「検査結果を記載する書類の多くに、実際には検査に関わっていない有資格者の社員の名前が記載され、判子も押されていたことが関係者の話でわかった。」と下記の記事にある。
ISO9001の審査をする身としては、暗澹たる気持ちにさせられる。
【記録とは】
用語の定義を行うISO9000によれば、記録に関して以下の記述がある。
3.8.10 記録(record)
達成した結果を記述した、又は実施した活動の証左を提供する文書
きわめて簡潔な記述で、記録は「証拠」だといっている。もう少し踏み込むと、諸処の活動のプロセスが実際にどのように行われていたかをトレースすることができる情報となる。これが偽装されているとしたらどんなことが起きるだろう。
当然、他の文書に対する信頼性もなくなる。いくら「他の文書は大丈夫です」といったところで、その”証拠”がないのだから。それは、能書の記載の正しさの保証がないことだ。食品であろうと化粧品であろうと、その他のモノであろうと、パッケージに記載されていることが保証されていると思うから商品を購入する。
考えても見てほしい。「ブレーキは規格に従って性能を発揮する」ことが保証されていない製品を交わされているということを。「たぶん大丈夫」であなたは車を買うのだろうか?
単に無資格者が検査していたという以上に深刻だ。だって、無資格者が検査していたかどうかもわからないのだから。
【コスト優先】
記事によると、資格者に対する「研修コスト」もムダ金として考えていたことをうかがわせる。
他の記事によると
検査は車の安全性を最終的にチェックするため国がメーカー側に義務づけているもので、一定期間研修を受け、資格を得た検査員が行うことになっています。
しかし、関係者によりますと、検査にあたった従業員の中には必要な研修を受けず、資格を持たない短期契約の期間従業員も多数含まれていたということです。
という記載もある。
支払うべきコストを払わなければ、当然コストも、場合によっても納期も早くできる。会社にとってCostとDeliveryを節約できる。法律を遵守しなければ、他社に対して競争力を確保できるだろう。
日産は一時期業績を回復しており、現在も順調なのだろう。しかし、それがこうした「違法」であっても勝てばよいという信念の中で実現しているのであれば到底賛同できない。
どう修復してゆくのか、見てゆきたい。
今はまずここまで。 2017年10月5日
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