世間に転がる意味不明:リモートワークの誤解(魔法の杖はない)


■おさらい

新型コロナが猛威を振るっていた頃、人が集まることを避けるためにリモートワークが推奨されていた。ろくな準備もないままに、社員にノートパソコンを配布し、セキュリティ対策もそこそこにテレワークに移行した企業は多い。

しかし、プロセス改善をしないままに行なったその対策は「ハンコを押すために出社する」というゆがみを生じさせ、管理職は「仕事の管理すらできない」という無能さをさらけ出す羽目になったことをいくつかのレポートで見ている。

現業の仕事のやり方をそのままにしているのであれば生産性向上などをするわけもなく、再びコロナ前に戻ることは必須であろう。

○IT企業のリモートワークは今も続いているのか?完全出社必須なら62%の従業員が離職を検討
2024年4月5日

コロナ禍での緊急事態宣言期間は60%を超えるリモートワーク実施率となっていたが、その後、実施率は減少。2023年5月に新型コロナウイルスが5類感染症に移行する直前の2023年4月には、46.7%とコロナ禍以降、初めて40%台となり、それ以来、40%台で推移している状況だ。

リモートワークの実施回数についても調査しており、2024年2月の調査では、リモートワークを週5日実施しているケースが17.6%、週4日が9.6%、週3日が12.9%となり、週3日以上が40.1%を占める。

https://pc.watch.impress.co.jp/docs/topic/feature/1581954.html

■生産性向上

企業活動で、何らかの企業価値の向上に無縁なものはない。コロナ渦で出社することがリスクであればリスク低減に向かうのは当然のことであり、それが必要なければ元に戻るのは、これもまた当然である。

コロナにかかわらず、テレワークを模索していた企業はこれが加速するだけであり、コロナが明けたからと云っても取ることはない。伝聞であるがいくつかの特徴がある。

①情報通信技術、セキュリティ技術などを駆使してストレスがないような仕事の環境を構築する取り組みをしていること。フリースペースへの移行もこれに含まれる。
②社員の自律性を高めるようにマネジメントの質を変えていること。ただし、これは試行錯誤の段階の企業は多い。これに合わせて賃金制度などの人事制度を改定する動きもある。
③テレワークに向く仕事と向かない仕事を仕分けして、何が何でも全ての業務をテレワークにしないこと。これにより、部分的な出社が求められることもある。

したがって
①覚悟のないままに単に今の仕事の一部をリモートにしたからと言って旨く行かない。特に管理マネジメントは無理である。9時5時の勤務管理にも無理が出る。
②突然のテレワーク以降にはゆがみが出る。バリューチェーンなどの各要素毎の仕事のプロセスを整理し、テレワークの組み込みを設計する。その上で優先順位を決めて環境を整える。
と言うことは必要になる。

当然社員の意識を買えなくてはならない。特に管理職。

(2024/04/06)