昨日、回答性向に属性による違いが無いかを検証する手段として、χ2検定について記載した。
前提条件とする考え方は統計や数学の世界でもある。
代表的なものは「大数の法則」だろう。
これは「試行を繰り返すと、その事象は本来持っている確率に近くなる」というものである。わかりやすい例では、サイコロを振って出てくる目は、最初の1回目では、例えば「3」が出れば、「3」は100%で、他の目は0%であるが、1万回もやれば、ほぼほぼどの目も均等になるだろうということで考えてほしい。
ところで、これは「少ないサンプルでは判断してはならない」と言うことにつながる。
さて、これは「社員満足度調査」の属性を設定する際にも注意が必要になる。
あまりに属性対象者が少ない区分を対象としない方が良い。
目安として、10人に満たない場合には避けた方が良い。
主に、下記の3つになる。
(1)高齢者もしくは若年者
定年延長などの問題があるために、60歳以上、あるいは雇用としての嘱託社員を対象としたい気持ちはわかる。しかし、サンプル数が少ないのであれば、個別に対応すべきで、調査の属性区分で、例えば、50歳代、60歳以上という区分は避けるべきだ。
同様に、20歳未満も辞めた方が良い。
もっとも、対象区分が一定数以上いるのであれば別だ。
(2)管理職と一般職
管理職層も細かく分けたいという欲求にかられる。部長、工場長、所長など、職責に違いがあるので聞きたい気持ちはわかる。
しかし、工場長と工場勤務者の違いを知りたいのであれば、別の調査方法になる。
データをどうとるかは別にして、大きく、管理職層と一般職層で区分した方が良い。
(3)所属、職種
どのような働き方をしているかを見たいというニーズはわかる。しかし、あまり細かく属性を区分するとサンプル数が少ないということの他に、個人を特定してしまうというリスクがある。これは、調査に回答する側からすれば、後で何か言われるのではないかという不安感を与えることになる。属性区分は5つぐらいにとどめるべきだ。
さて、属性区分を細かくしないと実態がわからないという声があるが、統計的に傾向を分析するという話と個別の課題に対応するという話を混在している。
細かく見たければ、社員一人ひとりにインタビューをするべきだ。
目的が違うので注意してほしい。
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