世間に転がる意味不明:AIが仕事を奪うという誤解(「流星号、流星号、応答せよ」)


世間に転がる意味不明:AIが仕事を奪うという誤解(「流星号、流星号、応答せよ」)

■AIやDXに関する誤解

今まで紙で処理していたものを電子化したからといってデジタルトランスフォーメーションにはならない。そこにはプロセス革新が絡まなければならない。AIは技術分野の言葉であり、具体的な製品ではない。「紙すき」という技術はあっても「紙」という製品とは限らない。

AIやDXが多くの既存の仕事を奪うというのは誇張された表現である。
主語を「技術」と置き換えなければ誤解が生じる。

仕事が置き換わるだけである。
一つの仕事がなくなれば新たな仕事が増えてくる。

自動倉庫では、実際にものを運ぶ労働はなくなるかもしれないが、ものを運ぶロボットに最適解を教えるトレーナーの存在は不可欠である。マシニングセンターは旋盤技術者を不要とするかもしれないが、治具のセッティングやプログラミングの技術者は必要である。

20世紀後半にコンピューターという新しい技術が勃興したが、プログラマーやSEという新しい職種が誕生している。いまだにエンジニアは足りないのはすでに知られている。

仕事を奪うのではない。新しい職種を作り上げてゆくのである。
今新たに必要とされる職種は、アナリストでありデザイナーであり、トレーナーである。

■求められる新しい仕事の発見

しかし、昨日まであなたがしていた仕事は質を変えるかもしれない。同じ事業部門でないかもしれない。今までの異なる専門性が要求されるかもしれない。嘆いていてもはじまらない。自分自身が変わらなければ居場所はなくなる。

企業は、余ったからといって安易な配置転換をしてはならない。昨日まで購買部門にいた人員を全く関係の無い運送部門への配置は愚の骨頂である。購買部門の生産性向上のマネージャーにすべきである。

その人の経験と知識を行かせる職種を発明すべきである。
下記の発想はとんちんかんでしかない。

○デジタル化で職を失うホワイトカラーの労働移動を支援ー政府方針
2024年2月27日

論点案によると、労働需要が少なくなるおそれがあるホワイトカラーが製造業や土木などのブルーカラー産業に転職しやすくする。各業界団体がソフトウエア操作などで必要なスキルの標準を設定し、転職希望者が身に付けることができるよう政府として支援していく。人手不足の産業に労働移動を進めることで業界の生産性と賃金の引き上げにつなげる。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-02-27/S9HWHZT1UM0W00

大声で怒鳴るだけのホワイトカラーはもう要らない。
その意味ではすべきなのは、デジタル時代のホワイトカラーの育成である。
そのための職種の発明と転換のためのスキル取得の教育システムの構築である。

■拡大する想像力

技術にもビジネスモデルにも寿命がある。Amazonやネットフリックスが既存産業を放逐したのは様々なイノベーションの事例で紹介されている。そうしたビジネスモデルがいつまで持つのかは誰も分からない。

すべきことは「新しいビジネスモデル」の先を見据えることである。

○ライドシェア、解禁5年でオワコン化か 安価な自動運転タクシーの普及で
2030年までに状況は一変、無人化技術が凌駕
2024年2月29日

ライドシェア解禁をめぐる議論が熱を帯びている。タクシー事業者の介在なく一般ドライバーが移動サービスを提供できるようにすべきか否か……が主な争点で、この論点の決着は長期化する恐れもある。

長い目で見ればこうした議論はナンセンスなものとなるかもしれない。その理由は、「自動運転タクシー」だ。自動運転タクシーが実用化されれば、ドライバー不在の無人車両が移動サービスを提供することが可能になり、人間のドライバー云々の問題はもはや意味をなさなくなるためだ。

ライドシェア、解禁5年でオワコン化か 安価な自動運転タクシーの普及で

ライドシェアが「人間が運転する」という前提がおかしい。考えてみてもほしい。
・自動運転の車が多くの拠点で待機している。
・ネットからいつでも呼び出せる。
と言う世界である。「流星号、流星号、応答せよ」の世界での仕事は何になるか。
・監視業務
・整備業務
・事故時対応業務
・保険業務
・決済業務
いくらでも考えつく。今のタクシードライバーからの職種転換を考えてはどうだろう。

以上
(2024/03/02)