ISO9001と経営:「10.2 不適合および是正処置」(非難されるSOMPOホールディングスの報告書)


■現実問題としての再発防止策

ISO9001での審査を行なっていると、ほとんどの企業での再発防止策は対処療法的なものが大半である。たとえばチェックリストやマニュアルに注意事項を追加するなどである。しかしこれの有効性は分からない。なぜならば、多くの企業では事故はそれほど多発しておらず、すでに再発防止策がとられ、それにすり抜ける滅多にないことが起きると云うことが大半であるからだ。

そのためであろうか、箇条「10.2 不適合および是正処置」で求めている”その不適合をレビューし,分析する。”ことが形式的になり、実際問題再発していないと云うことを持って”とった全ての是正処置の有効性をレビューする。”が満たされているとしている。

これは仕方の無いことだろう。
原因を明らかにするためには

①何をしたかではなく、どのようにしたのか(WhatではなくHow)に着目して
②誰がそれをしたかではなくなぜそうしたのか(WhoではなくWhy)を明らかにしなければならない。

のだが、それができない。
規格要求事項では、そこまで記載していないので不適合にはしないが、形式的な改善活動は時間の無駄である。

■大企業の再発防止策

いわゆる「なぜなぜ分析」を形式的に行なうのも時間の無駄であるが、企業レベルでそれすらもできないともっと悲惨である。

最近の事例ではSOMPOホールディングスの事例があるだろう。
SOMPOホールディングスはビッグモーターの不正を知っていながら継続して取引を行ない、結果として保険契約者への不利益(等級が下がるなど)や不要な保険料金の支払いをしていたとして問題視されている。対象はガバナンスであり、行政から報告を求められており、その結果が報告されている。

(参考)
【社外調査報告およびニュースリリース一覧】ビッグモーター社による不適切な自動車保険金請求への当社グループの対応
https://www.sompo-hd.com/news/update/2023/notice01/

この報告書に対しての評価がすこぶる悪い。

続きは下記資料で。