世間に転がる意味不明:つながる世界と乖離する経済(日経平均と中国不動産)


■浮かれる人々に取り残される人々

2024/02/22の現在、日経平均株価が高騰している。

○日経平均34年ぶりに史上最高値更新、パラダイムシフトで海外資金流入
2024年2月22日

22日午後の取引で日経平均は一時1.9%高の3万9000円台まで上昇し、バブル経済絶頂の1989年12月に付けた取引時間中の最高値(3万8957円44銭)を上回った。

内閣府によると、昨年の日本の名目国内総生産(GDP)は591兆円(約4兆2106億ドル)とドイツに抜かれ世界第4位に後退した。バブル期にはトップの米国を脅かし、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」とも言われたが、国際競争力を失う中で停滞。成長産業の育成や企業の経営・資本効率の改善が急務となる中、昨春から東京証券取引所の主導でコーポレートガバナンス改革が進められ、投資家に評価され始めている。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-02-22/S7OXM6T1UM0W00

バブル期以来である。
かつてのバブル期はその好景気を皆で共有していた。新宿など深夜に札束でタクシーを止めようとしていた光景など今の人は創造もつかないだろう。
いくら株価が上がっても、そこで働くヒトには実感がない。

そりゃそうだ。給料を上げろといっても企業などはそれに応えられる企業は限られており、多くは渋い顔をしているだろう。

○賃上げ「実現するとは思わない」79% 根強い懐疑的な見方
2024/2/18

17、18日実施の毎日新聞世論調査で、物価上昇を上回る賃上げが今年実現すると思うかどうかを聞いた。「実現するとは思わない」が79%に上り、「実現すると思う」は9%にとどまった。「わからない」は11%。岸田文雄首相は物価上昇を上回る賃上げの実現に向け、経済界などへの働きかけを強めているが、懐疑的な見方が根強いようだ。

https://mainichi.jp/articles/20240218/k00/00m/010/113000c

■乖離する経済

バブル期の経済と今の経済は何が違うのだろう。
一点目は、国内の循環なのかグローバルの循環なのかの違いはあるだろう。すなわち、多くの企業は何らかの形で世界とつながってしまっており、国内の経済環境で事業が左右される比率よりも海外での経済環境で事業が左右されるようになってきている。それは、儲けの源泉が世界であり、投資の主体者が世界であることを示し、極端な話、日本でのGDPなどは何の関係もなりと言うことになりかねない。

そしてもう一つは、実態としての財・サービスの経済と資本・金融の経済が分離していることであろう。すなわち、実際に、一次産業から2次産業、3次産業での財の移動がどうであろうと、金融サービスとは切り離されており、景気と資産管理は関係が無くなっている。極端な話、ものが生産され流通するかどうかと企業のガバナンスは何も関係ない。

したがって、日本のGDPは参考にしても良いが、株価には何の関係もない。

■リスクの所在

大企業ならいざ知らず、多くの企業は海外の動静は関係ない。と、そう思っていると危険である。すでに、イスラエルーパレスチナ問題は紅海でのでも物流を損ない、輸出入に影響が出ている。こうした地政学的リスクは目に見えるのでわかりやすいが、他国の動向は対岸の火事と考えがちである。

○ついに中国の不動産企業で「タワマンのたたき売り」が始まった…習近平主席の経済対策がまったく効かないワケ
日本の「失われた30年」と同じ道を辿っている
2024/02

売却が目立ち始めている背景には、不動産デベロッパーの資金繰りの悪化があるようだ。中国国内の仕掛けの建設案件の継続もあり、彼らの資金の支出に歯止めがかからないのだろう。現金を確保すべく、海外資産の売却を急ぐ中国企業は今後も増える可能性が高い。それは、世界的な不動産市況の悪化を通して、経済の下押し要因になるはずだ。

https://president.jp/articles/-/78742

海外の動向の如何では資本の移動がおこなわれ、株価の動向にも反映されるリスクがある。そうした意味で多国籍間でのビジネスのやりとりは、グローバル企業の業績も短期間で影響を与える。それすらも他人事としているとアブナイかもしれない。

国内ではまだであるが、海外では業績が悪くなったり、事業のポートフォリオの組み替えで簡単にリストラする。

○シスコシステムズ、数千人を削減へ-企業の支出減速で売り上げ減少
2024年2月15日

ネットワーク機器メーカー最大手、米シスコシステムズは14日、数千人を削減する計画を発表した。企業のテクノロジー支出の減速を受け、売り上げが減少に転じた。

同社の発表によると、リストラ計画は従業員の約5%に影響する。昨年の従業員数は約8万5000人だったため、今回の動きは約4000人が対象になることを示唆する。リストラによって約5億ドル(約750億円)の費用が発生するという。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-02-14/S8V7CFT0G1KW00

国内にだけ目をむけていることは危険である。
株価に一喜一憂は愚策である。

現実に起きていることに目を向けよう。

(2024/02/22)