世間に転がる意味不明:漠然とした不安の出所(景気が良いとはとても思えない)


■騒ぐ日経平均の高騰、不気味に増える倒産件数

日経平均が4万円台を覗く水準にまで高騰している。これがまだ続くという経済誌の報道が一過性ではないという意見が大半を占める。

○日経平均、4万円台乗せか 円は対ドルで底堅く
今週の市場

今週の日経平均株価は4万円台に乗せる可能性がある。先週末は3万9910円と最高値を更新した。大阪取引所の先物(3月物)は4万0190円で終えた。積極的な売り材料に乏しい一方、米国株の動きをにらみ、高値では利益確定などの売りも想定される。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB017TD0R00C24A3000000/

こうした日経平均の株高はバブルの時とは事情が異なるし、下記の様に「高くない」という記事も見る。

○「日経平均4万円は高くない」と言える複数の根拠
2024/03/03

2023年はPBR(株価純資産倍率)1倍割れの解消が焦点となるなか、4月下旬以降の決算発表を契機に一段の株高が進んだ。仮に今年も去年と同じ現象が再現されるなら、日経平均株価のさらなる上昇が期待できる。

https://toyokeizai.net/articles/-/738439

一方で、足下の企業動向を見ると企業倒産が増えており、以下のような状況だと聞く。

「帝国データバンクによると、2022年度の倒産件数は6,799件(前年度比14.9%増)で、2019年度以来3年ぶりに増加。負債総額は前年度比97.7%増の2兆3,385億9,100万円。
 2023年の全国の企業倒産は、件数が8,690件(前年比35.1%増)、負債総額は2兆4,026億4,500万円(同3.0%増)。件数は2年連続で増加し、2019年(8,383件)以来、4年ぶりに8,000件台に乗せた。」

実際に帝国データバンクのデータ(倒産件数・負債額推移 https://www.tsr-net.co.jp/news/status/transition/)を見れば、安倍政権下で補助金を乱発したせいもあり一時的には倒産件数は1万件を下回ったが、相変わらず8000-9000件の倒産件数が維持されている。

さすがにバブル期のような金融機関の大型倒産とこれに引きづられる様な連鎖倒産はないにしても。中小企業、中堅企業の倒産は続いている。

○『タカラ』が破産申請 地元では上位の建設会社も市町村合併後の先細りに勝てず資金繰りが限界に 新潟県長岡市
2024年2月28日

東京商工リサーチによりますと、長岡市狐興野(旧 中之島町)にある『タカラ』は1963年に創業した建設業者で、公共土木工事を主に扱いながら建築工事や舗装工事のほか産業廃棄物の中間処理なども手掛けていました。

ピークとみられる2005年5月期には売上高2億7914万円を計上していましたが、その後は公共工事の減少や長岡市との合併に伴う競合の激化などで受注が落ち込み、2022年5月期の売上高は5506万円にとどまっていました。

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/bsn/1023796?display=1

いわゆる「ゼロゼロ融資」に副作用はこれから出てくる。金融機関の不良債権処理は政府が補てんするだろうが、それは税金である。ますます、不況の目が近づいている気がする。

■投資と投機

株価の値上がりと実体経済は連動していないことはアベノミクスが我々一般の人間の生活向上に何も寄与していないことでも分かる。実需経済と金融経済が分離しており、それが逆転しているからだろう。

生成AIに「実需経済」を聞くと以下のようにこたえてくれる。

実需とは、実際の需要の略で、投機を目的とせず、経営参加や長期保有、消費・加工などを目的とした投資や商品購入のことを指します

外国為替市場では、実需とは、貿易取引や資本取引などの商取引に裏付けられて締結する為替取引を意味します。また、先物為替取引など、商取引に起因する為替取引で発生する為替リスクを回避するためのヘッジ(回避)取引も、広い意味で実需取引といえます。
外国市場における取引において、実需が占める割合は約1割、投機が占める割合は約9割と言われています。投機取引を最も活発に行っているのが、銀行になります。

(ここまで)

現在の株価を支えているのは投資ではなく投機の側面が強いことがうかがえる。日銀の政策は市場にマネーを潤沢に供給し経済がまわるようにという意図であっただろうが、実際には企業や銀行は株式にお金をまわし,経済活性化には使っていないと考えている。また、現在の企業の業績は、頻繁なM&Aや人員削減の効果によるものだと認識している。

形は違えどバブルの雰囲気を想起させる。

■アメリカではなく中国発の不況

バブルの時には、その引き金がアメリカの金融市場のゆがみであったことは知られている。
(参考:複合不況: ポスト・バブルの処方箋を求めて (中公新書 1078) 新書 –1992/6/25)

グローバル経済が市場を動かしているのであればアメリカ以外の動向にも注視が必要である。その日だねとなりそうなのが中国ではないかと危惧している。

○中国の製造業活動、2月も縮小示唆-低調な需要が景気の足かせ
2024年3月1日

中国の製造業活動は2月も縮小を示した。低調な需要が引き続き景気の足を引っ張っていることを示唆した。

国家統計局が1日発表した2月の製造業購買担当者指数(PMI)は49.1。1月が49.2、ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は49だった。活動拡大・縮小の境目は50。製造業PMIの50割れは5カ月連続となった。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-03-01/S9NB98T1UM0W00?srnd=cojp-v2

それを知ってか、中国の資金が急速に他の国に流れていることも配慮しなければならない。

○中国への直接投資82%減 外資離れ、30年ぶり低水準
2024/02/18

中国国家外貨管理局が18日公表した2023年の国際収支統計によると、外資企業による直接投資は前年比82%減の330億ドル(約4兆9千億円)だった。新規投資が落ち込んだ上、撤退や事業縮小による資金回収の動きもあったとみられ、30年ぶりの低水準となった。地政学的リスクの高まりや改正反スパイ法の施行を受け、外資企業の投資意欲が減退していることが鮮明となった。

https://nordot.app/1131918390049833897

○ブリヂストン、中国のトラック・バス用タイヤ事業から撤退 事業再構築
2024年02月27日

 ブリヂストンは27日、中国でのトラック・バス用タイヤの生産・販売事業から撤退すると発表した。同社は中国での事業再構築を進めており、低収益性の事業から撤退し、乗用車向けのプレミアムタイヤビジネスに資源を集中させる。生産は1月26日に完了し、今年の上期で販売を終了する予定。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2024022700506&g=eco

識者は「大丈夫」と云うがどうなのだろう。

地政学的リスクは世界中に広がっている。

○紅海危機から赤字へ転落する世界 すでに損失は天文学的数字に
2024.02.12

イスラム教シーア派の独裁国家イランの支援で軍事訓練を受け、装備を整えたイエメンの反政府勢力フーシ派により、世界のサプライチェーンは混乱に陥り、国際市場に衝撃が走っている。米国は紅海で英国とともにフーシ派への空爆を行う一方、シリアとイラクでもイラン関連施設を攻撃。世界経済への打撃は刻々と拡大している。

https://forbesjapan.com/articles/detail/69089

どうしても不穏な動きが頭から離れない

(2024/03/03)