適者生存:環境に適応したものだけが生き残れる

2019年 上場企業「希望・早期退職」実施状況
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20191009_01.html

東京商工リサーチのレポートになる。
主要部分を引用する。

❚2019年に入り27社が募集、人数は6年ぶりに1万人を超える
2019年1月から9月までに希望・早期退職者の募集実施を公表したのは27社だった。募集人数は合計1万342人(判明分)に達し、2013年(1-12月、1万782人)に迫っている。

❚先行型」の発生も、約7割は業績不振
2019年に希望・早期退職者募集を実施した27社のうち、直近決算(通期)で最終赤字は12社、減収減益は6社、合計18社(構成比66.6%)が業績不振だった。ただ、アステラス製薬や中外製薬、カシオ計算機、キリンHDなど、業績が堅調な企業が先を見据えた「先行型」の募集も目立つ。バブル期に大量入社した40代から50代社員による年齢構成の“逆ピラミッド状態”の是正のほか、事業の絞り込み(選択と集中)、外部人材の登用による活性化など、新陳代謝を急ぐ企業が増えている。

(引用 ここまで)

一口に余剰人員と云うが、結局の所、今のままでは社内に仕事がないという人員だ出てしまうという状況が発生するのでこれを是正するという中での施策として早期退職制度があると考える方が良い。

いわゆる社内失業者を抱えるほど企業に余裕があるわけではない。
業績に悪化に伴うリストラは、事業の撤退や縮小に伴うことも多い。正直、経営責任になるのでまずは取締役などを減らしたり減給するのが先だろう。

とはいえ、先の見込みのない会社にしがみついていても仕方ないので身の振り方を考えた方が良い。

https://diamond.jp/articles/-/217004
早期退職募集に対する「転職」「独立」「居残り」それぞれのリスクとは

という記事の中では、早期退職に対して「転職」「独立」「居残り」のリスクに関して記載があるものの、ではどうするのかという処方箋にはなっていない。

一方で、事業拡大や新規事業への再編に伴うリストラは少し事情が違う。
いままでの組織能力と異なるというのであれば、その人材を外部から調達するか、内部の人間の再配置でまかなうことが選択肢になる。

ただし、内部の人間の再配置はかなり困難を伴う。
人間系の再編は避けられないかもしれない。

その時に、社員がとるべき対応は「居残り」ではなく「変身」になる。
新たな事業領域に対応できる能力を身につけるべきだし、会社もそれを支援するべきだろう。

とはいえ、これが恐ろしく大変なのはなんとなく肌で感じる。

私自身の話になるのだが・・・

最初に入社した会社は、その数年前だろうか一度倒産(?)して再建中だったと記憶する。
200人から300人程度の会社で、数年後には500人、5年後には1000人になろうかという規模の拡大をしていた。

規模の拡大は事業特性を変えてしまい、居場所がなくなった私は「転職」した。といっても、年俸契約で過ごし、数年後には知人と会社を興すなど、会社員としての経験はないに等しい。

事業特性が変わると云うことは、部門の統廃合が発生し、私のいた部門での同期はほぼいなくなっていた。これはこれで仕方が無いことだろう。

当時は、技術革新が進行中であり、COBOL中心だった業務もJavaなどのオブジェクト指向の言語に移りつつあった。

当時の人事部門の人と話をしたが、いままでCOBOLに携わっていた人をJavaに再教育することは困難で、結局はリストラせざるを得なかったと聞く。

生き残るためには、自分自身を変えなければならないのだが誰でもできるわけではない。それでも”変身”しなければ生き残れない。

いきなり変身ができなくともその準備だけはしておこう。

「Cookie」自体は無効化できる。でもほとんどしないかな?

「Cookie」自体は無効化できる。でもほとんどしないかな?

