世間に転がる意味不明:大阪万博の「コンコルド効果」(パキスタンの経済破綻の足音)


久しぶりに万博関連の記事を見た。

○パキスタンが自前でのパビリオン建設を断念 博覧会協会が建設の建物を共同利用のタイプに移行 大阪・関西万博
2024/03/25

来年4月に開幕する大阪・関西万博で、パビリオンを自前で建設する「タイプA」での参加を予定していたパキスタン。関係者によりますと、パキスタンは「タイプA」を断念し、博覧会協会が建設した建物を複数の参加国で共同利用する「タイプC」に移行することを決めました。すでに日本側に通知したということです。

パキスタン政府関係者はタイプ移行の詳しい理由について明らかにしていませんが、万博パビリオンをめぐっては、大雨による洪水被害や大統領選挙などを理由に、すでに複数の国が自前でのパビリオン建設を断念しています。

https://www.mbs.jp/news/kansainews/20240325/GE00056306.shtml

2024年1月の能登半島での地震はいまだ復興の緒にも着けず、震災復興もこれからのことであろう。そうした中で、土木建設などのリソースが大阪万博に使われてしまうことへの懸念から中止や延期の話が出ているがどうも無視されているらしい。

いったん決めたら何が何でもやるという行政の姿勢は「コンコルド効果」とも揶揄されるが、他の国でもそうなのだろうか。そうした中で、パキスタンの記事は「あれ?」と首をかしげるニュースだった。

と言うのも、先日パキスタンの経済破綻のニュースが頭に残っていたからだ。

○パキスタン、経済破綻でIMFの長期支援は不可避=首相
2024年3月22日

パキスタンのシャリフ首相は21日、イスラマバードで開かれた会合で、同国の経済は破綻同然で、国際通貨基金(IMF)による長期的な支援は不可避との見解を示した。

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/UBMFWLTA7RKIDLA6RIVP4KEEDQ-2024-03-22/

パキスタンの窮状は突然ではなく、昨年からも報道されていた。

○IMF、パキスタンへの7億ドル融資を決定 (パキスタン)
2024年01月17日

IMF理事会は1月11日、パキスタン政府に対するつなぎ融資のスタンドバイ取り決め(SBA)の第1次レビュー結果を承認し、30億ドルの枠のうち7億ドルの融資を即時実行することを決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。IMFはプレスリリースで「パキスタンの経済見通しは依然厳しく、健全な政策の実施がなされるか次第だが、経済活動は安定を取り戻しつつある。SBAプログラム政策のタイムリー、かつ一貫した実施が極めて重要で、政府に失政の余地はない」と述べ、パキスタン政府に対してIMF要求事項の厳格な実行を要請した。

https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/01/e9e2d4d28cf946cc.html

驚くのは、こうした状況なのでパキスタンの万博参加は経済的負担のなることは分かっていたはずなので日本側からは何も働きかけなかったのであろうかという疑問である。「オタクの経済状況では万博は負担なので不参加はやむを得ないです」という声がけをしておらず、「何が何でも参加を」というのは大阪万博を推進している人々のメンツだけのことである。

パキスタンの人々に同情する。

(2024/03/29)