西松建設、トンネル工事にホイールローダ遠隔操作システム試験導入


【諸元】
○作成者:中野康範
○作成日:2024/03/13

【マテリアル】
○URL
https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/2403/04/news076.html

○記事タイトル
西松建設、トンネル工事にホイールローダ遠隔操作システム試験導入
2024年03月04日

○抜粋
西松建設は、建設関係機械の設計/製作を手掛けるジオマシンエンジニアリング、建機レンタルのカナモトと共同開発したホイールローダ遠隔操作システム「Tunnel RemOS-WL」の実用機を、実際の山岳トンネル施工に試験導入した。
遠隔操作の経験値が異なる操作者2人により、搭乗操作でのサイクルタイム(平均54秒)との比較を行ったところ、遠隔操作の施工効率は平均75秒から95秒で、約6割~7割程度となった。最短記録を見ると、遠隔操作の経験が豊富なオペ―レーターの最短記録は59秒と施工効率は9割を超え、オペレーターの習熟度が施工効率の向上に寄与していることが分かった。また、試作機と比較して、システムの耐久性が向上したことも確認した。

○テーマ
労働災害ゼロの工事現場の実現

○コメント
「黒部の太陽」は黒部ダムを工事する際の大変さを描いた映画でもある。
大規模土木工事はそれ自体が危険を伴う。特にトンネル工事は崩落や水害のリスク
爆発なども配慮しなければならない。こうした遠隔での操作が可能な技術開発は
効率化の側面だけでなく、安全面でも有効である。遠隔操作の行き着く未来では月面での土木工事も可能にするかもしれない。

【特性】
○政治経済
建設業界に対する「働き方改革」あるいは「下請法の遵守」がより強く求められるようになってきている。
参考:短い工期の受注禁止、建設業法改正案を閣議決定 2024年3月8日
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA083HH0Y4A300C2000000/
業界が効率化を求めてIT技術の活用に進むための外的圧力となっている。

○社会課題
2024年問題の副作用として人手不足について大きな社会問題となっている。当然人手不足は問題ではあるが、一方でこうした技術革新により、一人当たりの生産力を上げることで一解決はできる。

○技術優位
すでにAIやICTの技術を活用できない企業は企業の優位性を失いかねないことは当然のこととして認識され始めている。ハードウエア+ソフトウエア(AI技術)+ICTにより自動化の可能性が大きく高まる。この時流にとり残されることは企業の死命を決しかねない。

○市場特性
自動化に関しての市場はまだ成熟しておらず今後の可能性を秘めている。

○その他
特記事項なし

【その他の関連情報】

(1)土木工事の自動化
土木工事の自動化の研究はかなり以前から進められていた。記憶では建設省という名称であった頃からIT技術の活用は進められ、近年では「i-Construction」(測量から設計、施工、検査、維持管理に至る建設における事業プロセス全体にICT(情報通信技術)を導入し、生産性向上を目指すもの)という活動が有名であろう。
https://www.mlit.go.jp/tec/i-construction/index.html
その系譜は現在も様々な活動として継続されている。

(参考:建設機械施工の自動化・遠隔化技術)
https://www.mlit.go.jp/tec/constplan/sosei_constplan_tk_000049.html

(2)類似記事

○GPSの位置情報が届かない坑内で無人建機を自動運転する技術を開発、大成建設
大成建設は、SLAMを活用した位置情報取得技術「T-iDraw Map」を開発し、国交省国土技術政策総合研究所に設置された実大トンネル実験施設と国内の道路トンネル建設現場で、T-iDraw Mapを用いて建設機械の自動運転に関する実証を行った。実証の結果、GPSなどの位置情報を取得することが難しいトンネル坑内でも、無人建設機械の自動運転が実現した。
2021年07月21日
https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/2107/21/news023.html

(3)自動化技術の広がり

自動化への取り組みの加速化は2024年問題が後押しをしている。土木建設のあらゆる部分に波及し始めていることが分かる。

○日立、エレベーター据え付け作業を半自動化 工期短縮、24年問題に対応
2024年03月07日

日立製作所と日立ビルシステムは7日、エレベーターの新設据え付け作業を半自動化する装置を開発したと発表した。主力商品で運用を始めた。労働時間の規制強化に伴い建設や物流業界での人手不足や工期長期化が懸念される「2024年問題」に対応するとともに、熟練度合いによらず作業を早く正確に行えるようにする。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2024030700825