世間に転がる意味不明:不穏な空気(中国、アメリカ、銀行破綻)


私は経済の専門家ではない。認識が間違っていると云うことであれば指摘して欲しい。

■不安の矛先

正直、どう考えて良いか分からない。

2024年3月、日経平均株価は4万を超え、世間ではまだまだ上昇するという雰囲気がある。バブルの時とは異なるという。
確かにバブルの時には金融政策などが大きく変わり、資金調達が容易になりワラント債などの発行により借金をしても利ざやで儲かる状況になり、市場に過度な資金が動くようになったことが背景にあり、現在とは異なるという説明には一定の納得感はある。それでも、不安が払拭できない。

それは株価が暴落するかもという不安ではない。地政学的リスクの吸収が思いのほか旨くできていると感じるのは、ウクライナ、パレスチナ、紅海でのフーシ派などなどが、おそらくは1900年代初頭であれば世界的な恐慌になっていただろうことがそうなっていないことから、多少の上下はあるものの株価の動きは世界の変化に対して強靭になっている印象がある。

心配なのは、株価に関係なく不況がすぐそこに来ているのではないかということだ。

■不動産不況

あまり報道されなかったが、昨年アメリカの銀行の破綻の報道が目を引いた。

○米国銀行の破綻から広がる波紋 ―日本の地銀への影響は?―
2023.07.14

5月1日、米国のカリフォルニア州金融当局より、地方銀行のファースト・リパブリック銀行が経営破綻し、JPモルガン・チェース銀行が(救済)買収する旨が公表されました。資産総額は2,291億ドルで、2008年のリーマンショック時に破綻したワシントン・ミューチュアル銀行の4,244億ドルに次ぐ米国史上2番目の銀行破綻となったもようです。

米国銀行の破綻から広がる波紋―日本の地銀への影響は?―

日本でも、メガバンク、地銀、信用金庫、JAなどのノンバンクといった市場毎に異なる金融機関があり、これはアメリカでも同様である。上記の銀行はオフィスビルなどの不動産を扱っており、コロナ以降のリモートワークの普及に伴い需要減が影響しているという趣旨の記事だと理解している。

不動産は「住宅(住むもの)」ではなく投資対象として所有するという傾向は拭えず、日本の東京都心のマンションが一億円を超え得るというのは「皆が買うから高くなる。→高くなるから皆が買う」という循環が働く。こうした動きは投資ではなく投機のマネーゲームになり、バブルと何が違うのかと不安になる。

「皆が売るから不動産価格が下がる。不動産価格が下がっているので売る」というスパイラルに回り出すと止めるのが大変である。すでに中国での不動産に関しての報道はそうした循環が壊れていることを予想させる。

○中国万科、格下げの影響「管理可能」と表明 株・社債は反発
2024年3月12日

中国不動産開発大手の万科企業については、資金繰りに問題を抱え、債務返済の繰り延べを一部投資家に求めていると報道され、株と社債は先週、大きく売られていた。
ムーディーズは11日、投資適格級で最低の「Baa3」としていた万科の格付けを取り下げ、同社の全ての格付けを「引き下げ方向で見直す」と発表した。
これを受け、12日の香港株式市場で万科は1%安で始まり、債券も下落した。

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/BP5PIOTJEJP4FHNZHIE52MBOGM-2024-03-12/

これは、「信用が下がるから株は売られ、株が売られているから信用が下がる」というスパイラルになる。すでに、海外の格付け会社からはそうした評価がされていることがうかがえる。

○中国投資は勧めず-ゴールドマンのウェルスマネジメント幹部が警鐘
2024年3月5日

  モサバルラマニCIOは、中国経済が向こう10年に着実に減速する見通しを含め多くの理由を挙げた。中国は不動産市場とインフラ、輸出というこれまでの成長の3本柱が弱体化することで苦戦を強いられると予想。中国の政策策定が明確でない上、経済データがまだら模様で、中国投資への懸念を高めていると指摘した。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-03-04/S9UAT6DWRGG000

■不安を助長する「情報」の情報

2024/03/13現在の関心事の一つに18日に行なわれる「日銀政策決定会合」であろう。かねてからのマイナス金利政策の取り扱いが焦点となっている。こうした決定要因の一つに「消費者物価指数2%」が取り沙汰される。これはおそらくは「CPI」のことだろう。

このCPIについて、「景気拡大などで需要が拡大した場合、企業は値上げをしやすくなることからインフレに、不況になるとデフレに陥りがちです。」とあるように、企業二取っての意味合いが強い傾向がある。