公取委、Cookie利用に法整備へ 「規制いらない」経団連は反発
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1910/29/news119.html

この記事の主たる内容は以下の部分だろう。

公取委は8月、消費者保護を目的としてデジタルプラットフォームを運営するIT企業と消費者間の個人情報取引について整理したガイドライン案を公表した。同案では、「大手IT企業が消費者に対し優位な立場にある」と指摘した上で、(1)利用目的を消費者に知らせない、(2)利用目的の範囲を超える、(3)消費者の意思に反する──ような個人情報の取得方法を、独占禁止法上の「優越的地位の乱用」に基づき禁止する考えを示している。同委はCookieも同ガイドライン案が取り扱う対象であるとして、規制の適用を検討している。

なぜCookieが問題になるのか。

元々は、リクナビがCookieを使用して個人を識別し、どのページを見ているのかを追跡していたことを問題視していたことだろう。

「クッキー」情報収集、公取委規制へ スマホ位置情報も
https://www.asahi.com/articles/ASMBQ7JVNMBQULZU01H.html

よく知られていることだが、Cookieは簡単に言えば、特定の識別情報をブラウザーのローカルエリアに保存する方法で、例えばPHP等では

setcookie(クッキー名,値,保存期間,ディレクトリ,ドメイン,セキュア接続のみ,HTTPのみの接続);

としてクッキー名と値を工夫することで利用者を特定できる。

こうした利用者が知らないうちに情報を取得し使用されることはセキュリティ上問題があるので、気にする人は無効にしている。

私自身も、10年ほど前は、ブラウザの設定で必ずCookieは無効にしていた。
とはいえ、ECサイトが普及し、通販で何かを購入しようとすると、そのページにたどり着けないことが多々ある。
そのため割り切ってCookieの設定はそのままにしている。

結局の所、モラルを持って活用すると云うことを信じて運用していたのだろうが、今回のように問題を起こす輩が出てくると「規制」という話が出てくるのは当然なのだろう。

規制の内容で「Cookieを使う場合にはポップアップでその危険性や使用目的を掲示すること」などが出てくるが、ほとんどの人はそのまま「OK」を押すだろう。

とはいえ、Cookieがセキュリティ上リスクがあることの注意喚起には使える。
ただし、規制に罰則を付けなければ、真面目な事業者だけが負担を被るという変なことになるので注意が必要だろう。

ダイソンのEV撤退でみる「I have a dream」はそう簡単ではないと言う事実

ダイソンがEVから撤退せざるをえなかった理由 テスラが築いた「高くて構わない」はもう飽和(https://toyokeizai.net/articles/-/309908)

と言う記事は、その2週間ほど前に出た下記の記事に対する評価だろう。

英ダイソン、EV開発を中止 採算のメド立たず
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50874780R11C19A0000000/
2019/10/11 4:34

この記事の中で、

採算が取れる見通しが立たないと判断し、取締役会で事業の終了を決めた。家電で培ったモーターや電池などの技術を生かし、2021年の発売を目標に独自のEV開発を進めてきたが、撤退に追い込まれた。

と記載があり、財務的な問題がうかがえる。

最初に取り上げた記事は

創業者のジェームズ・ダイソン氏はEV開発プロジェクトで開発中の車両がすばらしいものであったことを強調するが、現実的に事業の採算見通しが立たず、事業の売却にも買い手がつかなかったという。

しかし、その話は矛盾する。すばらしい製品だが採算が合わず、かつ事業の引き受け手もいないという条件は不自然である。

おそらく、ダイソンはEVのマーケット構造変化についていけなかったものと考えられる。

で始まり、うまくいかなかった背景をEVの販売戦略をからめテスラの成功要因などを解説している。

この記事自体に間違いがあるかどうかはともかく、資金調達をはじめとした財務戦略が間に合わなかったことはマーケティン戦略が間違っていいることを示しているわけではなく,戦略の組合わせの問題だろう。

以前に、戦略に正解も不正解もなく,単に選択があるだけで、成功するも失敗するもこれを実施する環境に左右されるので、もしうまく行かなければ再度戦略の選択を変えればすむ話だ。

ダイソンの記事として注目してほしいものに以下の記事がある。

ダイソンが見たEV大競争 2018年1月12日(金)
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/15/special/010900887/

