プライバシーマーク:戦略的決定はあるのか? 

個人情報保護マネジメントシステムの採用は,組織の戦略的決定である。

とは、「個人情報保護マネジメントシステム-要求事項 JISQ15001:2017」の序文に記載される言葉である。

どの規格でも同様に、こうした規格に準じたマネジメントシステムでの管理は、戦略に基づいたものであると明記している。従って、あらたに認証取得を目指すのであれば、こうしたマネジメントシステムの採用が、組織の戦略上どのような意味を持つのかを明らかにしてほしい。

ところが。この「戦略」という言葉が悩ましい。

ちまたにはいろいろな参考図書が軒を並べいろいろな主張をかき立てているが、つまるところ「戦略」の役割は、成功のための指針のようなものである。

にもかかわらず、売上げ目標を記載した事業計画を「戦略計画」と呼称して示されると頭を抱えてしまう。

手元の勉強会資料などをひっくり返すと、いろいろと示唆に富んだ言葉を見つけることができる。

以下は、「日本経営品質」という軸での勉強会での資料の一節になる。

間違えた戦略
・お客様に喜ばれる会社になる。
・創造性あふれる独自のソリューションを提供する。
・売上高を毎年20%伸ばす。
・利益率を最低でも20%確保する。
・意欲的に取り組む文化を根づかせる。
・オープンな意見交換のできる職場にする。
・地域コミュニティに貢献する。

これは戦略でなく、業績目標である。多くの企業がこのとりちがえをしている。業績予想に基づいて3年あるいは5年単位の予算を組むことをプランニングと称している企業がある。

毎年繰り返されるこうしたプランニングロプロセスは戦略ではない。なぜなら、これでは変革をめざす道筋をつけることはできないからである。変革をめざすためには、機会を見極めたうえで前進を阻む障害物を見抜き、乗り越える方法を考えなければならない。それは製品の差別化を図ることかもしれないし、販売網の見直しかもしれないし、組織改革かもしれない。

最低限、戦略をストーリーとして語れるようにしてほしい。
成功物語の中で、マネジメントシステムの採用がどのような位置づけなのかがわからないと、目標も方針の決定もできない。

閑話休題 2019/12/01

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