参考:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFM313JJ0R30C21A8000000/

ただし、過度なCPIの上昇は過度なインフレにもつながるために各国とも慎重な対応を取っている。

○FRBの利下げ納得にはまだ不十分な見通し-市場が注目の2月CPI
2024年3月12日

米労働省が12日発表する2月の消費者物価指数(CPI)について、利下げを開始しても安全だとパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる米金融当局者が納得する内容は見込まれないと、ブルームバーグ・エコノミクス(BE)は予想している。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-03-12/SA7K9CT0G1KW00

こうした指数は安定化しないのだが、安定化しないことが政策決定の難しさを読んでいる。

○消費者物価(全国24年1月)-コアCPI上昇率は2%まで低下したが、2月には2%台後半まで高まる見込み
2024年02月27日

総務省が2月27日に公表した消費者物価指数によると、24年1月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比2.0%(12月:同2.3%)となり、上昇率は前月から0.3ポイント縮小した。事前の市場予想(QUICK集計:1.8%、当社予想は2.0%)を上回る結果であった。

https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=77703?site=nli

細かく見てみるとまだら模様である。
日本のニュースサイトでは、「2%」という数字には着目するがその意味論や現在のミクロの視点での情報が解説されない。情報がゆがんだ形で報道されることに危惧をいだく。

■チャイナリスク

情報が正確に発信されないと云うことは意思決定に確信が持てなくなることを意味する。
そうした意味では、中国のリスクは「不景気」ではなく「情報が発信されない」ことである。

○中国全人代が閉幕 首相会見なく内向き志向、鮮明に
2024/3/11

中国の全国人民代表大会(全人代=国会)が11日、2024年の経済成長率の目標を「5・0%前後」に定めた政府活動報告や国防費を含む予算案を採択して閉幕した。長年恒例だった最終日の首相記者会見は今回から廃止となった。全人代側は「国内外の記者により多くの取材機会を提供する」と表明していたが、外国メディアの視点から検証すると、「透明性」とはほど遠い内向き志向が鮮明になった。

https://mainichi.jp/articles/20240311/k00/00m/030/238000c

これはかららの発表する指標への信頼性を欠くことになる。

○中国CPI上昇、短命の公算大-追加の政策対応なければデフレ圧力
2024年3月11日

 2月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比0.7%上昇と、予想を上回る伸びとなった。前年水準を上回ったのは昨年8月以来。物価の持ち直しは、2023年よりも遅い時期となった春節(旧正月)の休暇が背景。旅行と消費が新型コロナウイルス禍前の水準を上回ったことが寄与した。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-03-11/SA68D3T1UM0W00

現在の日本の株式の高騰の要因が中国投資の移転であれば危険である。
中国も下記の様な発威厳を無視しない方が良い。

○ついに「首相会見」もカットされた「習近平1強」体制 中国全人代、美辞麗句ばかりに記者もシラけた
2024年3月12日

 中国の国会にあたる全人代が11日閉幕したが、今年ほど白けたと感じたことはなかった。デフレ感が強まる経済や高齢化への対応など課題は山積みにもかかわらず、美辞麗句ばかりで「本音」を聞くことはできなかったからだ。習近平政権の統制強化で政官の内向き志向が鮮明になり、政策を追認するだけの「ゴム印」とやゆされた全人代は形骸化が一層進んだ。

中国への外資投資減少や庶民の節約志向は、足元の景気もさることながら反スパイ法に代表される政権への不信感や政策決定の不透明感が背景にある。首相会見取りやめの理由として閣僚の会見、ぶら下がり機会の増加などを挙げたが、政府トップ自身の発信力に勝るものはない。不都合な情報発信を避けたとの見方もあるがまさに「臭い物にふた」の発想だ。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/314551

■不穏な不況の足音

国内に目を向けると、株式の高騰とは無縁であるとばかりの報道も見られる。

○清水建設、初の営業赤字330億円 24年3月期
2024年2月8日

建築事業の完成工事利益率が大幅に悪化する見込みとなったことが響いた。国内の複数の大型の建築工事で契約・着工から資材調達までの期間が長期化している間に資材が高騰した。今後も労務費上昇が響き多額の工事損失の発生が見込まれるという。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC084MV0Y4A200C2000000/

○ヨーカ堂、首都圏4店閉店へ セブン&アイ、経営効率化
2024/03/12

 セブン&アイ・ホールディングスは12日、傘下の総合スーパー、イトーヨーカ堂の首都圏の4店舗を新たに閉店することを検討していると明らかにした。経営効率化の一環で、重点市場と位置付ける首都圏でも店舗の選別を進める。

https://nordot.app/1140103199085445234

手放しで景気が良くなったと喜べる状況とは思えない。

(2024/03/13)