築城三年落城三日:再びの築城はあり得るのか(ダイハツ工業)


■格言

格言としての「築城三年落城三日」は築き上げたものを一瞬で失うことの理を説いたものと理解している。ChatGTPに訊ねると以下の回答を得る。

「築城三年、落城三日(ちくじょうさんねん、らくじょうさんにち)」は、ある事業や計画が長い年月をかけて構築されたり進められたりする一方で、その成果が短時間で崩れ去ってしまうという意味を表すことわざです。この表現は、労力をかけて何かを築き上げることの難しさや、一瞬の過ちで失われる可能性を示唆しています。

具体的には、何かを慎重かつ丹念に築き上げるには時間と努力がかかりますが、その成果が一瞬で崩れる可能性があるということを警告するために用いられます。このことわざは、計画や事業を進める上での慎重さや注意深さの必要性を教えています。

しかし、これは「真摯」に積み上げたことが前提であり、欺瞞の上に積み上げたものを指しているわけではない。

■ダイハツ工業とカイゲンファーマ

2023年は企業の不祥事や組織不善が表沙汰になった年でもある。
・ジャニーズ事務所
・宝塚
・日大アメフト部
・ビッグモーターと関連して損保会社
・ダイハツ工業
・カイゲンファーマ

特に、以下の事件は象徴的である。

○ダイハツが全車種出荷停止、不正64車種に拡大 「経営陣に責任」
2023年12月20日

トヨタ自動車(7203.T)傘下のダイハツ工業は20日、国内外で販売する全車種の出荷を一時停止すると発表した。トヨタも一部車種の出荷を停止した。車両の安全性を確認する試験不正問題を巡り、不正対象が64車種に拡大するため。出荷再開時期は未定。同日、外部弁護士らによる第三者委員会の調査結果を国土交通省に報告。同省は21日にダイハツ本社へ立ち入り検査する。

https://jp.reuters.com/business/autos/D6FQ6NWY55KHPHSTNXGJK2QBS4-2023-12-20/

○カイゲンファーマに39日間の業務停止命令
8品目で承認書と異なる製造
2023/12/26

大阪府と北海道は2023年12月22日、カイゲンファーマ(大阪市中央区)に対して医薬品医療機器等法(薬機法)に基づき、23年12月22日~24年2月1日まで39日間の業務停止処分を通達した。同社は8品目で承認書と異なる製造を行っており、古いものでは1977年から不正が続いていた。

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/202312/582612.html

共通点としては
①他社(日野自動車や小林化工など)で発生しているのに自らを振り返ることをしなかった。
②すでに30年以上も続いた不正であり、顧客にも市場にも誠実な対応をしてこなかった。

これはどう考えるべきであろうか。

■信頼以前の問題

○築いた信頼「一瞬で崩れた」 ダイハツ不正、書き入れ時直撃―販売店
2023年12月27日

 ダイハツ工業が26日、認証不正により国内で完成車を生産する全4工場を停止したことを受け、販売店から悲鳴が上がっている。国内生産の全車種で不正が判明した異例の事態に「築いた信頼が一瞬で崩れた」と途方に暮れる店舗も。年末年始の書き入れ時を直撃した上、生産再開や減収補償の見通しも立っておらず、不安な年越しを余儀なくされそうだ。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2023122600698&g=eco

これは間違った認識である。長年不正を良として、公正な取引をしてこなかった会社が信頼を気づくためにしたことなど何もない。幻の「信頼」であり、「築城3年落城3日」とは意味が違う。

落城したとしても、築城のノウハウはあり、条件が整えば再建はできるだろう。
しかし、信頼を気づくためのノウハウもなく、また、長年不正を良として活動してきた彼らが、これから再建できると思うのは悪い冗談だ。

市場が彼らの「更生」を待ってくれるのだろうか。もし待つというなら、海外からの日本への信頼も揺らぐ。「築城3年落城3日」の矛先が日本向かうことを恐れよ。

(2024/01/05)