法令違反を防ぐのは、経営者と社員との信頼関係の構築が必要

平成30年11月2日の国土交通省の「協栄マリンテクノロジ(株)による船舶安全法令違反について」は

「船舶安全法に基づき5年毎に整備が義務づけられている「膨脹式救命いかだ」及び「降下式乗込装置」について、国土交通省の船舶検査官による立ち会いが省略される整備認 定事業場等である協栄マリンテクノロジ(株)福山営業所において、整備の不正が行わ れていた事実が判明しました。」で始まる。

http://www.mlit.go.jp/report/press/kaiji08_hh_000064.html

こうした記事を見ると、どうしてもISO9001との対比を考えてしまう。
ホームページを見る限り、協栄マリンテクノロジ(株)も親会社の協栄産業株式会社もISO9001の認証取得をとってはいないが、それは問題ではないだろう。

もともとISO9001の内容は、まっとうな企業であれば、濃淡や強弱はともかく確実にやっているであろうことが記載されている。それほど特別な内容ではない。

上記の問題は、そもそも、「船舶安全法令違反」と表記されるように、法令違反に当たる。
マネジメントシステムもくそもない。

一つ前の規格だが、ISO9001:20008では以下のような記載がある。

5.1 経営者のコミットメント
 トップマネジメントは、・・・コミットメントの証拠を、次の事項によって示さなければならない。
a) 法令・規制要求事項を満たすことは当然のこととして、顧客要求事項を満たすことの重要性を組織内に周知する

ISO2001:2015ではこの文言はなくなっているものの、法令遵守が当然の要求事項であることは随所に示されている。

よく、こうした法令違反が出ると、現場への教育などをあげることが多いが、これは筋違いだ。
しなくてはいけないのは、下記の通り。

・法令違反が起きていることが経営層にエスカレーションされないことに気がつかなかった経営層の認識の甘さの自覚
・法令違反での出荷できてしまう、検査システムの改善
・経営者が組織構成員となる社員に信頼されていない組織風土の改善

結局、「ずるしてもOK」という組織風土がどこから出てきたのかを探索しないとだめだろう。

まずは経営者が現場に赴き話をすることだ。
それも一度や二度ではなく、根気よくやることが必要だ。

優れた会社はこれに労力を惜しまない。

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