この中で、とトップインタビューとして「クルマは人命を奪ってきた 我々のEVが常識を“破壊”する」を表題に以下のように語っている。

ダイソンがEVを開発する理由。一言で言えば、世界で広がる環境汚染に対して行動を起こしたいという切実な思いです。とりわけ自動車の排気ガスによる大気汚染は深刻です。この惨状を変えたい。

英国の大学キングス・カレッジ・ロンドンによると、大気汚染を理由に命を落とす人は、ロンドン市内だけで毎年9500人近くに上ります。世界で見ると犠牲者の数はさらに増え、世界保健機関(WHO)は、2012年に世界中で約700万人が死亡したと報告しました。大気汚染は、今では世界最大の環境リスクと言って過言ではありません。ここに解決策を示すことが、今のダイソンの使命だと考えています。

会社として何をすべきかの明確な未来像があり、おそらくこれに賛同しない人はいないだろうと思う。

魅力的であり、今の技術課題のいくつかを解決すれば実現可能であり、関係者を鼓舞することができる。ムーンショットとしても優れていると評価できる。

一方で、今回のEV撤退の報道は、ロードマップを描けても経済的な問題で実現することが難しいことを示している。
障害となるのは経済的な問題だけではない。技術的な問題や規制などの政治的な問題などもある。

しかし、だからといって「目指すべき世界観」を捨てても良い理由にはならない。
いつかまた、ダイソン氏が理想を実現するために再参入してくれることを期待したい。

経済的な問題しか興味のない彼らに負けてほしくない。

天は自ら助くる者を助く

<天は自ら助くる者を助く>

先日、近所を散歩しているさなかに廃墟と化しているせんべい屋などの写真をアップした。

ここは旧街道沿いにあるので厳密にはシャッター街ではないが、やはり地方都市の衰退の事例のようにも見える。

地方の活性化と云うことで事業展開に係わった知人から話を聞いたことがある。
地元は、廃校の活用や観光客や企業誘致などをしたいと考えているようなのだが、結局のところ具体的な活動には至らなかったとのことだったと記憶している。

漠然とした記憶なのだが、本音で言えば地元は切実な問題としては困っていなかったという話ではなかったのか。

ということを以下の記事で思い出した。

https://bunshun.jp/articles/-/1239
都会人にはわからないシャッター通り商店街の「本当の問題」
実は当事者たちはちっとも困っていなかった!

草加市では、「そうかリノベーションまちづくり構想」として平成27年度より草加駅東口周辺(旧道沿道エリア)のエリア価値向上のために、民間主導・公民連携の体制で「リノベーションまちづくり」に取り組んでいる。

これは、地元の人に対してと云うよりは、若者向けの活躍の場の提供という意味合いが大きいのではないだろうか。

取り組みの一つにコワーキングスペースの提供をしているグループと会ったことがある。

https://torinos.space/
Coworking space Torino’s

こんなじいさんが訪れて向こうも驚いたと思うが、こちらも気恥ずかしかった。
私自身は興味があるものの未だ傍観者でしかないのではあるが、いつか仲間になってみたい。

いろいろな社会問題など、自分ごととして解決するのだという気持ちがなければ解決しないのだと改めて思う。

私は何を解決したいのだろう。
一段落して、いろいろ悩んでいる。

「ムーンショット」を支持する

ケネディ大統領の「月に立つ」という宣言は強烈であり、目標の立て方の見本として人に話をすることがある。

先日、「I have a dream」という題材でもコメントしたが、およそトップに立つ人は魅力的な未来を語らなければならないという思いが強い。

この「ムーンショット」を語れるのも経営者の必須の能力だと思っている。
ケネディの「月に立つ」はなんとなく知っていたが「ムーンショット」という用語で経営マネジメントの世界に浸透していることは知らなかった。

雑誌としてのHBRやオンラインでのHBRを眺める機会があり、「ムーンショット」という言葉が使われていることを知った。

https://www.dhbr.net/articles/-/2260

ここでは「ムーンショット」に必要な要素として以下をあげている。

1つ目は、人を魅了し、奮い立たせるものであること(inspire)。
2つ目は、信憑性(credible)。
3つ目は、創意あふれる斬新なものであること(imaginative)。

