《AIの活用のために 事業プロセスを変えることを考える》

現在、AIの活用先として「HRテック」に着目している。
HRテックは、何を解決してくれるのだろう。

●高齢者の働き方の選択肢

https://dot.asahi.com/wa/2020011700010.html?page=1
5年で1.8倍! 派遣社員を選ぶシニアが急増する理由

と言う記事の冒頭に下記の掲載がある。

「派遣社員という働き方を選ぶシニアが増えている。国の調査によれば、60代後半の派遣社員は、2012年から17年にかけて1.8倍に増えた。」

ここでいうシニアとは65歳以上の年齢層になる。
この記事では、高齢者の派遣社員という働き方を好意的に見ており、積極的な支援を行っている人材派遣会社などに注目して解説している。

この記事の中で取り上げているのは、ある程度の専門性や仕事の特殊性がある事例であり、いわゆる、スーパーなどのレジ打ちや工事現場での案内などの単純作業などは含まれていない。

身の回りでは65歳超の人たちもちらほら現れ、何人かはシルバー人材などの範疇で活動しているが、自ら選択して「派遣」を選んでいるわけではない。
「派遣しかない」と言うのが実情ではないのだろうか?

「派遣」という働き方が悪いわけではないが、「雇用の安定性」という面ではセーフィティネットが整備されていないのが不安材料になる。

この春から「同一労働同一賃金」という名の下で、雇用する側と雇用される側の関係性が変わり、負の影響として「相互の信頼性」が不安定になるだろう。
60歳以上どころか、全年齢層で「派遣」という選択肢が当たり前になるかもしれない。

●受け入れる企業は人事制度のシフトが必要になる

上の記事の中に、以下の文節がある。

「シニアの求める働き方には、職務や勤務地、労働時間が無限定のメンバーシップ型正社員よりも、それらが契約で定められる、ジョブ型の派遣社員が適している。
・・・
ジョブ型雇用の派遣社員は、職務内容や労働条件を契約でしっかり決められる。そのため責任の範囲が明確、限定的になるというのが、派遣という働き方のメリットだ。」

ジョブ型という言葉は聞き慣れないのだが、「日本の人事部」というサイトでは以下のように説明がされている。

・ジョブ型
「ジョブ型採用」とは、職務(ジョブ)や勤務地などが限定されたジョブ型の雇用契約を前提とする人材採用のあり方。
・・・
「ジョブ型」とは自らの専門スキルを活かし、職務や勤務地を絞り込んで働く就労形態。欧米ではむしろ一般的で、雇用契約においては職務や勤務条件などが明記されたジョブ・ディスクリプション(職務記述書)が交わされます。職務や条件が雇用契約で限定される以上、使用者側がこれを一方的に変更できないだけでなく、経済情勢の変化でその仕事がなくなった場合は労働者にも配転を希望する権利は認められません。

・メンバーシップ型
職務も勤務場所も労働時間も限定されない、言いかえれば企業側の都合でいくらでも変えられる働き方のことで、ジョブ型のように職務に就く形態ではなく、会社という共同体の一員になるという意味で「メンバーシップ型」と呼ばれる。
・・・
職種や勤務場所の変更、残業などの命令があれば基本的に受け入れなければならないという“暗黙の契約”が上乗せされており、原則として無限定正社員でなければ正社員と認められないのが日本の企業社会の現状である、としています。

https://jinjibu.jp/keyword/detl/615/ より

つまり、どんな働き方をさせられるかわからない「メンバーシップ型」が現在の日本の企業では、体系的なスキル構築ははなから無理な相談であって、「ジョブ型」に移行するためには、職能資格制度からの脱却を図る必要があると考えています。

それは、何年たったから主任になり,課長になり、部長になると云った役職のパスではなく、どんな業務のどんな役割を担うのかというポストでのキャリアパスが必要になると云うことです。

おそらくは、何でも云うことを聞く兵隊の会社と、それぞれがプロフェッショナルなチームで構成される会社では異なる人事制度になり、専門性を構築できる会社とそうでない会社に色分けされてくるだろう。

雇用される側がどちらを選ぶのか見ておきたい。

●早すぎることはない

さて、表記の記事は65歳以上の人を対象としているが、では、どんな働き方にしろ自分の希望する選択肢を選ぶためにはしっかりしたスキルを獲得する必要があるし、そのためのキャリアをを形成しなければならない。

それはいつからできるのだろうか?

https://business.nikkei.com/atcl/report/16/020600201/020600002/
「日本人に40歳定年の選択肢を」

AIやロボットなどの技術が日々進化する時代となり、社会に出た後は、20年ごとなどにスキルをアップデートさせて、キャリアを転換する働き方を提案する。

と始まるこの記事は、定年という概念をなくして60歳以上まで働くためのコンセプトを提示している。

70歳まで働くことを考えると、その準備は60歳。60歳まで働くことを考えると、その準備を40歳までに終えておく必要がある。40歳に、次のステップへのスキルを獲得するのであれば、20歳から考えておく必要がある。

メンバーシップ型人事で「就社」してしまって、40歳からジョブ型人事での「就職」を目指しても無理がある。
働く側は、「出世」という側面ではなく「仕事をする」という側面でキャリアをデザインする必要がある。それも早く。

65歳になって、いきなり「専門性」や「スキル」を考えても遅い。

●スキルの明確化だけでは十分ではない

では、20歳ぐらいから、将来を見渡したキャリアデザインを描けるかと云えば、そんなことは無理に決まっている。
まずはやってみる必要がある。
そのためには、キャリアシフトあるいはキャリアチェンジ、リキャリアを可能にするキャリア地図を作成しておく必要がある。

多くの企業は、おそらくは単一のキャリアパスしか描いていない。しかも、途中で挫折すると、そのままフェードアウトするものだ。

キャリア地図の要件は以下のようになる。

・キャリアを担保できる教育可能なスキルで構成されていること。
・キャリアのどの段階でとどまったとしても、価値を認められること。
・キャリア形成のために獲得したスキルは他のキャリアへのポータビリティがあること
・キャリアの分岐点が有り、容易にキャリアチェンジができること

こうしたキャリア地図があったときに、AIが若年層に対しアドバイスすると云うことは荒唐無稽ではない。

働き方自体を個々人が選択できる世界になってほしい。

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