世間に転がる意味不明:虚妄の賃上げ狂想曲2024【1】(後戻りできない賃上げとトリクルダウン)


■政策決定

日銀政策決定会合が明日に予定されている。
賃金上昇や鈴木財務大臣の発言などを受けてマイナス金利が解除されるのではないかと報道されている。

○デフレの状況にはない、力強い賃上げの流れできている=鈴木財務相
2024年3月15日

鈴木俊一財務相は15日の閣議後会見で、デフレ脱却の判断を問われ、「インフレかデフレかということではなく、デフレの状況にはないとそういうのが今の認識」と語った。今年の春闘で昨年を上回る賃上げ回答が相次いだことに触れ、「力強い賃上げの流れができている」と語り、中小企業へ波及することに期待を示した。

https://jp.reuters.com/world/japan/XKJ36ICMUJITRI354OI4GS72TA-2024-03-15/

○日銀、マイナス金利解除へ 賃上げ拡大で17年ぶり利上げ
2024年3月16日

・金融政策は正常化に向かい「金利ある世界」へ
・新たな短期金利の誘導目標は0〜0.1%案が有力
・中小の賃上げ率4.42%、物価との好循環見込む
日銀は18〜19日に開く金融政策決定会合でマイナス金利政策を解除する見通しになった。2024年の賃上げ率は5.28%と33年ぶりの高水準となり、2%の物価目標を持続的・安定的に達成できる環境が整った。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB12CUV0S4A310C2000000/

しかし、上記の判断は本当に正しいのだろうか?

本来賃上げは企業の生産性工場や成長による今後の収益の確保がある上での議論であるべきだと思う。しかし、今の賃金上昇は人手不足の上での対応に過ぎない。

■トリクルダウン

トリクルダウンとは安倍元首相がアベノミクスを説明するときに使った言葉で別名「シャンパンタワー政策」と読んでいる。Googleなどでトリクルダウンを検索すると

トリクルダウン理論とは、富裕層や大企業を優遇する政策をとることで経済活動を活性化し、富が低所得者層に向かって徐々に流れ落ち、国民全体の利益となるという仮説

と出てくる。しかし、少なくとも「富が低所得者層に向かって徐々に流れ落ち、国民全体の利益となる」とはならなかったのは明らかであり、アベノミクスは企業だけに利益を与えてそれ以上にならなかったと言う点では失敗であっただろう。

おこぼれが落ちてくるのを待つ政策では国民の富は増えず結果として経済活動は活発にはならない。

威勢の良い話はあってもそれが健全な活動の結果ではないのであれば、日銀政策決定会合の結果は経済に混乱を招く。

(2024/03/17)