古車販売大手ビッグモーターによる自動車保険の保険金不正請求問題を受け、三井住友海上火災保険は23日、ビッグモーターとの保険代理店委託契約を11月30日付で解約すると発表した。代理店契約を結ぶ損害保険会社7社がいずれも解約することになり、ビッグモーターが代理店業を続けるのは困難となった。

https://www.47news.jp/10030841.html

○ビッグモーター工場、行政処分へ 民間車検場指定取り消しも
2023/10/12

不正な自動車整備をしていた疑いが強まったとして、国土交通省が道路運送車両法に基づき7月に一斉立ち入り検査した中古車販売大手ビッグモーターの全国34工場に行政処分を科す方針を固めたことが12日、同省関係者への取材で分かった。うち12工場は民間車検場の指定を取り消す最も重い処分になる見通し。

https://nordot.app/1085016207820342237

■とばっちりを運が悪いと考えているのは危険である

○ビッグモーター野々市店に「事業停止」等の行政処分 かほく店はイオンから10月末で契約解除・閉店へ
10/24

中古車販売大手ビッグモーターの保険金不正請求問題で10月20日の聴聞にビッグモーター側が現れなかった事から国土交通省は、反論なしと判断。きょうビッグモーター野々市店に対し事業停止10日と車検業務停止20日間の処分としました。

県内のビッグモーターをめぐってはイオンの敷地内で営業しているかほく店がイオン側に承諾を得ないまま店舗前の植栽を舗装したとして10月いっぱいで契約が解除され閉店することが決まっています。

https://www.ishikawa-tv.com/news/itc/00000259

その店で中古車を販売された顧客は、今後の保険を自分で探さなければならない、修理も他所で探さなければならないとしたら、負担は大きい。

それは、同業他社への波及する。

○「ビッグモーター」問題で業況悪化か-中古車店の倒産が急増、過去10年で年間最多に到達する予想
2023/10/10

過熱する中古車人気によって中古車の仕入れ価格が高騰し、厳しい価格競争のなかで価格転嫁に苦慮する中古車店の倒産が増加。さらに2023年に入り、業界首位のビッグモーターをはじめ業界大手の不正が相次いで発覚。中古車業界に対する顧客の目が厳しくなり、販売やアフターサービスの整備入庫にも影響が出始めているという。

帝国データバンクの調査では、2023年3月時点と比較した9月時点の中古車店の業況が「悪化」となった企業は16.3%を占めた。中古車店からは「ユーザーが不安を抱えており、購買意欲が低下している」といった声も聞かれ、中古車業界の成長は減速が避けられない状況となっている。

https://news.mynavi.jp/article/20231010-2789242/

企業にとっても対岸の火事という姿勢でいることは危険である。

■BCPを真剣に考える

一般的にBCP(事業継続計画)の外的要因としては、災害(地震、風水害、感染症などのパンデミックなどが挙げられ、内的要因として火災や工場事故、設備の老朽化、最近ではテロなども含まれている。
https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/contents/level_c/bcpgl_01_1.html

こうした教科書的なものをいくら見ても、効果的な対応はできない。

①衝突炎上なんてことを想定するなど常識的ではない
②想定以上の災害を想定することは「おろかもの」と揶揄されかねない
③他者がどうなろう統治には関係ない

などと云ったことを含めてBCPを考えるべきである。
さもないと,ことが起きてからの対処であり手遅れになりかねない。

倒産してからでは遅い。

(2024/01/04)