正直に言えば、かなりハードルが高いがこれを描けることが優れたリーダーの資質だと思うし、仮に信憑性(credible)に疑義があっても、想像力で補う必要がある。
こうした「未来」を描くことで、革新は進むのだと思う。

ただし、「ムーンショット」という言葉を付ければすむという話ではない。

政府は「ムーンショット型研究開発制度」として「我が国発の破壊的イノベーションの創出を目指し、従来の延長にない、より大胆な発想に基づく挑戦的な研究開発(ムーンショット)を、司令塔たる総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の下、関係省庁が一体となって推進する新たな制度」を創設している。

その活動は下記のサイトで確認できる。

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/moonshot/index.html
ムーンショット型研究開発制度に係るビジョナリー会議

その最初の会議での議事録で以下のように語っている。


今般創設するムーンショット型研究開発制度は、破壊的イノベーションの創出を目指しています。従来技術の延長にない、より大胆な発想に基づく挑戦的な研究開発を推進したいと考えています。

ムーンショット型研究開発制度では、まず我が国の将来社会を展望し、少子高齢化問題や大規模自然災害対応のような困難な社会課題の解決等を目指し、人々を魅了する野心的な目標及び構想を国が掲げ、その実現に向けて世界中からトップ研究者の英知を結集させる仕組みとすること。・・・また、特に基礎研究段階にある様々な知見やアイデアを最大限に引き出して、失敗を許容要しながら革新的な研究成果を発掘、育成することを基本的な考え方とし、関係府省が一体となって推進するために必要な予算、1,000億円を平成30年度第2次補正予算に計上したところであります。

悪いとは云わないが、私の考える「ムーンショット」とは異なる。必要だからやると言う発想ではないと考える。
この考え方の延長線上は、どうしても現状からの延長線上でしかものを考えられなくなる。
実際、第4回の資料からの取り組み内容を見ると、最初に以下があげられている。

2050年までにサイボーク化技術の実現(人間拡張技術)

年齢や文化、身体的な能力等の制約を超え、自らのライフスタイルに応じ、全ての人々が夢を追求・実現し得る人間拡張技術を確立する。例えば、ロボットと生体組織とを融合したサイボーグ化技術を確立することにより、老化により低下する視聴覚機能や認知・運動能力等を補強する。これにより、誰もが必要とする能力をいつでも拡張できるようになり、自らの能力の限界を打破できることとなる。
【誘発される研究開発のイメージ】
・生体融合が可能な義手・義足やアクチュエーターの開発による身体機能拡張
・デザインに基づいた組織を生体内で生成する技術
・人間の認知・思考能力、感覚、運動能力を拡張するBMI/生体融合型コンピュータの開発

内容が、いわゆる手段と目的がごっちゃになっている。世界観が最初にあり、その上でロードマップとそれを実現できる技術と言う順番だろう。

たとえば「誰もが必要とする能力をいつでも拡張できるようになり、自らの能力の限界を打破できる」世界で人々はどんな生活を送っているのだろう。それは個々人の降伏を実現するのだろうか。そして、それは居間実現できていないのだろうか。

こうした問いに答えられないものを「ムーンショット」とは呼べない。

それでも、簡単に描けない「ムーンショット」を描く努力をする人を支持する。

「人事だから知っているはず」は通用しない

HRM系の仕事をしているせいか、労働基準法については多少なりとも知識がついてきている。そのせいだろうか、時々気になる記事を見かける。
少し前まで気になっていたのが「時間外労働」だ。

よく、会社の自慢話で、「我が社の社員は始業前に掃除をしっかりやる」とか「仕事が終わってから勉強会をしている」などという話を聞くと、「無言の強制性」や「無報酬での常態化した仕事」という観点で見てしまう。

