QMS雑感:審査の適切性について

《審査の適切性(20200118)》

私は、審査員の資格の管理を「マネジメントシステム審査員 評価登録センター(JRCA)」の基準に従ってる。
その中で、有効な審査の条件として以下があげられている。
①適切な審査員(力量、責任、公平・公正な判断、正当な注意、法令順守、リスクの考慮)
②公正な報告(ありのままで正確な結果報告)
③機密保持(情報の利用・保護が適切)
④審査の独立性(偏り・利害抵触がなく客観的)
⑤信頼性(証拠に基づく結論)
いずれも当たり前のことなのだが、いろいろ話を聞くとそうでもないのかもしれない

《偏り・利害抵触がなく客観的》

先日、勝手な解釈をして指摘してきた審査員に納得できないことを伝えたら「そんなこと云うと不適合にするぞ」と脅されたという話を聞いた。
審査時には、明らかな「明文化されたルールとの逸脱」でない限り、判断を伴うものは組織側と話をすることが必要だ。例えば、品質目標で「測定可能」とあったとしても、何をもって「測定可能」とするかは判断になる。測定指標がないのならいざ知らず、うまくいっているかどうかの判断基準があれば不適合にする理由はない。
「測定可能」を審査員の経験で勝手に判断したり、組織の実情に合わないことを押しつけたり、他社の事例を供用することはあってはならない。
客観的であることが求められているのに、自己の主張を押しつける審査員がいるらしいと云うことは驚く。

《証拠に基づく結論》

証拠というのは、原則は「文書」「記録」になる。ただし、インタビューや観察した事象なども含まれる。
「文書」「記録」は動かぬ証拠なのだが、インタビューは必ず確認し、審査記録として文書化しておかなければいけない。また、観察した事象も、「たまたま」なのか「システムとしての不備」なのかを確認しなければならない。一過性の情報は取り扱いが難しい。
かつて,苦い経験をしたことがある。
インタビューで「○○をしていない」ことを確認したが、「やっていないことは悪魔の証明のようなもので実証することが困難」になる。やっていることは確認できても「やっていないこと」は証拠がないからだ。
最終的に合意に至らなかった。
証拠に基づく結論も、意外と難しい。

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