世間に転がる意味不明:コンコルド効果を無視する人々(大阪万博と東京オリンピック)


■コンコルド効果

コンコルド効果(Concorde Effect)とは、行動ファイナンスにおける認知バイアスの一種で、投資の継続が損失の拡大につながると分かっていても、それまでに費やした労力やお金、時間などを惜しんで投資がやめられない心理現象のことです。サンクコスト(埋没費用)効果とも呼ばれます

コンコルド効果は、超音速旅客機コンコルドの事業失敗が名前の由来です。コンコルドは、フランスとイギリスの両国が協力して開発しており、開発途中からさまざまな問題が明らかになり、収益も見込めないことが分かっていました。しかしながら、コンコルド効果により開発は続行され運行を開始し、最終的には大きな事故をきっかけに終了しました。

Googleの生成AIより

企業でも社運をかけたプロジェクトというものが存在する。何が何でもやりきるという気概で進めるプロジェクトであるが、さすがにもう続けられないと判断したものはプロジェクトの中止という事もありうる。多くは損失の多さに絶えられない場合である。営利企業である場合は一定の歯止めがあるのだと思う。

これが国が主催するプロジェクトになると、失敗しようが損失が出ようが止めることが出来ない。コンコルド効果というものを配慮しない事が多い。

その代表格として安倍政権下で実施された東京オリンピック、維新の会が推し進めた大阪万博がある。

■経済効果というウソ

こうしたプロジェクトは、撤退基準がないからやると決めた以上はやり続ける。その正当性を塗布する為に「経済効果」とか「施設の再利用」という言葉を使う。経済効果など、イベントをすればお金が動くだけであり収支とは何の関係もない。

責任者はとうにいなくなり、下記の記事のようなこともあっても振り返らない。

○まだ続いていた東京五輪の戦い…相手は「カキ」 東京都が億単位のカネを投じて延命する「負の遺産」
2024年4月15日

東京五輪・パラリンピックのボート、カヌー会場として、東京都が300億円をかけて東京湾に新設した「海の森水上競技場(江東区)」。完成後、カキが大量発生し、競技に影響しかねないと都が1億円以上をかけて除去したことで話題となった。
五輪後も活用していく競技場だけに、都は対策を講じると言っていたが…。江戸前のカキ騒動のその後を追うと、今後も対策には莫大な経費がかかることが分かった。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/318118

大阪万博においては、開催費用も運営費用も当初の見込みより大幅に増えている。
廃棄することの前提である「リング」などが何らかの価値を生み出すとは想像できない。

■無視される安全対策

こうした、「何が何でもやりきる」という姿勢は、「死んだ人間は生き返らない」と言うことを無視する。先の東京オリンピックでも無理な工期で作業員の死亡が発生している。それはかつてのイベントでも同じ事が起きている。

○昭和の「突貫工事」労災多発17人死亡 大阪・関西万博では工期より安全優先
2024/4/13

今月から働き方改革関連法に基づく時間外労働(残業)規制強化が建設業界で始まり、1人あたりの時間外労働の上限は原則で月45時間、年360時間となった。

日本国際博覧会協会は施工業者からの要請があれば、夜間も工事現場のゲートを開ける態勢をとるが、昼夜を問わず作業を続ける場合は3交代制の導入を求める。

労務単価が上昇する中、3交代制をとれば新たな人員の確保や人件費増加は避けられない。工区を管轄するゼネコン関係者は「下請け業者からは3交代制を求める声が出ているが、管理する人員と予算を確保できていない」とこぼす。

現代において労働者の安全確保は最重要課題。今回の会場では3月28日に、地下から湧き出たガスが建設中のトイレ内にたまって爆発し、床などを破損する事故があった。けが人はなかったが、再発を防ぐため火器を使う工事は中断を余儀なくされている。また、これから台風シーズンに入れば、大阪湾に面する夢洲では労災のリスクも高まる。乗り越えなければならない壁は多い。

https://www.sankei.com/article/20240413-7L6U6HVWTRJOHOA4KBDF4UXFRE/

死んだ人間は生き返らないと言うことを今回も無視しかねない事態が起きている。
それは突貫工事だけではない。安全面への軽視である。

○不十分な濃度測定が原因 万博会場工事のガス爆発
2024/04/19

 万博協会によると、3月28日に会場の「グリーンワールド工区」のトイレで、溶接作業中に火花がガスに引火し、コンクリートの床約100平方メートルが破損した。けが人はいない。会場となる夢洲(大阪市)は埋め立て地で、地中の産業廃棄物から、可燃性のメタンガスが発生したとみられる。

https://nordot.app/1153931684430316068

○万博会場で火花がガスに引火し爆発「工事の前に濃度を測定しなかったのが原因」協会が再発防止策を発表
2024年4月19日

 3月28日、大阪・夢洲の万博会場にあるトイレで、溶接作業中の火花が可燃性のガスに引火して爆発。コンクリートの床が約100平方メートル壊れました。現場周辺は、もともと産業廃棄物の処分場で、地下にはメタンガスなどの可燃性ガスが溜まっていて、万博協会は、工事の前にガス濃度の測定を行わなかったことが事故が起きた原因だと発表しました。

https://news.ntv.co.jp/n/ytv/category/society/yt28f43f4ef9d94865ab1a13bf9bcb67a4

■不都合な真実

コンコルド効果は金銭的な感覚を失わせる。今まで投資したお金だけを考えて「今更引き返せない」という強迫観念だけを表面化させる。それは、目の前の不都合な真実に気がつかないふりをする。

経済効果だけを喧伝し、十分な収益が得られないことに気がつきながら撤退する選択肢が頭の中に浮かばない。

「頭が悪い」という不都合な真実からは目を背ける。

○開幕1年前、万博機運高まらず 入場券販売、目標の6%
2024/04/13

 2025年大阪・関西万博は13日、開幕まで1年となった。会場工事は徐々に進むが、開催費用の上振れや海外パビリオンの建設遅れなど課題が山積。万博への期待や関心は高まらず、前売りチケットの売れ行きは目標の6%と低調だ。

万博協会はより早い時期の販売も検討していたが、盛り上がりに欠ける中で「売れ行きが伸びずに批判されるだけだ」(万博協会関係者)と先送りした。結果的には、発売直前の10月に会場整備費が当初比1.9倍に、12月に運営費が1.4倍に上振れし、イメージダウンに拍車がかかった。

https://nordot.app/1151592395889525024

○“関東で万博が盛り上がっていない”関西の経済界トップが苦言「赤字になると誰が払うんやとなる」
04月19日

来年4月に開幕する万博の運営費は、大半が入場券の売り上げでまかなわれる予定で、関西の経済界も前売り券の購入で協力する方針です。
一方で、収支が赤字になった場合に、負担するのは、国、大阪府市、経済界の3者のどこになるのか、主体は決まっていません。

【関西経済連合会・松本正義会長】「機運醸成をやることで切符(入場券)をたくさん買ってもらって赤字にならないようにしないといけない。(赤字になると)誰が払うんやとなるわけで」

https://www.ktv.jp/news/articles/?id=11727

そんなに心配なら辞めろよ!!!

(2024/04/27)