さて、先日気になった記事だが・・・

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1910/16/news012.html
ドトール、休日減らして「有給奨励日」に 有給取得の“水増し”に厚生労働省「望ましくない」

記事自体はすでにご存じいる方もいるだろう。
ドトールの言い分もあるだろうがいろいろ批判されている記事だ。

さて、ここで面白いと思ったのはドトール側と厚生労働省が見ている法律が違うかもしれないということだ。

ドトール側の言い分はおそらく以下の文章に集約される。

「ドトールコーヒーショップ」を運営するドトールコーヒー(東京都渋谷区)は、今年度から本社の年間休日を「119日」に固定した。<中略>労働組合はないため、過半数代表者の同意によって就業規則を変更した。

これは、労働基準法第90条
「使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。」

に依拠することだろう。
一方で、厚生省の立場は記の記載が該当するだろう。

使用者と労働者間の契約に関しては、08年に施行された「労働契約法」がある。厚生労働省は、同法の周知のためにリーフレットを作成。文中では、就業規則変更に際して「労働者の受ける不利益の程度」を勘案する必要があると説明している。出勤日を増やして有給休暇を取得させるのは、この「不利益」に該当する恐れがある。

この労働契約法には下記の条文がある。

第九条 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。

第十条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。

少しわかりにくいが、「労働者」とは「労働者一人ひとり」を指すので個別の合意形成がとれているのかという点と、但し書きにある「労働者の受ける不利益」に合理性があるのかと言うのがポイントになるだろう。

違法ではないが問題ありと厚生労働省が判断していることがうかがえる。
法律は解釈が伴うのでここではあまりこれ以上突っ込まない。

面白いなと思ったのは、ドトールが問題にしているのが「労働基準法」であるのに対し厚生労働省は「労働契約法」を持ち出している点だろう。

「労働契約法」については、先日「労働法入門」を読むまで知らなかった。
労働法と云えば労働基準法しか思いつかなかった。「労働契約法」は平成十九年十二月五日公布と云うことなので、比較的最近の法律になる。

人事の専門家などは当然知っているのだろうが、企業人は皆知っているのだろうか?

先日、ある場面で「コンプライアンスの問題」を話していたときに、ハラスメントでの対応で法的義務の話をしていたら「その会社には法務部もあるし、一部上場している。当然知っているだろうし対策もしているのではないか」という発言があった。すべての会社は行政の発行しているガイドラインを知っているわけでもないし、その通りにやっているわけではない。

「やっているはず」なら世の中で問題になるような事件などは起きない。
「人事だから全部知っているはず」なんて前提でものを見ない方が良い。

もしかしたら「ドトール」は「労働契約法」を知らなかった可能性もある。
マネジメントシステムの改善は、「はず」を見直すことから始まる。

と思うのだが・・・

「夢」を語れない経営者のリーダーシップは認めない

ここ数年。いろいろな機会で経営者と話をすることが多くなってきている。
コンサルタントという立場ではないので、あまり突っ込んだだことは聞けていないが、ぐっと引きつける経営者には共通点がある。

「わたしはこういう世界をつくってい行きたいんだ」という意識と、具体的に何をするのかのロードマップがひけていることだ。

当然、中小企業を始め多くの企業は潤沢な経営資源があるわけではないのでやっていることは「しょぼい」こともある。それでもできるところから始めたとしても未来を見据えている。

https://americancenterjapan.com/aboutusa/translations/2368/
「私には夢がある」(1963年)マーティン・ルーサー・キング・ジュニア

は有名なので、皆が知っているところだろう。
和文では、以下のように示されている。

私には夢がある。
それは、いつの日か、この国が立ち上がり、「すべての人間は平等に作られているということは、自明の真実であると考える」というこの国の信条を、真の意味で実現させるという夢である。

私には夢がある。
それは、いつの日か、ジョージア州の赤土の丘で、かつての奴隷の息子たちとかつての奴隷所有者の息子たちが、兄弟として同じテーブルにつくという夢である。

・・・

私には夢がある。それは、邪悪な人種差別主義者たちのいる、州権優位や連邦法実施拒否を主張する州知事のいるアラバマ州でさえも、いつの日か、そのアラバマでさえ、黒人の少年少女が白人の少年少女と兄弟姉妹として手をつなげるようになるという夢である。

具体的なイメージを作り上げることがリーダーシップの必須条件だろう。

会社の戦略は何ですかの問いに「業績」を口にする経営者にリーダーシップは認められない。

と強く感じた一年だった。
(今年を振り返りながら 20191014)

「ひとり起業」の強化書

「ひとり起業」の強化書

 

 

 

 

 

 

 

 

残念なことに、成果を上げられない起業家の多くが「自分の強みが明らかになっていない状態」で事業を行っているのです。

で始まる本書は、天田幸宏さんが3000人以上の起業家との対話の中で見つけた普遍的なことをまとめた本になっている。

天田さんの経験と随所にドラッガーの言葉を引用して、彼が見いだした成功している起業家の共通点の7つについてまとめられている。

①「強み」に基づいた事業を選択していること
②明確な「コンセプト」を打ち出していること
③変化する「顧客ニーズ」にきちんと応えていること
④「独自の市場」を気づいて価格競争に巻き込まれないこと
⑤「理想の顧客」をつかんでいること
⑥顧客を巻き込んだ[コミュニティ」があること
⑦魅力あふれる「ストーリー」を語ること

天田さんとお会いしたのは、今の会社を起業して数年たった頃だろうか。本書を読むと、当時はまだリクルートの「アントレ」の編集者だった時代だろう。熱量を感じる方だったのを覚えている。

その後も何度かお会いしているが、本書に感じられるような誠実さをお持ちの方である。
確実に夢に向かっているのだとうらやましくもある。

私はと言えば、30歳の頃にひとりで仕事を始め、20年前から自分の会社を起業しているものの、とても成果が上げられているとは言えない状況が続いている。この本で示している7つのことがどれも実現できていないのだから当たり前と云えば当たり前だ。

さた、この書籍。奇をてらっているわけではなく、戦略とは何か、価値とは何かと云った普遍的なことに対し真っ正面に議論がされている。

今うまくいっていない起業家もこれから「自分の働き方」を求めて行く人にも読んでもらいたい。当たり前のことをしっかりやることの大切さに気がつくだろう。

灯台のように自分の事業のチェックポイントにしても良いのではないかと思う。

IC協会のセミナーに行ってきました

昨日IC協会のセミナーに参加してきた

【10月22日東京開催】ICが気を付けたい法律トラブルとその対応

個人営業やフリーランスなどの法律トラブルに関するいろいろな話で面白かった。
ひとりでいろいろやってきた経験もあり、この年齢になると「あるある」と言う話が目白押しで興味深かった。

金銭トラブルが一番切実なのだが、これを避けようとすると契約書や仕様書をしっかりさせておくことが必要だと云うことは納得できる。

私自身はそもそもアウトプットが不確実性を伴うので、およそ業務契約書というものはほとんど作製することはない。見積書を出して発注書をもらうと云うことがほとんどだ。

かつのトラブルで大きかったのは、作業が終わった後で「あれはなくなりました」ということでうやむやにされたことと、顧客の担当者の判断で発注してしまい、納品と入金はしてもらったものの、その上司に呼び出され「こんなものは頼んでいない」と問い詰められたことだろう。

今はこれを避けるために工夫はしているが若いときは勢いで仕事をしてしまうので、こうしたトラブルに巡り会うまでは無頓着になる。

仕事上のトラブルではないが、仕事の貸し借りはしない方が良い。貸したものは返ってこない。何か頼み事をされたら、無償だと割り切ること。

さて、契約書で面白かったこと。
市販されている雛形の契約書は使えないとのこと。トラブルを想定して業務内容を細かく書くこと。実際にトラブルが起きたときにどう対処するかを記載すること。

さて、どんなトラブルが発生するか。興味のある方は講師の方に問い合わせてみてはどうか。

戦略に失敗はあるのか(セブンイレブンの事例から)

少し刺激的な記事を見つけた

セブン「1000店閉店、移転」はドミナント戦略の限界か
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1910/16/news032.html

セブンイレブンについては、業界大手と云うこともありいろいろ取り上げられている。
オーナーから訴えられた記事(https://biz-journal.jp/2019/09/post_118634.html)は、FCでのリスクを物語っており、セブン、時短営業を本格実施 深夜休業の指針策定(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51223540R21C19A0TJC000/)は、すでに旧態依然としたFC経営が立ちゆかなくなっていることを示している。

冒頭の記事を要約すると「セブンが「不採算店閉鎖を加速」へとかじを切ったことは、単純にコンビニが多い、少ないという話よりも遥かに大きな意味があると感じている。セブンがビジネスモデルの根幹としてきた「ドミナント戦略」がいよいよ限界に差しかかってきた」ということで、その背景には、従業員不足と売り上げの低下等を背景としている。

そもそもドミナント戦略にはメリットとデメリットがある。
例えばメリットとしては
・商圏を重ねることで知名度が上がる
・配送効率を上げることができる
・スーパーバイザーが巡回しやすい
・商品を相互に融通し品切れやいずれかの店にはあるという商品カバーを強化する
などがある。
一方でデメリットもあり、
・同じ地域で顧客の取り合いを起こす(店ごとの売上げが下がる)
・地域に複数店舗が必要な理由がなくなったときに破綻しやすい
などが大きな所だろう。

さて、「1000店閉店、移転」については、セブン自体の業績悪化などが取り沙汰されているのだがどうなのだろう。

実際にセブンアンドアイが提供している決算資料(https://www.7andi.com/ir/file/library/ks/pdf/2019_1010ks.pdf)からは以下のことが読み取れる。
・グループ全体では営業利益はプラスだが、グループでの売上げと営業収益はマイナス。
・その中でSEJ 荒利率の改善と販管費の適正化により55億円増となっている。
・事業の継続性のためには構造改革が必須との認識にいる
・本部コスト・構造改革には不採算店の閉店加速があげられている

さて、この不採算店の対象だが、以下のように記載されている。
(不採算店の閉店加速)
・Cタイプ1年以上経過店での不採算店と直営店を最優先に閉店
19年下期~20年度:約1,000店の閉店・S&Bを実施
⇒ 21年度:約50億円/年の収支改善へ (18年度対比)
注:Cタイプ お店の土地・建物を本部がご用意させていただくタイプの契約。

さて、セブンイレブンの店舗数は約2万店超なので1,000店舗は5%程度か。
ただし、スクラップアンドビルドと云うことを言っているので単純に減らすのかどうかまでは読み取れない。

Cタイプ(お店の土地・建物がセブン側の所有)が対象と云うことであれば、企業としては投資対効果が見込めないので撤退するというのは合理的になる。
ただし、オーナーをどうするのかと云うことは別問題になる。

さて、表題の「ドミナント戦略」
セブンの資料を見ると、自分たちの戦略を「オムニチャネル戦略」という言い方はしているが「ドミナント戦略」とは明言していない(と思う)
結果として、そうなったとしても、戦略の目的は規模の拡大と生産性の確保であれば、それに見合わなければ撤退するのは当然のことだろう。

今の状況が「ドミナント戦略」と合致しなくなったからと云って、戦略の評価に結びつける論は的外れだと思う。

さて、「戦略」に優劣はないし、成功も失敗もない。結局の所選択の問題だろう。
戦略を見直せと最初の記事は云うが、そもそも戦略は見直すべきものなので人から言われようが何しようが企業経営者は常に考えている。

「ドミナント戦略」が問題なのではない、セブンイレブンが展開している施策が問題なのだ。とはいえ、どうすれば良いのかなどは私がわかろうはずもない。

わかっているのは、「戦略」は常に見直さなければならないと云うことだろう。
「その場にとどまるためには全力で走り続けなければならない」は宿命だ。

関連資料はこちら(セブン「1000店閉店、移転」はドミナント戦略の限界か